マイマイ、ポケモンコンテストに出場!?

佐渡惺
@sat0rusq

第1話、マイマイ、妖精とトレーナーに出会う

 ある日、マイマイは、公民館から『第三回人生やり直しツアー』のチラシ案内を手にしました。




 そこに書かれてある内容は、ホウエン地方のカナズミシティのコンテスト会場でポケモンコーディネーターとして、人生をやり直さないかといった内容でした。




 「ふーん、ポケモンコーディネーターか。興味あるかも。第三回人生やり直しツアー、参加しよう」




 マイマイは早速、チラシについていた申込用紙に第三回人生やり直しツアーに参加しますと書き、封をし、ポストに出しました。




 それから、マイマイは第三回人生やり直しツアーに参加できることが決まります。




 ツアー当日、マイマイは、電車やタクシー、汽船などに乗り換えながら、遠路はるばるとホウエン地方に到着したのでした。




 そして、マイマイは、集合場所のトウカシティにも到着し、そこからツアーバスに乗ります。第三回人生やり直しツアーの参加者の中で、マイマイの知っている人物は一人もいなく、彼女は後ろの席でぽつんと外を眺めていました。




 外は、緑と木がたくさんでした。ここで、ピンク色の髪でツインテールの少女のガイド案内が入ります。




 「みなさーん、こんにちはー、フェアドルの花咲ゆみりでーす!」

 ガイドの少女が自己紹介をすると、これまで静かだったバスの中がにぎやかになりました。




 「あ、私、知ってる!」




 「フェアドルのゆみりちゃん、有名だもんね!」




 「まさか、そんなすごい子が今日、ガイドしてくれるなんて、オレたち、ラッキーじゃん!」




 「高い費用、払った甲斐があったぜ!」




 参加者たちがそう会話している中、マイマイは、特にアイドルといったフェアドルに興味はなく、窓の外をずっと向いています。




 「みなさん、今日はよろしくお願いします!」

 ゆみりはあいさつを終えたあと、歌を歌い、参加者たちを盛り上げていました。




 マイマイは、ゆみりの歌が不思議と耳に入り、少女の方をよく見ます。




 「ここは、トウカのもりです。迷うとなかなか出られないことで有名らしいですね。でも、ツアーバスに乗っていればみんな安心!」

 ゆみりは歌のあとに、現在地を案内していましたが、そこでバスが止まってしまいます。




 「ねえ、ゆみりちゃん、本当に安心?」




 「安心ですよー」

 と、参加者の問いかけにアイドルスマイルで答えたゆみりでしたが、バス内のざわつきが収まりません。




 「ゆみりちゃん、バスが止まっちゃってるよ」




 「あ、あの、運転手さん、どうしたのですか?」

 ゆみりがたずねると、




 「申し訳ございません。バスがガス欠しました」

 と、慌てながら、運転手は答えていました。




 「ちょっとー、ガス欠って……」




 「ツアー、これじゃ、できませんよね」




 「オレたち、高い金、払って参加してるんですけどー」




 「バイトでこつこつ溜めた金でやっと参加できたツアーなのに、ふざけてる。あとで、金返して下さーい」

 何人か、参加者が怒りながら運転手に詰め寄ると、




 「おいおい、あんたたち、ここで運転手ともめてる場合じゃないだろう。おまわりさんに電話とかして、何とかしないと」




 「そうだよ。それに運転手に文句言ったって金なんか返ってこないよ。今、私がおまわりさんに連絡するから。って、うそ、ここ、携帯が圏外なんですけど」

 と、冷静な判断ができる参加者二人が、携帯を取り出し、警察に連絡しようとしましたが、つながりません。




 「じゃあ、どうすんだよ、オレたち!」




 「今回、参加してバカみてえじゃん!」




 「そうよ、そうよ!」




 「運転手さん、何とかバスの修理、できないの?」




 「お客さん、それはちょっと……」




 「おいおい、修理もできないのかよ」




 参加者たちとバスの運転手とのもめごとがエスカレートする中、マイマイはため息をつき、バスから降りようとします。




 「すみません、ちょっとあたし、降りまーす」

 マイマイが降りるとき、一瞬、しーんとなりましたが、再び参加者たちは運転手に詰め寄ります。マイマイが降りたこと、参加者の誰も気にしていませんでした。




 マイマイはバスから降りるとき、フェアドルの花咲ゆみりの姿がないことに気づき、少女を探そうとトウカのもりの中を歩いていました。




 「バイト代が、とんだ無駄になっちゃったな。もう第三回人生やり直しツアーどころじゃないね。フェアドルさーん、どこですかー?」

 ゆみりを探しているうちに、ツアーバスからだいぶ離れたマイマイです。




 彼女はだいぶトウカのもりの奥まで足を運んでいたのでした。そのときです。マイマイはピンクの妖精の姿を目にします。彼女は目をこすっていましたが、妖精のあとをつけます。すると、




