君に胡蝶蘭を 7

茉夢@お題箱募集中
@mamu_au

青の心配

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「という訳で、君にはその協力をしてもらいたい」




私は今、月雲了という男と会っている。芸能界の嘘をテレビで大公開しようという話だ。芸能界がどうなろうと関係ない。




「いいですよ、協力します」




協力はする。だけど、終始笑顔でいるこの人の前では気が抜けない、油断してはダメだと本能が言っているような気がする。断ろうと思えば出来たのだろうけど、何故か断れなかったのはこの人が怖かったからなのだろう。




「ただし、それを実行するのは明日の仕事終わりでいかがでしょうか?」



「どうしてだい?」



「その方が早く気づきやすいと思って、あいつも焦るでしょう」



「...いいね、じゃあ決行は明日の夜だ。君の会社の近くに部下を待たせよう」



「お願いします」



「明日は楽しみだ、祝杯でもあげようか。じゃあね」




あの男は最後まで笑顔で去っていった。一気に緊張が解れたのか疲れがどっときた。朝からの頭痛と合わせると身体がキツくてだるい。



会計はあの男が払ってくれていたようで店から出ると昨日の雨は嘘のように晴れていた。



しばらく歩いて空を見上げると晴天で、ビルの画面には家族の思い出をアルバムにしようというカメラ会社の広告が流れていた。



こんな家族に憧れていたのかな…って考えてしまう。笑顔で食事を囲み、親孝行をしたり、楽しい家族。小さい頃はこんな家族だったのかな、私もあいつも笑顔でお父さんの事が大好きだった気がする。



今はもう呼びもしなくなった。家にも帰らなくなった。顔を見ることもなくなった。これでいいと思ったはずなのにどこか寂しいと感じてる自分がいる。



今日は何故か感情的になっている自分がいるのは、もう後戻りは出来ないところにいるからなのかはわからない。



呼んでもいいかな、もう久しく言っていない。知らない人だらけが歩いてて、私の言葉に振り向きもしない、今なら。1回だけ、だから‪......。




「...お父さん、お母さん、大和」




小さい頃を思い出しながら呼ぶ、私の声は震えていて涙を流していた。




「桜ちゃん?」




名前を呼ばれて振り向くとそこには昨日初めて会った優しいあの人がいた。



泣いている私に気がつくと、心配のようであれこれ尋ねてくるけど、別になんともない。額を触られると、熱があるじゃないかって言われて、体調が悪いのはこのせいかって思った。



熱があると気づくと、身体が余計だるく感じ頭痛も酷くなったような。熱なんて久しぶりだし、原因は昨日雨の中濡れて帰ったからだろうなぁなんて考えてると立っているのも辛くなっている気がする。





R side



桜ちゃんは熱があるって事に気づいてなくて、その事を自覚すると辛くなったみたいで気絶してしまった。丁度家が近くだから連れてきちゃったけど、大丈夫かな。



昨日は、姉鷺さんから連絡貰って廊下に出ると桜ちゃんはうずくまってて声をかけたけど結局先にリビング戻ってしまって、俺も後から戻ると桜ちゃんは帰ってしまってた。



今日は撮影が延期になっちゃって夜に音楽番組の仕事だけになったから、午前中は散歩をしてたらカフェに桜ちゃんがいたからビックリしたよ。でもどうして月雲の人と一緒にいたのかはわからないけど。



その後も気になって見てたら、桜ちゃんの目線の先にはビルの画面のようだった。その後何かを呟いていたけど聞き取れなかったけど、心配で声をかけた。



とりあえず大和くんに連絡をとろうとすると桜ちゃんは目を覚ました。まだ眠そうだけど。




「...」



「大丈夫?ここ俺の家なんだけど、桜ちゃん覚えてるかな?外で倒れちゃったんだけど、一応大和くんに連絡しておいた方がいいよね?」



「連絡しなくていいです」



「え、でも」



「しないでください、お願いします」



「...わかった。その代わり理由は聞いちゃダメかな」



「...こまめに連絡を取り合うような仲じゃないんです」




熱はそんなに高くないけど熱があるのは事実なのに、無理したような笑顔を作って言われたけど、俺はその笑顔がとても悲しそうで今すぐ泣き出しそうに見えた。




「...泣きたい時は泣いてもいいんだよ」



「泣きたいだなんて思ってないんで」



「でも君は泣きたそうにしているよ」



「...気のせいですよ、看病ありがとうございます。」




そう言うと、桜ちゃんは立ち上がって荷物を持ち玄関はどこか聞くと俺はあっちだけどって答えた。桜ちゃんは玄関の方に歩き始めていた。




「え、帰っちゃうの!?家まで送ろうか?」



「いえ、大分良くなったので大丈夫です。ありがとうございました」



「それでも心配だよ」



「お気持ちだけで充分です。それに芸能界の仕事って夜から始まる場合もあるでしょう?」




時間を確かめると確かにもう局に向かう準備をしなくてはいけない時間だった。




「じゃあちょっと待ってて」




急いで冷蔵庫にあるミネラルウォーターを桜ちゃんに渡そうと思って取りに行き、玄関に戻ると彼女はいなかった。