君に胡蝶蘭を 4

茉夢
@mamu_au

おせっかい



1ヶ月というのはあっという間で、あの日から今日まであっという間に時間と日にちは過ぎていった。あれから定休日にはリフレッシュなどをしに行くのだが、効果が効いているのかわからない。



あの日からさらに眠れなくなったという事はないが、ちゃんと眠れているかというと否定できない。原因もわかりきっている。このままだと仕事に影響が出るのもわかっている。だけどどうしようもないからずっとひきずっている。



あの日の次の日に“言いすぎた、ごめん”というラビチャがきてから音沙汰もない。逆に何も無いのが怖い。もう少し粘るかと思っていたが、そこまでじゃなかったようで私の杞憂で終わって心の中でホッとしている。



明日は定休日だ。あの日に出来なかったことを思い出し、お風呂に入浴剤を入れようと心に決める。



今日の夜の計画をたてていたら携帯が鳴った。ラビチャがきたようであいつからだった。




“今日飲みに行かね?この前のような事は聞かないし、今回はおにーさんが奢ってやるよ”




奢りという言葉に行くという返事をしてしまいそうになる。だが本当に何も無いのか不安になる。そう考えてるとまたラビチャがきた。




“まぁ無理にとは言わねーよ、一応場所と時間だけ伝えとく。待ってるからな”




なんだかんだ片割れに甘いのだろう、待ってると言われたら行くしかないと思ってしまう。気づいた時には了承の返事をしていた。



もう私にはあいつしかいないのだろう。あいつに見放されたら私の周りには誰もいないのだ。本当に孤独なってしまう。友達は作りたくないけど、孤独にはなりたくない。我ながら矛盾しているとは思う。



定時には帰れるよう仕事を終わらせて、指定されたお店に行くとそこは個室専用居酒屋のようだった。こういう配慮されるとあいつは芸能人になったんだなと思わざるを得ない。お店に入り名前を言うと案内された。



案内された部屋に入るとあいつがいた。先に飲み始めているようだった。




「お疲れさん」



「そっちこそ、お疲れ様」




お互いに労いの言葉を言いあった。お酒を飲みつつ久しぶりに兄妹の時間を過ごした。私は最近あった仕事での達成感や愚痴など沢山喋った。





「仕事はやっぱり大変だけどやりがいはあるよ」



「そっか、ならいいけどさちゃんと飯食って寝てんのか?」



「心配しなくてもちゃんと食べて寝てるよ」



「……それ嘘だろ」





何故バレたのか、わからない。間をおかずに即答したし、体型なども変わっていない。確かに必要最低限でしか食べてない。





「……来週も飯一緒に食うか?このままだとお前がいつか倒れそうで心配だわ」





何で今更こんなに構ってくるのだろうかと思った。芸能界に入りアイドルになって自分の出生について暴露しようと1人で勝手に決めてから私達は疎遠になっていた。



普段からテレビを見ない私がアイドルとしてデビューをした片割れの事を知ったのは私が働くお店で曲が流れたからだ。いつもは意識して聞かなかったのに、片割れの声がした気がして名前をネットで検索すると沢山情報が出てきた。



デビューした事も伝えてこない、そのくらい私達は連絡を取り合わなかったのに、今更連絡をしてきて構ってくる。何か裏があるに決まっている、そうとしか考えられない。





「……来週迎えに行くから逃げんなよ」



「別に一緒に食べなくても食べてるから」



「いや、もう決めたから。来週も一緒に飯食うからな」



「勝手に決めないで、私に用事があるかもしれないでしょ」



「じゃあお前用事あんの?」



「………………」





売り言葉に買い言葉の結果、痛いところを突かれた。私に個人的な用事などないに等しいからだ。美容院などは先週行ってしまったし、友達とのご飯があるとかそれこそない。何も言い返せないのがきっと今回の敗因だ。目の前で笑顔でいるのが憎たらしくてしょうがない。なんでアイドルになれたのか私にとっては意味がわからない。





「…決まりだな」





無言が肯定となったんだろう。私は言い返せないまま来週も片割れとご飯を食べる用事が出来た。



そこからはあいつはグループの話を沢山嬉しそうに話した。嬉しかった事や楽しかった事、困った事さえも笑顔で話していく。でも目の前の裏のない明るい笑顔を見ると、本当に前と変わったんだな、一歩前に進んでしまったんだなと認めざるを得なくなってしまった。



客観的に片割れを見てしまってからは心ここにあらずの状態だった。あいつは酒飲み過ぎだろ、もう帰るか?と提案をしそれに頷いた。



会計をすませたあいつに続いて席を立ち外に出るとふらついてしまった。自分でも気づかないうちにお酒を飲みすぎたようだった。



そこから家にどうやって帰ったかは記憶にないが、次の日私は布団の中で目が覚めたから無事に帰ってきたようだ。まだ睡眠が足りないから二度寝をしてから動こうと決めて、また布団に潜り込んだ。