銀魂 〜雪魄氷姿〜

夢小説書き隊
@Lr6Ra

No.4

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登)「コルァァァァァ、クソジジイ! 平賀出てこい、コノヤロー! てめーはどれだけ近所の皆さまに迷惑かけてんのかわかんねーのか!? 昼夜問わずガチャコンガチャコン。ガチャコン戦士か!? オメーは!」



「ウチの息子なんてなァ、騒音で気ィ散っちゃって受験落ちちゃったぞ! どーしてくれんだ!」



(登)「江戸一番のからくり師かなんだか知らねーがガラクタばっかり作りやがって。あたしらかぶき町町内会一同も我慢の限界だ!

…オイ野郎共、やっちまいな」



みんながあたし達のいる後ろを振り向く。

そう、今日のお仕事は近所迷惑なからくり師の騒音を止めてほしい、という依頼。

現にお登勢さん中心に町内会の人たちが叫んでいる間もガチャガチャと物音がやまなかった。



あたし達は前へ進み出る。

屋根に『源外庵』とたてかけられたその家はシャッターが閉められていた。



持ってきたスピーカーとラジカセを地面に置き、ぱっつぁんマイクを握る。



(新)「一番、かぶき町から来ました、志村新八です。よろしくお願いします!」



周りが突然の出来事に騒ぎだす。



ぱっつぁんがマイクを握ると同時に、あたしと銀さんは耳を塞ぐ。

再生ボタンを押すと、スピーカーから爆音が流れ出す。そして…



(新)《ちょめちょめーーーーー!!! ちょめちょめーーーーー!!!》



(登)「のォォォォォ!! ちょちょちょ、ストップストップストップ! オイ、止めろ、コラァ! あたしゃ騒音止めてくれ、って言ったんだよ! なんだコレ! 増してるじゃねーか! 二つの騒音がハーモニー奏でてるじゃねーか!」



