マイマイ、ポケモンコンテストに出場!?

佐渡惺
@sat0rusq

第2話、ホウエンの舞姫とラルースの若き貴公子

 カナズミシティのポケモンコンテスト会場にマイマイとりっぷが着くと、すぐにセレナが追いついてきました。




 「マイマイさーん!」




 「あ、セレナちゃん、こっち、こっち」




 「あれ、りっぷちゃんは?」

 セレナはりっぷがいないことにすぐ気がつきます。





 「りっぷちゃんはね、ちょっと用事があってどこか行っちゃった。お仕事に戻ったのかも」

 と、マイマイはごまかしました。黄色いポケモンに変身しているりっぷは、隣で慌てていたのでした。




 「そうなんだ。あ、そ、そのポケモンは……」

 セレナはりっぷが変身しているポケモンを見て、旅の仲間のことを思い出していました。その仲間とは、カントーのマサラタウンのサトシです。




 「セレナちゃん、どうしたの?」





 「あ、すみません、この子を見ていたら、懐かしいことを思い出しちゃって。可愛いピカチュウですね」




 「そうなんだ。ありがとう、セレナちゃん」

 りっぷが魔法で変身しているポケモンはピカチュウと言うのか、と名前がわかり、ほっとしていたマイマイです。





 「こうして、またピカチュウに会えて嬉しいな」





 「前にも会ったことあるの?」

 マイマイがたずねると、セレナは照れくさそうにしながら、答えます。




 「はい、カロス地方で、ピカチュウを連れた子と旅をしていましたから」




 「それで、さっき、ぼうっとしちゃったんだね」




 「はい、カロス地方でその子と旅をしていたことを思い出しちゃって」





 「その子って、男の子?女の子?」





 「あ、サトシって男の子です」





 「へえー」

 マイマイはそれ以上のことは聞かず、受け付けのところに並ぼうとしていました。




 セレナも後ろに並ぼうとします。すると、




 「君たち、ちゃんと並んでくれないか」

 と、緑色の髪をした少年が注意してきます。




 マイマイとセレナが顔を見合わせていると、





 「ここ、僕が先に並んでいたんだけど」




 「えっと……」

 マイマイたちは、緑色の髪の少年がわけのわからないことを言っていると、顔を見合わせていました。





 「君たち、わかっていないみたいだから教えるけど、確実にみんなの横入りしているよ。並ぶ場所はあっちだよ」





 「す、すみません」





 「最後尾、あっちだったのですね」




 マイマイたちはようやく、緑色の髪の少年が言っていたことを理解し、後ろに並び直そうとします。




 「あの、コンテストにエントリーですよね」

 ここで、赤いバンダナの少女が声を掛けてきました。少女は並んでいた列から離れます。




 「はい」

 と、これはセレナが返事をしました。





 「一緒に並びましょう」




 「で、でも、もうちょっとであなたが受け付けする番だったんじゃ……」

 マイマイが複雑な表情で言うと、




 「いいの、いいの、受け付けまでまだ時間があるし」




 「そう?」





 「はいっ、はいっ、一緒に並んだ、並んだ」

 赤いバンダナの少女は、マイマイたちを強引に引っ張り、列の一番後ろに並び直します。




 「なあ、あれ、ホウエンの舞姫じゃね?」




 「知ってる、ハルカちゃんだよね」




 と、マイマイたちが並び直すとき、前を並んでいたポケモンコーディネーター何人か、ひそひそと話している声が耳に入ってきました。




 「ホウエンの舞姫か。素敵なキャッチコピーね。あなた、有名なんだね。あ、あたし、マイマイ」




 「私はセレナです」




 ここで、マイマイとセレナがハルカに自己紹介をします。




 「私、ハルカ。よろしくね!」




 「私は、りっぷ……」

 ピカチュウの姿でつい、自分の名前を言ってしまったりっぷに、



 「りっぷちゃん、だめじゃん、しゃべっちゃ……」

 慌てながら口をふさいだマイマイです。




 「あれ、今、どこかから、りっぷちゃんの声がしなかった?」

 辺りを見渡すセレナと、




 「りっぷちゃんって誰のこと?」

 首をかしげるハルカでした。




