銀魂 〜雪魄氷姿〜

夢小説書き隊
@Lr6Ra

No.7

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ある日の晩。真選組屯所にて。



真選組隊士達が集まるその前で、一人懐中電灯を顔に照らしながら話しているのは、真選組隊士の一人、稲山であった。



(稲)「アレは今日みたいに蚊がたくさん飛んでる暑い夜だったねェ。俺、友達と一緒に花火やってたらいつの間にか辺りは真っ暗になっちゃってて、いけね、母ちゃんにブッ飛ばされるってんで帰ることになったワケ。それでね、散らかった花火片付けてふっと寺子屋の方を見たの。そしたらさぁ、もう真夜中だよ? そんな時間にさぁ、寺子屋の窓から赤い着物の女がこっち見てんの。俺もうギョッとしちゃって。でも気になったんで恐る恐る聞いてみたんだ。何やってんの? こんな時間にって。そしたらその女、ニヤッと笑ってさ…」



隊士達が息を飲んだその時…



(土)「マヨネーズが足りないんだけどォォォォォ!!」



「「「「「ギャアアアアア!!」」」」」



そして電気をつけると、そこには焼きそばにマヨネーズをてんこ盛り乗せた土方がいた。



「副長、なんて事するんですか! 大切なオチを!」



(佐)「流石に今のは、心臓に悪いです…」



(土)「知るか。マヨネーズが切れたんだよ。買っとけって言っただろ。焼きそばが台無しだろうが」



「もう充分かかってるじゃねーか! なんだよ、それ! 最早焼きそばじゃねーよ! 黄色いヤツだよ!」



「アレ? 局長?」



その声に隊士が目をやると、近藤が泡を吹きながら倒れていた。



「局長ォォォォ!!」



「大変だ、局長が!」



「マヨネーズで気絶したぞ! 最悪だァァァァ!」



そんな中、土方は静かに一人部屋を後にする。



(土)「くらだねェ。どいつもコイツも怪談なんぞにハマりやがって」








そして部屋に戻った土方は、タバコに火をつける。



(土)「幽霊なんぞいてたまるかってんだよ」



とその時、首元に蚊が飛んできて、それをペチッと潰す土方。



(土)「んだ? 最近やたら蚊が多いな…」



すると…



「死ね…死ね……死ね、土方……お前頼むから死んでくれよ……」



カツン、カツンという音と共に聞こえてきた、誰かの声。



その声に土方は思わず咥えていたタバコを落としてしまう。



(土)「ま、まさか本当に…」



そして土方が襖を開けると、そこには…



(土)「………!」



頭にロウソクを乗せ、白装束を着た総悟が庭に立っており、咄嗟に後ろ手に何かを隠した。



(土)「何してんだ? てめー、こんな時間に…」



(沖)「ジョ、ジョギング…」



(土)「ウソつくんじゃねェ! そんな恰好で走ったら頭火だるまにならァ! 儀式だろ。俺を抹殺する儀式を開いていただろ!」



土方の言う通り、庭にある木には藁人形に突き刺さった土方の写真、さらに総悟の手には金槌と釘が握られていた。



(沖)「はぁ…本当に自意識過剰な人だ。そんなんじゃノイローゼになりますぜィ」



(土)「何を…!」



とその時…



(土)「………!」



土方は気付いた。



屯所の屋根から髪の長い女がこちらを見ていた事に…。



(沖)「どうしたんでィ、土方さん」



(土)「総悟、今あそこに何か見えなかったか」



だが総悟が見ると、そこには何もない、ただの屋根の瓦が広がっているだけだった。



(沖)「いいえ? 何も…」



(土)「(確かに今…)」



「ギャァァァァァァァァ!!」



(土&沖)「「………!」」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~数日後~



屯所の一室には、何十人もの隊士達が布団の上に横たわっていた。



(土)「ひでーな、まったく。オイ、これで何人目だ」



(佐)「18人目です。隊士の半分以上がやられています。



(沖)「流石にここまでくると薄気味悪ィや」



(土)「冗談じゃねーぞ。天下の真選組が幽霊にやられてみんな寝込んじまったなんて、恥ずかしくてどこにも口外出来んよ。情けねェ」