 「フェアリルチェーンジ!」

 と、妖精の掛け声とともに光出し、妖精は何と花咲ゆみりに変身しました。




 「あの、フェアドル……さん?」

 マイマイは、ぽかんとした表情でゆみりを見ています。




 「きゃ、ヒューマルに変身、見られちゃった」




 「ヒューマル……?」




 「あはは……」




 マイマイとゆみりはとりあえず、その辺にあった丸太の上に座り、自己紹介をしました。




 「あたし、マイマイ」




 「私はりっぷです。チューリップの妖精です」

 と、ここでりっぷは、ゆみりから元の姿に戻ります。




 「ねえ、りっぷちゃん、花咲ゆみりちゃんと同一人物なの?」

 




 「はい、そうです。マイマイちゃんに変身、見られちゃったね」




 「ごめん、見ちゃって。でも、あたし、秘密とか他人に絶対にばらしたりしないから」




 「ありがとう、マイマイちゃん。優しいね」




 「あーあ、第三回人生やり直しツアー、とんでもないことになっちゃったな。第一回と、第二回のときもロクなことなかったけど。でも、今みたいに素晴らしい出会いがあるから、そこが人生やり直しツアーの醍醐味かな」

 マイマイが両手を頭の後ろに組み、笑顔でそう言ったあと、りっぷもにこにこ笑いました。




 「私も見つかったのがマイマイちゃんで良かったよ」




 「りっぷちゃんに一つ、聞いてもいいかな。このトウカのもり、どう抜けたらいいのかな?」




 「えっと、えっと、わからなーい」

 りっぷはひらひらと慌てながら飛んでいたのでした。




 「えー、やばいじゃん。バスに戻るまでの道もわからなくなっちゃったし、ここからカナズミシティまで何とか抜けるしかないのかな。そうだ、りっぷちゃん、魔法でトウカのもりの地図って出せるかな?」




 「やってみる。リルリルフェアリル、地図よ、出てくるリルー」

 りっぷが魔法で出した地図は何と、チーズです。




 「りっぷちゃーん、チーズじゃあなくって……」

 マイマイは苦笑します。

 



 「ウォーン」 




 「え?」




 「へ?」



 マイマイとりっぷは犬の声のした方へ振り返りました。すると、複数の犬たちが見えたかと思うと、犬たちはマイマイとりっぷを取り囲んだのです。




 「いやー、何でこんな目に……」




 「怖いよぉ……」



 マイマイとりっぷは、あまりの恐怖で身動きが取れずにいました。そして、一匹の犬がマイマイたちに攻撃を仕掛けてきたときのことです。




 「テールナー、かえんほうしゃ!」

 と、ピンクの帽子をかぶった小麦色のショートヘアに青い瞳をした少女が大きなキツネのような者を連れ、マイマイたちを助けてくれました。




 テールナーと呼ばれるキツネのような者は、持っていた木の枝から、かえんほうしゃを出し、犬たちを追い払ってくれます。




 「あの、ありがとう」

 マイマイがお礼を言うと、少女はにこっと笑い、




 「どういたしまして。今のポケモンは、ポチエナね。あ、私はセレナです。こっちはテールナー」

 と、ポケモン図鑑を開いたあと閉じ、自己紹介したのです。




 「あたしはマイマイ。りっぷちゃんも、もう隠れなくても大丈夫だよ」




 「はいっ。私はりっぷです」

 りっぷは恐る恐るセレナに自己紹介をしていました。




 「わあー、可愛い!この子がマイマイさんのポケモンですか?」




 「ううん、ちがうの」

 マイマイは、これまでのいきさつをセレナに話します。




 「そうだったのですか。トウカのもりに入ってから、ツアーバスが故障して困っていたのですね。それなら、ジュンサーさんに言えば大丈夫ですよ。この先、カナズミシティがありますから」

 セレナはポケナビを荷物から取り出し、遠くの方を指さしていました。




 「あたしたち、ちょうどカナズミシティに行きたかったところだったんだ。セレナちゃん、そこまで一緒に行ってもいい?」

 マイマイは、ぱあっと表情が明るくなります。りっぷも横で目をきらきらさせていました。




 「はい、もちろんいいですよ。一緒にジュンサーさんのところ、行きましょう」

 セレナはにこっとうなずき、オーケーしてくれたのでした。




 こうして、マイマイたちはセレナのおかげで、トウカのもりを抜けることができ、カナズミシティに着き、そこのジュンサーにツアーバスの故障のことを報告することができます。ジュンサーはガーディと言うポケモンを連れ、パトカーでけん引車も連れ、トウカのもりへ向かって行きました。