(銀)「いじめっこ黙らせるには同じようにいじめるのが一番だ。殴られた事のねェ奴は人の痛みなんてわかりゃしねーんだよ!」



(登)「分かってねェのはてめーだ! こっちは鼓膜破れそうなんだよ!!」



(銀)「何言ってんだバーさん! 一番イタイのは新八だ! 公衆の面前で音痴晒してんだから!」



(あ)「いよーし、よくやったわぱっつぁん!あんたの恥はあたしの恥!同じもん背負って生きていこう!っつーわけで次あたしね!」



あたしは半ば強引にぱっつぁんからマイクを奪い、曲を流す。



(あ)《あんのっ頃はぁ〜! ハッ!! 2人ともぉ〜! ハッ!!》



(登)「ああああああ!うるせーよ!!おめーはどんだけ『ハッ!』に魂込めてんだい!」



(神)「あやの、次歌わせてヨ!北島五郎の新曲手に入れたネ!」



(あ)「あ、ちょっ、神楽!今いいとこ!」



(新)「僕にも歌わせてくださいよ!」



という具合にマイクの奪い合いが始まる。



(銀)「あーあ、何やってんだアイツら。ったくしょーがねーな…。オイ、次歌うの俺だぞ!」



(登)「オメーら一体何しに来たんだ!? もういい。てめーらの歌聞く位ならあたしが歌う! 貸せ!」



銀さんとお登勢さんがマイクの取り合いに加わる。



(銀)「てめーの歌なんて聞きたくねーんだよ! 腐れババア! 黙ってろ!」



(登)「なんだとォォォォォ!? じゃあデュエットでどうだ、コノヤロー!」



(あ)「おおお!じゃ、『古い日記』歌いましょう!あたし、『ハッ』って言うんで!」



(登)「だからおめーはどんだけ『ハッ!』が好きなんだよ!!」



すると、突然シャッターが開いて誰か…じゃなくてロボットが出てきた。



銀「…えっ?これが平賀さん?」



ロボットはあたし達に血がづいてくると、銀さんの頭を掴み、持ち上げる。



(銀)「あたたたた! 頭とれるって! 頭とれるって、平賀さん!」



それを見てお登勢さん以外の町内会の人達は一斉に逃げだす。



(?)「たわけ! 平賀は俺だ!」



奥から人が出てきた。



(平)「カラオケ大会だかなんだか知らねーが人の家の前でギャーギャー騒ぎやがって! 少しは近所の迷惑を考えんか!!」



それを聞いて私の中で何かが切れた。



(登)「そりゃてめーだ、クソジジィ!てめーの奏でる騒音のお陰で近所の奴はみんなガシャコンノイローゼなんだよ!」



(あ)「そうだそうだ!和田フユ子なめんじゃないわよ!」



(平)「誰もンな話しとらんわい!それにガシャコンなんて奏でた覚えはねぇ!ガチャコンウィーンガッキシャンだ!」



(登)「源外…アンタも良い歳してんだからいい加減静かに生きなよ…。あんなワケのわからんモンばっか作って、からくりに老後の面倒でも見てもらうつもりかい?」



(平)「うっせェ、ババア! 何度来ようと俺は工場をたたまねェ! オイ三郎、かまうこったねェ。力づくで追い出せ!」



(三)「御意」



すると銀さんの頭を掴んでいたロボットは銀さんを振り上げ、そのままクソジジイの方に投げ飛ばす。



(平)「ちょ、ちょちょ、うわァァァァ!」



ドカァァァァァァァァン!!




ーーーーーーーーーー

その後、あたし達はじーさんを柱に縄でくくりつけ、工場の引っ越し作業を始めた。



(新)「うわー、からくりの山だ。これ全部平賀さんが作ったんですか?」



(平)「てめーら何勝手に引っ越しの準備進めてるんじゃ、チクショー! 縄をほどけ! 脱糞するぞ、コノヤロー!」



(銀)「オイ、茶ァ頼むわ」



(三)「御意」



銀さんはロボットの三郎を動かして遊んでいた。



(平)「三郎! てめー何こき使われてんだ! 助けんかい!」



(銀)「いやー、実にイイもん作ってんじゃねーかジーさん。このポンコツ君、ウチにも一つくんねェ?… アレ?」



「ポンコツ」と言われたから怒ったのだろう。三郎は銀さんの頭にお茶をかけた。



(銀)「あっちィィィィィ!!」



(平)「ギャハハハ、ざまーみろ! 三郎はなァ、ある程度の言語を理解できるんだよ。自分に攻撃的な言葉や行動をとる奴には鉄拳で答えるぞ。よし、今のうちにわしを開放しろ。オイ、早くしろポンコツ!」



自分で解説しながらも「ポンコツ」と言ったせいで、これまた三郎はじーさんを殴る。



(平)「ぐはっ!」



(あ)「…自分で解説しといて自分で三郎バカにしてるじゃない。ったく、和田フユ子バカにするからそーなるのよ」



(新)「いやそれ関係なくね?…お登勢さん、あの人本当に江戸一番の発明家なんですか?」



(登)「ん? なんかそーらしいよ。昔っから好き勝ってワケの分からんモン作ってるだけなんだけどね。あたしらにはただのガラクタにしか見えないね」



(平)「ガラクタなんかじゃねェ! ものを創るってのは自分(てめー)の魂を現世に具現化するようなもんじゃよ。コイツらは俺の大事な息子よ!」



(銀)「息子さん、あっちで不良に絡まれてるよ」



(平)「へ?」



神楽が三郎を持ち上げて振り回す。



(平)「あァァァァァァ! やめ、やめろォォォォォォォォ!!」



(神)「にゃははは、ロケットパーンチ!」



(平)「やめろ! そんな機能ないから、腕もいでるだけだから!」




ーーーーーーーーーー

銀)「これでよし、と。ここなら幾ら騒いでも大丈夫だろ。幾らでも騒ぎな」



あたし達は全部のガラクタを川岸まで運びこんだ。



(平)「いや、好きなだけってオメー…みんなバラバラなんですけど…。なんて事してくれるんだ、てめーら!」



(神)「大丈夫アル、サブは無事アルヨ」



(三)「御意」



神楽が三郎の頭の上に乗りながら言う。腕もがれてるけど…。



(平)「御意じゃねーよ! なんか形違げーよ! 腕ねェじゃんか、腕!がァァァァァ!