(近)「トシ、俺は違うぞ。マヨネーズにやられた」



(土)「余計言えるか」








(沖)「みんなうわ言のように『赤い着物を着た女』って言ってるんですが、稲山さんが話してた怪談のアレかな?」



(佐)「そんなもの、実在するわけないだろう」



(土)「幽霊なんぞいてたまるか」



(近)「霊を甘く見てたらとんでもない事になるぞ、トシ、伊吹。この屋敷は呪われてるんだ。きっととんでもない霊にとり憑かれているんだよ」



(土)「何をバカな…」



だがその土方の頭を、数日前に長い髪の女がよぎる。



(土)「いや、ないない…」



(山)「局長、連れてきました」



(近)「おう、山崎、ご苦労」



その山崎の後ろには、怪しい格好をした三人がついてきていた。



(山)「街で探してきた、拝み屋です」



(?1)「どうも」



(佐)「…何ですか、こいつら」



(土)「サーカスでもやるのか?」



(近)「いや、霊を祓ってもらおうと思ってな」



(土)「オイオイ、冗談だろ?こんな胡散臭い連中」



(?2)「おお! アラお兄さん、背中に…」



(土)「なんだよ。背中になんだよ」



すると顔に包帯を巻いた男と、中華風の服に身を包んだ女がコソコソと何かを話す。



(?1)「ぐふふ…ありゃもうダメだな」



(土)「何? コイツら。斬っていい? 斬っていい!?」



(近)「先生、なんとかなりませんかね。このままじゃ恐くて一人で厠にも行けんのですよ」



(?2)「任せるネ、ゴリラ」



(近)「アレ? 今ゴリラって言った? ゴリラって言ったよね?」



(佐)『…ネ…?』








(?1)「ざっと屋敷を見させてもらいましたがね、こりゃ相当な強力な霊の波動を感じますなぁ、ゴリラ」



(近)「あ! 今確実にゴリラって言ったよね!?」



(?2)「まあとりあえず除霊してみますかね。こりゃ料金も相当高くなるゴリヨ」



(土)「オイオイ、なんか口癖みたいになってんぞ」



(沖)「して、霊はいかようなものゴリか?」



(近)「移った!」



(?2)「えっと、うーん……工場長」



何かを言いかけたチャイナ風の女を殴る包帯の男。



(?1)「えっと…ベルトコンベアに挟まって死んだ工場長の霊です」



(近)「あの…みんなが見たって言うのは女の霊なんですが……」



すると今まで黙っていた、グルグル眼鏡の男が口を開く。



(?3)「間違えました。ベルトコンベアに挟まって死んだ工場長に似てるって言われて自殺した女の霊です」



(土)「長ェよ! 工場長のくだりいるか!?」



すると、彼らが来てからずっと黙っていた佐野が、はぁ、とため息をついた。



そして、



(佐)「…くだらない」



と一言言うと、立ち上がる。



(近)「あっ、伊吹!どこに行くんだ!?」



と近藤が言う頃には、佐野はスタスタとその場を去ってしまっていた…



(?1)「…あー、とりあえずお前、山崎とか言ったか」



(山)「えっ…」



(?1)「お前の身体に霊を降ろして除霊するから」



(山)「えっ、ええ…ちょっと待ってください。あの…除霊ってどうやるんですか?」



あっという間に山崎を囲む拝み屋。



(?1)「お前ごとシバく」



(山)「なんだ!? それ誰でも出来るじゃねーか!」



(?2)「ほあ!」



女の方が山崎のお腹を思いっきり殴った。



途端に山崎が前のめりになる。



(?1)「はーい、今コレ入りました。霊入りましたよ、コレ」



(土)「霊っていうかボディーブローが入ったように見えたんですけど…」



(?2)「違うヨ。私入りました。えー、みなさん今日でこの工場は潰れますが、責任は全て…」



(近)「オイ! 工場長じゃねーか!」



(?2)「あれー? なんだっけ?」



(?1)「バッカ、お前。ベルトコンベアに挟まれて死んだ女だよ(小声)」



(?3)「だっ! ベルトコンベアに挟まれる女なんているワケないでしょ!? ベルトコンベアに……アレ?(小声)」



(?1)「もういいから普通の女やれや」



(?2)「無理ヨ! 普通に生きるってのが簡単そうで一番難しいの!」



