妖の夜にそこに光るは【総大将夢】

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@aiiro_door

夜も更けて

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すっかり日も暮れ落ちた頃、あかねは提灯も持たず暗い夜道を一人急ぎ足で歩いていた。奉公先の縮緬問屋から帰る道すがら、半分くらい来たところで、大事な忘れ物に気がついたのだ。それで引き返してから忘れ物を取りに行っていたら、こんな時間になってしまった。

近頃は夜盗や物の怪の話も聞くし、怖くて自然と足が早まる。

と、足元でぶつんと音がして、見れば鼻緒が切れている。


「あぁ……」


溜息とともに声が漏れてその場にうずくまる。

次の瞬間、背後に迫る気配。

暗闇の中でも、自分の背後に影ができるのに気がつき、あかねはうずくまったまま凍りつく。動けない。



突然首の後ろを掴まれてぐんと衝撃が走ったかと思えば、気が付いた時には首根っこを掴まれて宙吊りになっていた。懸命に身を捩ると、そこにいるのは背の高い男。闇に浮かび上がるような青白い顔で、額が広く、鼻が高い。その男が、口元だけを歪ませて不気味に笑った。

ぞくりとして、あかねはじたばたと暴れる。


「誰か……っ!」


首を強く掴まれていて、思うように声が出ない。首筋に男の顔が近付くのがわかる。あかねは、ぎゅっと目を瞑った。


その刹那、ざわりと空気が動いたのを感じ、首の圧迫感から開放される。中空に落とされた身体は、力強い腕にふわりと抱きとめられた。


「久しぶりに百鬼を背負って出てきてみたら……」


呆れたような声があかねの上から降ってくる。


「全く、外の妖なんぞに好き勝手させやがって。鯉伴のやつ……まだまだじゃな」


あかねがゆっくりと目を開けると、先程の長身の男が向こうの方に倒れていた。

血が流れていないところを見ると、どうやら蹴られて伸びているだけのようだ。


「大丈夫か?」


声をかけられておずおずと顔をあげると、金の双眼があかねを見つめていた。