どーすんだ。これじゃ祭りに間に合わねーよ…」



(銀&あ)「「祭り?」」



(平)「三日後…鎖国解禁二十周年の式典が行われるんだよ。それに珍しく将軍様も出てくるらしくてよ。そこで俺のカラクリ芸をするように幕府から命が下ってんだよ。どーすんだよ! 間に合わなかったら切腹モンだぞ!」



(銀&あ&神&新)「「「「………」」」」



(銀)「あ、ヤベェ…。カレー煮込んでたの忘れてた」



という銀さんの言葉を合図に、あたし達はその場を走り去った。神楽は三郎の片腕を持ちながら…。



(平)「待てェェェェ!三郎の腕返せェェェェェェェ!」








~no side~



銀時達が逃げ去り、その場には源外とお登勢だけが残される。



(平)「なんて奴等だ。ムチャクチャだ…」



(登)「アンタ、大丈夫なのかい?」



(平)「やるしかねーだろ。徹夜で仕込めばなんとか…」



(登)「そーじゃない。息子さんの事だよ。アンタの息子、確か幕府に…」



(平)「…お登勢よ、年寄りが長生きするコツは嫌な事はさっさと忘れる事だよ。それに言ったろ。今はコイツが俺の息子だってよ」



源外は、腕のなくなった三郎を見て、そう言う。



そんな源外が思い出すのは、ある日の息子との会話だった。








「親父! やめてくれ! こんな人殺しのカラクリ作ってどうするんだ! 親父、カラクリを人の役に立てたいって言ってたじゃねーか!」



(平)「だから今がその時だろうが。このままじゃこの国は天人共に巣食われちまうぞ。各地の侍共も皆窮地に陥ってるらしいじゃねーか。俺にやれる事はお前、こんな事ぐらいしかねーだろ」



「だったら俺が代わりに戦う」



(平)「何言ってやがる」



「親父、アンタいつからか全然笑わなくなっちまったな。俺はなァ、親父。油まみれになって楽しそうにカラクリいじくってるアンタの背中が好きだったんだ。まるでガキが泥だらけになってはしゃいでるようなアンタの姿がな。そんな険しい顔で仕事してるアンタ、俺ァ見たかねェ」



そう言って息子は出ていく。



(平)「オイ、待て! 待て、三郎!!」






…そんな事を思いだしながら、源外は黙ってバラバラになったカラクリ達を組み立て始めた。




~その頃、真選組では~



(土)「いいか、祭りの当日は真選組総出で将軍の護衛につく事になる。将軍にかすり傷一つでもつこうものなら俺達全員の首が飛ぶぜ。そのへん心してかかれ! 間違いなく攘夷派の浪士共も動く。とにかく怪しい奴を見つけたら迷わずぶった斬れ! 俺が責任をとる」