(?1)「誰もそんなリアリティー求めてねーんだよ!」



(?2)「うるさい! ミイラ男。お前の格好にリアリティーがなさすぎネ!」



(?1)「なんだと!? コラァ! こんなんしてた方がミステリアスだろーが!」



(?3)「あー、もうお前らやめろや! 仕事中ですよ!」



たちまちモメ合いになる三人。



すると被っていた帽子が脱げ、その下に現れたのは、銀髪とサーモンピンクの髪…。



そう…これらは全て万事屋三人の変装だったのだ。








〜 あやのside〜


(あ)「ア"ア"ア"ア"ア"〜〜…」



うわっ、ひどいなこりゃ…。


あたしは自分の喉から出た声に思わず顔をしかめる。


…どうやらあたしは夏風邪になってしまったらしい。


朝起きたら頭痛がひどく熱もあり、おまけに声が出なかったのだ。


それで今日は仕事を休ませてもらったのである。


薬を飲んで寝たおかげで熱と頭痛は治まった。


声も出るようになってきたが、何しろガラガラで…



(あ)『暇だなぁ…』



こんな声じゃ歌も歌えない。


おまけに今は部屋に1人。


…こんなに静かだったかなぁ、この部屋。



(あ)『早くみんな帰ってきてくれないかなぁ…何か寂しいよ…』



ぐで〜っとソファーに横になって小さくため息をついたときだった。




ジリリリリリリンッ ジリリリリリリンッ



(あ)『げ』



何でこんな時に電話!?

声ガラッガラなんだけど今!


…でも、依頼かもしれない。

お金に関してはいつもピンチなので無視するわけにもいかない。



ガチャッ



(あ)「あ"い"、も"しも"し(ズビッ)」


(?)『……』


(あ)「……」


(?)『……』


(あ)「……あ"の"」


(?)『…すみません間違いました』



ガシャッ



あれ、切れた。


タダの間違い電話か。

それなら出なきゃよかったよ。


よっこらしょ、とソファーにダイブした時だった。



ジリリリリリリンッ ジリリリリリリンッ



…なんか、やたら今日は電話がかかってくる。



ガチャッ



(あ)「あ"い"、も"しも"し」


(?)『……』


(あ)「……」


(?)『…すみません間違いました』



ガチャッ



何だ?間違い電話多いな全く…



と、ソファーにダイブした時、



ジリリリリリリンッ ジリリリリリリンッ



またかよ!?どんだけ電話かかってくんの!?



(あ)「あ"い、も"しも"s」


(?)『間違えました』



ガシャッ



オィィィィィ!!

いい加減にしろよコノヤロー!

何か3回ともおんなじ声な気がするんだけど!?

どんだけ間違えりゃ気が済むんだ!




ジリリリリリリンッ ジリリリリリリンッ



…あたしの中で何かが切れた。




ガシャッ




(あ)「ごぢら"万事屋でずがァーーーーァ!!何かご用でずかア"ア"ア"ア"ア"!?」



ゼーハーゼーハー…



(?)『…万事屋にそんな声の奴は居ないはずだが。誰だ貴様は』



「貴様」っ…!?こいつ、客の分際で生意気な!



(あ)「万事屋銀ちゃん従業員のあやのですが何かっ!?」



…あれ、声治った。



(佐)『お前か。…俺は真選組四番隊隊長の佐野という者だが』



(あ)「とっくに知ってるわよンなこと!何度も何度もかけ直しやがって!」



(佐)『…いや、すまない。本当に間違えているのかと思った』



今回ばかりは悪いと思っているのか、素直に謝ってきた。


…というかこの人、実は天然なのか?

同じ所に4回も繋がれば気づくよフツー…



(あ)「…で、何か用?仕事の依頼なら銀さん達がいないんで確実に引き受けるとは言i」



(佐)『そのアホ共3人が今こちらでバカをやっている。無事に返して欲しければ今すぐ屯所へ来い』



ガシャッ



…なんか脅迫されたァァァ!!


何だ今の誘拐犯っぽいよ銀さん達を人質にして何かしようとしてる奴の口調だよ警察の言う言葉じゃないよ!



(あ)「…そう言えば銀さん達、おばけ退治に行くって変な格好で出ていったな…」



…まさかあの人達、真選組(けいさつ)相手に偽商売やろうってんの?