 「き、気のせいじゃない?」

 と、マイマイが言ったあと、隣のピカチュウ姿のりっぷは苦笑をしながら、うん、うんと頷いていました。




 ようやく、コンテストの受付にマイマイたちの番が回り、彼女たちは無事にエントリーが済みます。マイマイたちはコンテストの時間になるまで、広場で話していました。




 「こうしてマイマイさんのピカチュウを見ていると、友だちのことを思い出すな」




 「ぴ、ぴか……」

 りっぷは何とかピカチュウのフリをしています。




 「え、ハルカちゃんもなの?」

 セレナと似たようなことを言っていたハルカに不思議そうな表情のマイマイです。




 「はい、サトシって男の子と前に旅をしてたことがありまして」




 「うそ、ハルカちゃんもなの?」




 「私もってことは、セレナちゃんも?」




 だんだん、セレナと、ハルカが仲良くなり、サトシという少年について、マイマイにとってはついていけない会話が続いていったのでした。




 マイマイがセレナとハルカの話をぼうっと聞いていると、




 「お姉さん、キープ!うちのお兄ちゃんをシルブプレ!」

 と、突然、八歳ぐらいの金髪の少女に声を掛けられます。




 「ユリーカ、それはやめろと、いつもいつもいつもいつもいつも言ってるだろ!」

 隣にメガネをかけた兄らしき少年が、妹を叱りました。




 「あれ?」

 セレナが兄妹に気づきます。




 「お久しぶりです」

 兄の方がセレナに気づき、片手を上げました。それを見たマイマイは、




 「わかった、あなたが話題のサトシくんでしょう。ねえ、セレナちゃんのボーイフレンド?」

 と、兄の方に言ったのです。すると、少年は慌てながら両手を振り、




 「ち、ちがいますよ。僕は、シトロンです」




 「お兄ちゃん、顔まで赤いよ?」




 「ユリーカ!」




 「あれ、サトシくんじゃなかったんだ。ごめん、あたし、勘違いしちゃって」




 「いえ、勘違いは誰でもあることですから」




 「シトロン、ユリーカ、久しぶり。元気にしてた?」

 再会に嬉しそうなセレナです。




 「うん、元気だよ。今日はパパにおつかい頼まれてお兄ちゃんとここに来たんだ」





 「まさか、そこでセレナに会えるなんて思いも寄りませんでした。セレナは、もしかして、ここのコンテストに、出るのですか?」





 「ええ!」

 セレナが元気良く返事をすると、




 「では、僕たちは観客席に行って応援していますから。行くぞ、ユリーカ」




 「うん!」




 「シトロン、ユリーカ、ありがとう!」




 シトロンとユリーカが行ったあと、先ほど、マイマイたちを注意してきた緑の髪の少年が現れました。




 「シュウ、何の用?」

 その少年が現れると、ハルカが絡みます。




 「君に用なんかないさ。あるのは、帽子の君とお姉さんの方だ」




 「何よ……」

 




 「君と話すことは特に何もないということさ」




 「………」




 「睨み合ってるけど、あの二人、仲が悪いのかな……」




 「じゅうまんボルトが今にも出そうな雰囲気……」




 「まあね、あの二人は昔からライバルみたいだから」

 ここで、緑色のとんがり帽子をかぶった紫色の長髪の男性が会話に加わってきました。




 「ライバル?」




 「そ、あなたたちはラッキーね。ホウエンの舞姫と、ラルースの若き貴公子とのバトルがこれから見られるかもしれないのだから」

 紫色の長髪の男性はそう言ったあと、どこかへ行ってしまいます。




 「何だったの、あの人……」




 「それより、マイマイさん、ハルカちゃんが……」




 「あ、そっか」





 「シュウ、今、ここで決着をつけましょうよ」

 ハルカがモンスターボールを取り出すと、




 「ふっ」

 何とシュウもモンスターボールを取り出しました。




 「うそ、うそ、本当にバトルになっちゃうの……?」




 「ハルカちゃん……」




 「ぴか……」




 カナズミシティ、ポケモンコンテスト会場の広場は、早くも緊迫した空気に包まれていくのでした。




            


              



 

著作者の他の作品