(沖)「マジですかィ。じゃあ俺はどーにも鼻が利かねーんで、侍見つけたら片っ端から叩き斬りますわ。たのみまっせ」



(土)「オイみんな、さっき言った事はなしの方向で。…それから、コイツはまだ未確認の情報なんだが…江戸にとんでもねェ奴が来てるって情報だ」



(佐)「…とんでもない奴? 一体誰が…。桂は最近大人しくしているようですし…」



(土)「以前料亭で会談をしていた幕吏十数人が皆殺しにされた事件があったろ。…アレは奴の仕業よ。攘夷浪士の中でも最も過激で最も危険な男……





………高杉晋助のな」




ーーーーーーーーーー

~あやのside~



祭り当日の昼間。



「よっちゃんも誘って行こうぜ!」



そんな会話をしながら子供達が橋の上を駆けていく。



そして銀さんも何か匂いを嗅いでいる。



(銀)「この甘ったりィ匂いは…綿菓子だ! 綿菓子の匂いがする! 綿菓子だよ、オイ! 綿菓子ィィィィ!!」



駆けだす銀さんに、じーさんが工具を投げつける。



(平)「仕事ほったらかしてどこへ行くんだ。遊んでねーで、仕事しろ、仕事! ったく、もう時間ねーんだからよォ」



そう…今日はお登勢さんの頼みで、このじーさんの手伝いをさせられていたのだ。



(新)「でも平賀さん、もう祭り始まっちゃいましたよ? 手伝いに来たけどもうコレ、間に合わないんじゃ…」



(平)「カラクリ芸を将軍に披露するのは夜からよ。夕方までにどうにかすりゃなんとかなる。大体片付いたしな」



とその時…



(神)「しらばっくれるんじゃないわよ!」



神楽の声が聞こえてきて、そちらを見てみると…



(神)「アナタ、私が何も知らないと思ってんの!? コレ! Yシャツに口紅がベットリ! もう誤魔化せないわよ!」



三郎を相手に、神楽が何か劇をやっていた。



(三)「御意」



(神)「御意、御意っていっつもアナタそれじゃない! そんなんだから部下にナメられるの! たまにはNOと言ってみなさいよ! この万年係長が!」



すると神楽が三郎を持ち上げて…



(神)「あー、もうドメスティックバイオレンス!」



(平)「オイィィィ!! 何してんだ! やめろォォォ!!」



(神)「相手は誰よ! さち子ね!? 新築祝いの時に来てたあのブサイクな部下!」



(平)「止めろって! なんてドロドロなままごとやってんだ!」



(神)「アナタにとってはままごとでも私にとっては世界の全てだった!」









そしてあっという間に夕刻。



(新)「なんとか間に合いましたね。まあ所々問題はあるけど」



(平)「ケッ…元々てめーらが来なかったらこんな手間はかからなかったんだよ。余計な事ばかりしやがって、このすっとこどっこいが」



(銀)「公害ジジイが偉そうな事言ってんじゃねェ。俺達はババアに言われて仕方なく来てやった……お?」



じーさんが銀さんに何かが入った袋を投げつける。



(平)「最後のメンテナンスがあるんだよ。邪魔だから祭りでもどこへでも行ってこい」



袋の中にはお金が入っていた。



(新)「ありがとう、平賀さん!」



そうしてあたし達は祭りへと走って行った…。




ーーーーーーーーーー

神)「わーい、次は焼うどんネ!」



あの後、私達はじーさんと合流し、神楽は三郎の上に乗ってぱっつぁんと屋台を巡っていた。



(平)「妙じゃのう…。三郎が楽しそうに見えるわ」



(銀)「そりゃいっつも険しい顔したジジイといるよりは楽しいだろ」



銀さんとあたしらと源外さんは近くの焼き鳥の屋台で腹ごしらえしていた。



(平)「へっ、息子と同じような事言いよる」



(あ)「へ? 息子さんなんていたの!?」



(平)「もう死んじまったがな。勝手に戦に出て死んじまったよ。

俺に劣らずカラクリ好きでよ、アブねーって言ってんのに勝手に工場に来て一緒になって機械いじくりまわすクソガキだった。あの頃は発明なんつっても鳴かず飛ばずでジリ貧だったがよォ、今になって思えばその頃が一番楽しかったかもしれねーな。昔は何も考えずただ好きだったからカラクリいじくりまわしてたが、『江戸一番の発明家だ』とか言われ出してからはカラクリは俺にとって何かを得る手段になり下がってしまったよ。息子はそんな俺に反発して出て行っちまったよ。それっきりだ。




そういえばお登勢から聞いたんだがオメーも戦に出てたんだってな?」



と、銀さんに問う。



(銀)「あ? 戦っつっても俺のはそんな大層なもんじゃねーよ。二十年前、天人が来た頃は侍も派手にやってたようだが、俺はまだハナタレだったしよォ。その後十数年は各地で散発的に侍がゲリラ戦してただけさ。まァそれでもたくさん仲間が死んじまったがな…」