あたしははぁ、と大きくため息をつくと、少し重たい体を引きずりながら万事屋を出た…



ーーーーーーーーーーーーーーー


屯所へ行ってみると、入り口の所で佐野さんが腕組みをして壁にもたれかかっていた。



(あ)「…あ、あのー…」



(佐)「…」



(あ)「…何か怒ってる?」



(佐)「警察相手に商売する奴があるか。しっかり鎖で繋いでおけ」



(あ)「犬じゃないのよ銀さん達」



あたしのツッコミは無視して、佐野さんは屯所に入っていった。


いつもなら「スルーかい!」とツッコむところだが、銀さん達が人質に取られている以上、余計なことは言えない。



(佐)「…風邪か?」


(あ)「は?」



仕方なく大人しく着いて行ったら、急に佐野さんから話しかけてきた。



(あ)「…ま、まぁ…ちょっとね…」


(佐)「…呼び出して悪かったな」


(あ)「は、はぁ…」



…本当、この人はよく分からない。

優しいんだか冷たいんだか…


彼の真っ黒な瞳からは、何も読み取れないのだ。



(あ)「…それで、銀さん達は…」


(佐)「あそこだ」



佐野さんの視線の先には…気から逆さに吊るされた3人の姿があった。




ーーーーーーーーーーーーーーー


(あ)「すみませんでしたァァァァァ!!」



あたしはスライディング土下座を土方さん達にかましていた。



(土)「ったく…」



銀さん達は何とか降ろしてもらい、今は地面に寝転がっていた。


土方さんは銀さん達の方へと歩いていく。



(土)「本来ならオメーら叩き斬ってるところだが、今日のところはこのクソケチャラーに免じて許してやる」


(あ)「…何かクソケチャラーってラッパーみたい。クソチェケラー!みたいな」


(沖)「いやまず否定しろよ」


(土)「それに、今はお前らの相手する程暇じゃねーんだよ。消えろや」



すると、銀さんと神楽が身を寄せあってコソコソと言い始める。



(銀)「なーに? 幽霊が怖くて何も手につかないってか?」



(神)「かわいそうアルな。トイレ一緒についてってあげようか?」



銀さんと神楽が小馬鹿にしたような顔つきで言う。



(あ)「(幽霊?)」



すると近藤さんが急いで私たちの方へやって来て…



(近)「武士を愚弄するか!







…………トイレの前まで、お願いします!」





…近藤さんが神楽の前で頭を下げた。



(土)「お願いするんかい!」



(近)「いやぁ、さっきから我慢してたんだ。でも怖くてな…」



(土)「………」



(神)「ほら、行くヨ」



(近)「はい!」



二人は歩いて行ってしまった。



(土)「オイ、それでいいのか!? アンタの人生それでいいのか!? オイ!」



近藤さんが厠へ向かった所で、あたしはずっと気になっていた事を聞く。



(あ)「あの、さっきから暇じゃないとか幽霊だとか…一体何があったの?」



(沖)「…『赤い着物の女』って知ってますかィ?」



聞いた事のない言葉に、あたしは首を横に振る。



(沖)「この前、真選組内で夜に怪談話をしてたんでさァ。そこで稲山さんが話してたのが『赤い着物の女』の話。蚊がたくさん飛んでいた日に友達と花火をしていた時の事。気付けば当たりはいきなり真っ暗になっていた。帰る事とにし、後片付けをして、ふと寺子屋の方を見ると…真夜中なのに寺子屋の窓から赤い着物の女がそっちを見ていたんでさァ。恐る恐る「どうしたの?」って話かけると、その女はニヤッ…と笑って……」



あたしはごくりと息を飲む。



(沖)「『マヨネーズが足りないんだけど!?』」



(あ)「ぎゃあああああ! ……って、え?」



(沖)「…って土方さんが入って来て、台無しになりやした」



(土)「俺のせいかよ!」



(沖)「あれから隊士の半分以上がやられて寝込んでいるんでさァ。やられたみんなはうわ言のように『赤い着物の女』って言うんですぜィ」



(あ)「へ、へェ…。だから除霊師を探してたのね」



(土)「ったく…てめーら、この事は他言しないでくれ。頭下げっから」



(新)「なんか相当大変みたいですね。大丈夫なんですか?」



(土)「情けねーよ。まさかこんな幽霊騒ぎ如きで隊がこんなに乱れっちまうとは…。相手に実態があるんなら刀でなんとでもするが、無しときちゃあこっちもどうすりゃいいのか…皆目見当もつかねェ」