 「これでツアーバスのことは解決ね」

 と、マイマイはほっとひと息、水筒の麦茶を一口飲みます。




 「それはいいけど、マイマイちゃんもジュンサーさんとトウカのもりに戻らなくて良かったの?」

 りっぷは心配そうに言いました。




 「りっぷちゃんだって、ゆみりちゃんの姿でアイドルの仕事していたんだよね。りっぷちゃんこそ、ツアーバスのところに戻らなくて大丈夫なの?」




 「私のことは、何とかなるから大丈夫だよ」




 「それを言うなら、あたしだってどうにかなるよ」




 「ま、いっか。あははは」




 「うん、いいの、いいの。これで第三回人生やり直しツアーの参加者は、あたしだけになったのだから。ここまで来て、トウカのもりにジュンサーさんと戻ったら、ツアーが中止になって、おうちに強制的に帰されちゃうかもしれないでしょう。そんなの納得いかないもの。カナズミシティのポケモンコンテストに出ないと、あたしは帰れないね」

 マイマイがどんどんそう言うと、




 「マイマイさんも、ポケモンコンテストに出たいのですか?」

 近くにいたセレナが聞いてきます。




 「出たいというか、それが第三回人生やり直しツアーの目的だったからね」




 「私も、ここのポケモンコンテストに出たくて来たのですよ」




 「そうだったんだ。じゃあ、私と一緒に出ませんか?」




 「セレナちゃんと?やったー、誰かいると心強いな。もちろん、セレナちゃんはポケモンコーディネーターでコンテスト出場経験いっぱいあるんでしょう?」




 「いいえ、まだコンテストリボンはゼロ個の初心者です。私、元々、ポケモンパフォーマーのトップを目指してカロス地方を旅していました。そのあと今は、その修行も兼ねて、ホウエン地方各地を回ってポケモンコンテストに出て経験を積んでいます」




 「すごいね、セレナちゃん。ポケモンパフォーマーを目指して、修行しているなんて」




 「そんな大したことじゃないですよ」




 「充分、大したことだよ」




 「あの、話が変わりますけど、マイマイさん、ポケモンって持っていませんよね」




 「うん、ポケモンを持ってないと、まず、コンテストに出られないよね。でも、第三回人生やり直しツアーの職員がコンテスト会場にいるから多分、ポケモン貸してもらえると思う」




 「良かったです。わかりました。じゃあ、私はポケモンセンターに行ってから、コンテスト会場に向かいますので、マイマイさんたち、先に行ってて下さい。すぐ、追いつきますね」

 セレナはそう言ったあと、目の前のポケモンセンターに入っていきました。




 「ねえ、マイマイちゃん、あんなウソをついちゃって良かったの?第三回人生やり直しツアーの職員さん、コンテスト会場にいる予定なんてないよ」

 りっぷはメモのスケジュールを見て、マイマイのウソにすぐ気づきます。




 「いるじゃない。すぐ近くに」

 マイマイは、りっぷをちらっと見ながら言いました。




 「え、え、どこ、どこ?」

 りっぷは辺りをキョロキョロと見渡します。




 「だから、あなたのことよ、りっぷちゃん」




 「へ、わ、私ー!?」




 「お願い、りっぷちゃん、魔法でポケモンになって下さい」

 マイマイは頭を下げました。




 「ちょ、ちょっと待って、マイマイちゃん、私、よくポケモンのことわからないよー」




 「何でもいいのよ、りっぷちゃん。ほら、あのトレーナーが連れてるポケモンでも、そのトレーナーが連れてるポケモンでも」




 「そんなこと言われてもー」

 りっぷは困っています。




 「じゃあ、あれになってよ」

 マイマイはエリートな感じのトレーナーが連れているポケモンを指さし、りっぷに頼みました。




 「わかった。リルリルフェアリル、フラフラワー、ぷるぷるりっぷる、あのポケモンになるリルー」

 と、りっぷは、魔法でポケモンに変身します。




 りっぷが変身したポケモンは、赤いほっぺにギザキザのしっぽをした黄色いポケモンです。




 「か、可愛い!」

 マイマイはりっぷが魔法で変身した黄色いポケモンに抱きつきます。





 「く、苦しいよー、マイマイちゃーん」




 「ごめん、ごめん。りっぷちゃん、それじゃあ、行こうか。コンテスト会場へ」





 「うん!」





 こうして、マイマイは黄色いポケモンに変身したりっぷを連れ、カナズミシティのポケモンコンテスト会場へ向かったのでした。

 




 




 

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