珍しく銀さんが暗い顔になる。



(平)「…敵(かたき)をとろうとは思わんのか」



(銀)「は?」



(平)「死んでいった中にかけがえのない者もいただろう。そいつらのために、仲間のために幕府や天人を討とうとは思わんのか?」



(銀)「ジーさん、アンタ…」



(平)「おお、イカン。徹夜明けの酒はやっぱりきくわ。最後の調整があるから俺は戻るわ」



源外さんは立ち上がる。



(平)「嬢ちゃんは屋台回らんでいいのか?」



(あ)「あぁ、いいの。ちょっと気分が乗らなくてね。…それより銀さんどうだい、あたしと1杯やらないかい?」



(銀)「お前未成年だろうが」



ビシッ



(あ)「あだっ!」



デコピンをくらい、あたしは涙目で銀さんを睨みつける。

源外さんはそれを見てふっと笑うと、



(平)「じゃーな。オイ、三郎行くぞ!」



そのまま三郎と共に去って行った。



銀さんは源外さんが去って行った方をじっと見つめている。



(あ)『そういや…』



敵討ちしないのか? って言われた時、銀さん何か言いかけてたよな…。



(銀)「…ん? どうした? 俺に見惚れたか?」



(あ)「え? …ええっと違うから!別にそんなんじゃないから!//」



(銀)「(そんな全力で否定するなよ…)冗談だよ。さて、あのジーさんをちゃかしにでも行くか」



(あ)「そういや…神楽とぱっつぁん、いないね」



(銀)「アイツら…どこまで行ったんだよ。…ったく」



(あ)「あたし、探してくる」



(銀)「迷子にならねーか?」



(あ)「何言ってんのよ。あたしは祭りに来ては全ての屋台の焼きそばを食べ尽くすってゆーの毎年のようにやってるのよ?店という店を知ってるあたしが迷うわけないよ」



(銀)「一体何やってんだよおめーは…」



(あ)「まぁまぁ、焼きそばの話はこの辺にして。じゃ、また後で!」



私は銀さんと別れて二人を探しに行った。




~no side~



その頃、神楽と新八は…。



(神)「あ、おじちゃんだ」



(長)「げっ! 激辛チャイナ娘!」



射的の屋台でマダオ…こと、長谷川と出会っていた。



(新)「長谷川さんじゃないですか。久しぶりですね。就職先見つかったんだ。おめでとうございます」



(長)「あっはっは、まあね。二人は何? デートか? あっはっは」



(新)「射的ですか。ちょっとやってこうかな」



(長)「ああ、やってってやってって! サービスするよ」



(神)「当てれば何でもくれるアルか?」



とうもろこしを咥えながら銃に弾を詰める神楽。



(長)「ああ、あげるぞ。よーく狙って…」



パリーン!



長谷川が言いかけた時、サングラスが片面欠けた。



(神)「よこせヨ、グラサン」



(長)「えっ、ちょ、違っ…狙うのはあっち…」



とその時、長谷川の腕時計に弾が命中した。



だがそれは神楽が撃った弾ではなく…



(沖)「腕時計ゲーッツ」



…総悟が撃った弾だった。



そして睨み合う神楽と総悟。



(長)「ちょ、待て! 待てってオイ! 何でもあげるっつったってオジさんのはナシだよ!? ちょっと、聞いてる!? オイ、お前ら!」



パン!



(長)「ぐふっ!」



(神)「ヒゲもーらい」



パン!



(長)「ごえっ!」



(沖)「上着ゲーッツ」



パン!