(銀)「え? 何? おたく、幽霊なんて信じてるの? イタタタタ、イタイよォ。お母さん、ここに頭ケガした人がいるよォ!」



銀さんが土方さんをバカにする。



(土)「お前、いつか殺してやるからな!」



(沖)「まさか土方さんも見たんですかィ? 赤い着物の女…」



(土)「分からねェ…。だが妙なもんの気配はした。ありゃ多分人間じゃねェ」



(あ)「………」



土方さんが言う位だからよっぽどなのかな…。

この人幽霊とか信じなさそうだし…



(銀&沖)「「イテテテテテ、イタイ、イタイよォ、お父さん!」」



(沖)「絆創膏持ってきて! 出来るだけ大きな、人一人包みこめる位の!」



今度は銀さんに加え沖田さんも一緒になって、土方さんをバカにする。



(土)「オメーら打ち合わせでもしたのか!?」



(あ)「でも真選組の人達が倒れる位なんだよね…」



そう思うと少し怖くなってきた。



(あ)「あああ、幽霊さん…お願いだから殺さないでください! あたし美味しくないから!」



(銀)「大丈夫だ、俺がちゃんと護ってやる!」



銀さんが胸をポン、と叩く。



(あ)「ホント!? 銀さん!」



(土)「俺の時とはエライ扱いの違いだな、オイ…」



(新)「赤い着物の女か…。確かそんな怪談ありましたね」



新八君が何かを思い出したかのように呟く。



あたし達がぱっつぁんの方を見ると、ぱあが話し始めた。



(新)「僕が通ってた寺子屋でね、一時そんな噂が流行ってたんですよ。えーっと、なんだっけな……。夕暮れ時にね、授業が終わった生徒が遊んでいるとね…」



あたしの背中を冷や汗が伝った。



(新)「もう誰もいないハズの校舎に…赤い着物を着た女がいるんだって」



(あ)「ひぃぃ……!」



(新)「それで、『何してんだ』って聞くとね…」



(近)「ぎゃああああああああああ!!」



(銀&あ&新&土&沖)「「「「「………!」」」」」



悲鳴が聞こえた。



ーーーーーーーーーーーーーーー


悲鳴が聞こえた後、あたし達は急いで厠に向かう。



(あ)「神楽、何があったの!?」



神楽は近藤さんが入っているであろうドアの個室をドンドン叩く。



(神)「チャックに皮が挟まったアル」



(銀)「は?」



(土)「どけどけどけ!」



あたしと銀さんに続いて、土方さんと沖田さんと佐野さんが厠に入ってくる。



土方さんがドアを蹴り開けると、そこには逆さまになって便器に顔を突っ込んでいる、恐らく近藤さんであろう人がいた。



(銀&あ&神&新&土&沖)「「「「「「………」」」」」」



(銀)「なんでそーなる…?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それからあたし達は近藤さんを部屋に運び、布団の上に寝かせる。



(近)「あ、赤い着物の女が…。ぁ、あぁ…。くっ…来る! …こっちに来るよ! あぁっ…!!」



近藤さんは布団の上でうなされていた。



(沖)「近藤さん、しっかりしてくだせェ。いい歳こいてみっともないですぜィ、寝言なんざ…」



(銀)「これはアレだ。昔泣かせた女の夢でも見てるんだ」



(土)「近藤さんは女に泣かされても、泣かした事はねェ」



(銀)「じゃあアレだ。オメーが昔泣かせた女が嫌がらせしに来てんだ」



(土)「そんなタチの悪い女を相手にした覚えはねェ」



(銀)「ふーん、じゃあ何?」



(土)「そんなん知るか!」



(あ)「とりあえず『過去の女』っていうのから離れようよ…。っていうか沖田さん何してるの!?近藤さんが死んじゃうよ!?」



沖田さんは寝ている近藤さんを起こし、後ろから羽交い絞めにしていた。



近藤さんの首がボキッという音をたてる。



(あ)「だあああああああ! みんな一回落ちつけェェェェェ!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その日の夜。



(土)「だが、この屋敷に得体の知れねーもんがいるのは確かだ」



(新)「やっぱり幽霊ですか?」



(銀)「はぁ? 俺はな、幽霊なんて非科学的なものは信じねェ。ムー大陸はあると信じてるがな」



銀さんは鼻くそをほじったその手を神楽の頭の上にポンと置く。



(銀)「はぁ、アホらしい。つき合いきれねーや。オイ、てめーら帰るぞ」



銀さんが立ち上がり、あたし達も立ち上がる。



(新)「銀さん…なんですか、それ?」



何故か銀さんの手には、それぞれあたしの手と神楽の手が握られていた。



(銀)「これはなァ、オメーらが怖いだろうと思って気を使ってやってるんだろーが。それとも何だ? 新八。オメーも繋いでやろうか?」



(神)「銀ちゃんの手、汗ばんでて気持ち悪いアル」



(銀)「な、何言って…」



(あ)「あたし、そこまでしてもらわなくても大丈夫だよ?」



ていうかもしかして銀さんが恐いんじゃ…。この手汗はもしかして冷や汗?



