弟系男子は好きですか?

side赤松 2

「今日からオレ!はしゃがない!大人になる!」


宣言したオレを、キョトンとした顔で山さんが見る。

「馬鹿馬鹿しい」

サラリと呆れた顔で言う一色。

「オレ…アイス好きだぞ…?」

京ちゃんは少し困った様子でよくわからないことを言ってる。

「京の喜怒哀楽はおれくらいにしか分かんないよ」

京ちゃんに呆れ笑いでそう言う山さんは、オレの方に向き直ってにこっとする。

「そんな感情を抑えるなんてしなくていいんじゃないかな?感情表現豊かなのが赤松の良いところでしょ」

「そうかもだけど〜…う〜…」

「勝手にさせときなよ、そのうち飽きるでしょ」

一色がスマホをいじりながら興味なさそうに言ったから、なんかオレは負けた気がして

「勝手にするし!大人な対応するんだもん!」

とムキになった。



スタジオに向かう車内。

山さんと2人で撮影は久々だなー。

「ねえ赤松、スピードエア好きだったよね?」

「うん!好き!どして?」

「実は親戚がライブのチケット重複で当たっちゃったらしくて、2枚余ってるらしいんだけど…いらないかな?って思って」

「えっ?!マジで?!欲しい!」

「よかった〜!じゃあ伝えとくね」

「やったー!超嬉しっ…」

大好きなバンドのライブチケットをもらえるなんて嬉しすぎて思わずはしゃぎかけたオレはふと昨日の話を思い出す。

「……うん。嬉しい。ありがとう山さん」

キリッとした顔で言う。

「う、うん?」

不思議そうにオレの顔をじっと見る山さん。

「…な、なに?」

「いつもの赤松がいいなあ」

「いつもの…?」

山さんは優しく笑ってこう続ける

「確かに男らしいクールな大人っておれも憧れるよ?けどさ、今のこのおれを好きになってくれたファンのみんなもいる訳だし、赤松を好きになってくれたファンの子達のためにも、いつも通りの赤松でいて欲しいなあって」


オレを好きになってくれたファンの子…


「…オレ、ファンの子達がオレのどこを好きになってくれたかなんて考えたことなかった」

あの雑誌の特集だって、オレのことを弟系だと思って好きになってくれた子達のために撮影したものなんだ。

「オレが変わっちゃったら、ファンの子達悲しいよね」

ちょっとずつ話すオレの頭を

山さんは優しく撫でてくれる。

「みんなそのままの赤松が好きなんだって、前も言ったでしょ?」

笑って言う山さん。

「…うん!わかった!」

「そういう素直なところも赤松の良いところだね」


弟系男子は卒業できないかもしれないけど、ファンのみんなの気持ちを考えられるようになったオレは、ちょっと大人になれた気がする。


side赤松おわり