君に胡蝶蘭を 3

茉夢@お題箱募集中
@mamu_au

兄の企み

Y side



あんな事を言うつもりじゃなかった。“友達”というワードはあいつにとって地雷だったのを忘れていた。俺が親父の事を受け入れることが出来たからあいつも受け入れられると思っていた。



俺は救われたからIDOLiSH7に、だから受け入れる事が出来たんだろうな。あいつはまだ出逢ってないのか、信じられる仲間ってやつに。いや、あの様子だと仲間の前に友達もいねーな。



もう少しあいつの気持ちも考えてやればよかった、そう反省しながら寮に辿り着く。夜も遅いし、起きているのはミツかソウあたりだろうなと考える。寮に入って共同スペースに行くとソファーにはミツが座っていた。




「おかえり、大和さん」



「ただいま」



「あれ、酒飲んでねぇの?」



「いや、少し飲んだけど酔いが覚めた」



「大和さん、何かあった?」



「…なんで?」



「あんたが酔いを覚ますのなんてよっぽどだろ、喧嘩でもしたか?」




驚いた。心配をかけないようにしたかったがこの小さい男の前では無理だった。このまま話を掘り下げようとしなければできただろう、だがつい先日同じようなことで喧嘩したのだ。その選択は避けるべきだろう。




「うーん、まぁ喧嘩、かな」



「なんだよ、歯切れ悪いじゃん。誰と喧嘩したの?」



「…妹」



「……大和さん、妹いんの?」




ミツの反応に俺はあいつの事を言っていなかった事を思い出した。ここまできたら仕方がないので正直に話そう。




「まぁ、な」



「なんで黙ってたんだよ、教えてくれてもよかったじゃん」



「…双子なんだよ。だからリクに言うのに気が引けてな」



「あぁ、九条のこと思い出しそうだもんなぁ」



「だろ?だからなかなか言うタイミングがな」



「なるほどな。で、なんで喧嘩したの?」




このまま流されるかと思ったけど、上手くいかなかった。ここまで来ると全部言わなければいけないだろう。さっき起こった出来事をミツに話した。




「なるほどな。とりあえず大和さんが悪いのはわかった」



「だよな、もう1回後でラビチャ入れとくか」



「…大和さんはさ、どうしたいの?」



「俺は…あいつも前に進んでほしい。きっと仲がいいやつもいないから作ってほしい。そして2人で家に帰れたらと思ってるよ」



「いい兄貴じゃん、じゃあこうすればいんじゃね?」




ミツの提案は俺が考えることが出来ないものだった。だけど、これが一番いい案だと思う。俺が何か企む事を悟られないようにするのは困難だけど、これでも役者だ。妹の為に頑張ろうかね。