(沖)「あ、赤い着物の女…」



沖田さんがそう言うと、銀さんは襖を破って押入れの中に頭を抱えて丸くなる。冗談なのに…。



(新)「…何やってんすか、銀さん……」



ぱっつぁんが冷ややかな目で銀さんを見つめる。



銀さんは顔を上げ、周りをキョロキョロと見渡す。



(銀)「え、あぁ…いや、ムー大陸の入口が……」



(沖)「旦那…アンタもしかして幽霊が……」



(銀)「なんだよ…」



やっぱり銀さん、幽霊が恐いんだ。



(沖)「土方さん、コイツは……アレ?」



物音のする方を見ると、土方さんが逆さまになって壺の中に顔を突っ込んでいた。



(佐)「…副長」



(沖)「…土方さん、何やってるんですかィ?」



ぱっつぁんと同じように冷ややかな目で土方さんを見つめる沖田さんと佐野さん。



土方さんが壺から出てくる。



(土)「いや、あの…マヨネーズ王国の入り口が…」



あたしらは二人を冷ややかな目で見つめると、背を向け部屋を出て行こうとする。



(銀)「待て待て待て! コイツはそうかもしれんが、俺は違うぞ!」



(土)「ビビってるのはオメーだろ! 俺はアレだ…ただ胎内回帰願望があるだけだ」



(神)「分かった分かった。ムー大陸でもマヨネーズ王国でもどこへでも行ってろ」



(銀&土)「「何だ!? その蔑んだ目は!」」



と、二人が同時に言った時だった。



(あ&神&新&沖&佐)「「「「「………!」」」」」



(土)「何だ? オイ」



(銀)「驚かそうったって無駄だぜ。同じ手は食うかよ」



あたし達は口を開けたまま固まってしまっていた。



(あ)「ぁ…ぁぁ…」



(銀)「オイ、しつこいぞ! あやのまでどうした!?」



(神&新&あ&沖)「「「「あぁぁぁぁ!!」」」」



あたし達は悲鳴をあげながら逃げだした。



…ふと、視界の端で、目を見開いて呆然と突っ立っている佐野さんをとらえた。


咄嗟にあたしは佐野さんの腕を掴み、神楽達を追って走り出した…。




〜 no side〜



(銀)「ったく、手のこんだ嫌がらせを…」



(土)「これだからガキは…」



(銀&土)「「引っかかるかってんだよ!」」



だが二人が後ろを振り返ると、そこには赤い着物の女が天井から逆さまになっていたのだ。



(銀&土)「「こ、こんばんは…」」



二人は後ずさり、銀さんは土方さんと共に走りだす。



部屋を飛び出すと、前には先に逃げた5人がいた。



(土)「オイ、待て! 何でお前ら逃げるんだ!」



(銀)「オイ、ちょっと待て。なんか後ろ重くねーか?」




(土)「知らん! 俺は知らん!!」



(銀)「いや、乗ってるって。だってなんか後ろ重いもん!」



(土)「うるせーな! 自分で確認すればいいだろーが!」



(銀)「おおお、お前、ちょっと位見てくれてもいいんじゃねーの!?」



(土)「ちょっと待て、こうしよう。せーので2人同時に振り向く!」



(銀)「お前絶対見ろよ!?裏切るなよ!?絶対見ろよ!?」



(銀・土)「せーの!!」



二人が立ち止まって後ろを振り向くと、そこには見た赤い着物の女がいた。



(銀&土)「「こ、こんばんは…」」




沈黙が流れる。そして…



(銀&土)「「ああああああああああ!!」」



二人の悲鳴が夜空に響いた。






〜 あやのside〜



(あ)「はぁ…はぁ…」



あたしはその場に座り込んで息を整える。



(佐)「…無事か」


(あ)「そっちこそ……ぼさっと突っ立ってて、死にたいの?」


(佐)「うるさい」



先程はあたしが佐野さんの手を引いていたが、いつの間にか立場は逆転し、佐野さんがあたしを引っ張っていた。


そして急に、「こっちだ!」と言われて来たのが屯所の裏。


どうやら幽霊は追ってこなくなったようなので、少しやすんでいるのである。


…その間にも、あたしらの周りをプンプンと飛び回る蚊…



(あ)「うるっさいなー、もう…」



あたしは懐から蚊取り線香を取り出して火をつけた。


独特な匂いがその場を包む。



(佐)「…何で持ってるんだ…」


(あ)「夏にこれは必需品よ」


(佐)「いや、そうだが…普段持ち歩くものなのか…?」


(あ)「はいはい、細かいことは気にしないのー」



細く上がる煙をあたしはじっと見つめる。


…しばらくの間、沈黙が続いた。



そしてその沈黙を破ったのは、意外にも佐野さんだった。



(佐)「……あやの」


(あ)「…え、」



あたしはビックリして佐野さんを見た。


初めて名前を呼ばれたような気がしたからだ。



(あ)「…あ、の…」



佐野さんは、何かすごく迷っているような顔をしていた。


そして、



(佐)「……お前は一体、何者だ?」


(あ)「え、」



思わずあたしは言葉に詰まった。


…言ってはいけない。

言ってしまったらきっと、あたしはまた…


…だけど、佐野さんの真っ直ぐな瞳に見つめられ、吸い込まれそうになる。


思わず見入ってしまう、綺麗な瞳。



(あ)「…あたし、は、」



そう答えかけた、その時。


スっ…とあたし達の上に影がかかった。



(あ)『…まさか…』



あたしも佐野さんも、お互いに引きつった表情のまま、見つめあっていた。


そして、恐る恐る上を見上げると…



(あ)「ギャアァァァ━━━━━━━━━━━━!!!!!!」



赤い着物の女が、いた。


てゆーか飛んでる!何か飛んでるアイツ!


女は口を開け、長い舌のような物を出しながらあたし達に近づいてくる!



(あ)「ひぃぃぃぃっ!来るな来るな、悪霊ォォォ退散ンンン!!!」



半分パニックになっているあたしは女に向かって蚊取り線香を投げつけ、ぎゅっと目を瞑った。


…しかし、



(あ)「…あれ?」



いつまで経っても、襲われる気配がなかった。


あたしは恐る恐る目を開ける。


ーーーそこには、既に女はいなかった。


ふと横を見れば、刀を抜いて構えている佐野さんの姿があった。


…まさか、



(あ)「…佐野さんがやったの…?」



まさか、あたしはまた、この人に…。



(佐)「…俺じゃない、お前だ」


(あ)「へっ?」



佐野さんは転がっていた、あたしが投げた蚊取り線香を拾い上げる。



(佐)「…奴は、幽霊なんかじゃない。…奴は、」





〜 no side〜


…プーン…プーン…



(銀&土)「「さっきからプンプンうるせーんだよ!」」



銀時と同時に、池の中から土方が顔を出す。



(銀)「てめー、生きてやがったのか」



(土)「てめーこそ悪運の強い野郎だ」



(銀)「アイツはどこ行きやがった?」



(土)「さーな…。他の奴の方に向かったんだろう。」



(銀)「実はよ、さっき追いかけられてる時、ずっとアイツにメンチきってたんだ。あれ効いたな」



(土)「ほざけよ、てめー。俺なんて追いかけられてる時ずっと奴をつねってた」



(銀)「小さいんだよ。俺なんてお前…」



銀時が言いかけると、近くの茂みが揺れた。



それと同時に二人は同時に池に潜る。



けど出てきたのは…



「ゲコッ」



すると、二人は池から顔を出す。



(銀)「さーて、水も浴びてスッキリしたし、ここから反撃といくかな」



(土)「無理すんなよ、声が震えてるぜ。奴は俺が仕留める。ヘタレは大人しく家でヘタレてな」



(銀)「ビビってんのはてめーだろ! わざわざ池に飛び込んだのは股間がびっしょりだったからじゃねーの!?」



(土)「なんだてめー。幽霊の前にてめーを退治してやろーか!? てめーにはいろいろと借りがあるからな。延滞料金つけてここでキッチリ返してやってもいいんだぜ?」



(銀)「アレ? 俺なんか貸したっけ? いいよ、そのままあげるから。僕もう新しいファミコン買ったから」



たちまち二人は池の中で喧嘩を始めてしまう。



…その間にも、やけに蚊の飛ぶ音が耳につく。



(銀&土)「「プンプンうるせーな!」」



2人の声がハモる。






しかし2人が見たもの…。それは空を飛んでいる羽の生えた赤い着物の女だった。



女が舌を出して二人に襲いかかってくる。その攻撃を一生懸命かわす。



(土)「なな、なんだよ…。飛んでるとかアリかよ…」



(銀)「なななな、なんだお前。ひょひょひょ、ひょっとして、ビビビ、ビビってんのか? お前」



(土)「バババ、バカ言うな。おおお、俺を誰だとおお、思ってるんだお前」



(銀)「じょ、上等じゃねーか。よーし、じゃあお前は奴を引きつけろ。おおお、俺は…アレするから」



銀さんが逃げようとする。その手を土方さんが引っ張り、銀さんが逃げるのを阻止する。



(土)「オーイ、アレするからって何だ? エスケープか? ずらかるつもりだな? てめー…」



(銀)「ちちち、違げーよ。あの…アレだ。バズーカで撃つ…」



(土)「バズーカなんてどこにあるんだよ!?」



(銀)「人はみんな心にバズーカ持ってるんだよ!」



(土)「てめーだけ逃げようったってそうはいかねェ!」



二人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。



その間にも赤い着物の女が二人に襲いかかる。



すると、


土方は咄嗟に銀時にジャーマンをかました。



(銀)「ぬうおおおっ!」


(女)「っ!?」



銀時がゴツンと運良く(?)当たり、銀時と女は倒れてしまう。


そして土方は立ち上がった。



(土)「敵前逃亡は士道不覚悟だ。もっぺんやり直すんだな」



すると…



(土)「っ!?」


(銀)「ぬうおおおおおおっ!」



何と、のびていたと思っていた銀時が女を持ち上げて立ち上がったのだ!


そして、



(銀)「何しやがんだてめー!!」



と、女を土方に向かって投げつける。



ドガンッ!!



鈍い音がして、衝突した二人は地面に倒れ込んだ。



(銀)「俺に侍道を説くなんざ100年早ぇんだよ……ん?」



そう吐き捨てる銀時の目に映ったのは、白目を剥いてのびている女の姿…。




ーーーーーーーーーーーーーーー

〜あやのside〜


次の日。



真選組内では、昨日の銀さん達と同じように赤い着物の女が木の枝から逆さまに吊るされていた。



(女)「あの、どうもスイマセンでした。私、地球でいう蚊みたいな天人で、最近会社の上司との間に子供ができちゃって…。この子産むためにエネルギーが必要だったんです! あの人には家庭があるから、私一人でこの子育てようって…。それで血を求めて彷徨ってたら、男だらけでムンムンしているエサ場を見つけてつい…。ホントスイマセンでした。でも私、強くなりたかったの! この子育てるために、強くなりたかったの!!」



近藤さん達真選組の人達にに一生懸命説明していた女は、怖い顔をした。



(近)「スイマセン、その顔の影濃くするのやめてもらえませんか?」



あたしと銀さんと土方さんと佐野さんはその光景を縁側から見ていた。



(銀)「ったくよ、幽霊にしても蚊にしてもハタ迷惑だって事には変わりねーな」



(土)「ハタ迷惑なのはてめーだ。報酬なんざやらんと言ってるだろ。消えろ」



(銀)「てめー、俺の一撃が全てを解決したのを忘れたか?」



(土)「何言ってんだ。別に俺は助けてもらわなくたって自分でなんとかしてたさ」



(銀)「ビビりまくってたくせによく言うぜ。まさか鬼の副長が、」



(あ)「まあまあまあまあ!」



ケンカが始まりそうだったので、あたしは慌てて仲裁に入った。



(あ)「そっ、それよりもさ!佐野さんよくあれが天人だって気づいたよね」



佐野さんがあたしをちらりと見た。



(土)「…伊吹、気付いてたのか」



(佐)「薄々と、ですが。…やられた隊士全員に蚊に刺された痕がありました。そして奴は、あやのの投げた蚊取り線香にぶつかり、匂いに反応して逃げた…幽霊なら実態はないのですから当たるはずがありませんし、このご時世ですからそのような天人がいてもおかしくないかと」



(銀)『こいつ何ちゃっかりあやのの名前呼ぶようになってんの!?んでもって何で俺はこんなにモヤモヤしてんだ!?』



(土)「なるほどな、流石は伊吹だ」



…銀さんがそんなことを思っていたとは全く知らず、明らかにムッとした銀さんにあたしは首をかしげた。


すると、



(神)「銀ちゃん、そろそろ帰る………何やってるアルか? 二人共…」



神楽が部屋の襖を開けて出てくると、銀さんと土方さんは床下にもぐりこんだ。神楽が赤い服を着ていたからだろう。



(銀&土)「「いや、コンタクト落としちゃって…」」





…どうやら二人は似たもの同士のようだ。








(……何者、か。……あたしは、)