(長)「べほっ!」



(神)「乳首とったり!」



(新)「………」





~その頃、舞台の方では~



真選組…近藤と土方と伊吹が見張りをしていた。



(近)「トシ、総悟の奴がウンコしに行くっつったきり全然戻らんのだが…」



(土)「あの野郎…またどっかでサボってやがるな」



(近)「トシ、他の誰を疑おうと構わんが、仲間を疑う事は俺が許さん。俺は総悟を信じる。きっとウンコのキレがものスゴく悪いんだ。俺はそう信じたい」



(佐)「そんな信じ方される位なら疑われた方がマシだと思いますが。」



(土)「それより山崎の野郎、遅ェな」



(近)「なんだ? 何かあったのか?」



(土)「いや、たこ焼きが食いてーってお上がよォ。ったく、呑気なモンだぜ」



とその時…



(山)「副長。山崎ただいま帰りました!」



(土)「遅いぞ! マヨネーズちゃんとつけてもらったか?」



だが土方がたこ焼きの入っている容器の蓋を開けると、そこにはたこ焼きが三つしか転がっていなかった。



(山)「実は急いでたもんで途中ですっ転んでぶちまけちまいました。スミマセン。山崎退、一生の不覚」



(土)「そうか。俺は口元の青のりの方が一生の不覚だと思うがな」



そして土方にボコボコに殴られる山崎。



(山)「ふ、副長! これは違います! 途中で食ったお好み焼きの青のりです!」



(土)「オイ、どーするよ…」



だが残りのたこ焼きを近藤が食べてしまっていた。



(土)「って食ってる!?」



(近)「そうカリカリするなよ、トシ。今日はコレ、きっと何も起こらんぞ。ハメはずそうぜ!」



(土)「何寝ぼけたこと言ってんだ! この会場のどこかに高杉の奴が潜んでいるかもしれねーんだぞ!? 奴の手にかかって一体どれだけ幕吏がやられたと思ってんだ。最近起こった過激なテロのほぼ全てに奴が関わっていると言われてるんだぞ!? 攘夷だなんだという思想とは奴は無縁。まるで騒ぎを起こす事自体を楽しんでいるようだ。



(佐)「…俺も、そんな奴がこんな絶好のチャンスを見逃すとは思えませんね」




とその時、空に花火が上がって舞台には源外と三郎が現れた。




ーーーーーーーーーー

~銀時side~



あやのと別れステージに行くと、ジーさんの芸が始まろうとしていた。



「ついに始まったぞ!」



「江戸一番のカラクリ技師、平賀源内の見世物が!」



観客達が騒ぎ出す。



俺はその光景をぼんやり見つめていた。



(?)「やっぱり祭りは派手じゃねーと面白くねーな」



(銀)「………!」



背後から声がした。



腰の木刀を抜こうとするも、刀を持っている手で止められてしまう。







…背後に迫っていた高杉晋助の手で。




(高)「動くなよ」



野郎は刀を半分抜いていた。



(高)「へっ、白夜叉ともあろうものが後ろを取られるとはな。銀時、てめー弱くなったか?」



身動きがとれなければ、振りかえる事さえできなかった。



(銀)「なんでてめーがこんな所にいるんだ」



(高)「いいから黙って見とけよ。すこぶる楽しい見世物が始まるぜ」



すると、ステージ上にいる三郎が手にとりつけた大砲を観客に向かって撃つ。



ドカァァァァァァン!!




ーーーーーーーーーー

〜no side〜


会場内は煙幕で包まれ、観客達は逃げて行く。



(土)「こいつァ煙幕か?混乱に乗じて将軍狙うつもりだな!てめーらァ櫓の周り固めろォ!ネズミ1匹寄せ付けんじゃねーぞ!」



(佐)「…副長。一般人まで巻き込むわけには…」



(土)「ちっ、仕方ねぇ。今は1人でも人数が欲しいところだが……伊吹、お前は客を避難させろ。どこに高杉がいるかわからねぇ、気を付けろ!」



(佐)「承知しました」



そう言って、あっという間に伊吹が駆けていくのと同時に、カラクリの軍団が真選組をかこんでいて…



(平)「よし、いけえええ!思う存分暴れてやれ!」



ーーーーーーーーーー

〜銀時side〜


(高)「覚えてるか? 銀時。俺が鬼兵隊っていう義勇軍を率いてたのをよ。そこに三郎って男がいてな、剣はからっきしだが機械にはめっぽう強い男だった。『おれは戦しにきたんじゃねェ、親子喧嘩しにきたんだ』っていつも親父の話ばっかりしてるおかしな奴だったよ。だがそんな奴も親父の元へ帰る事なく死んじまった。


…ヒドイ話だぜ。俺達は天人から国を護ろうとと必死に闘ったっていうのに、肝心の幕府はさっさと天人に迎合しちまった。天人との関係を危惧してあっさり侍共を斬り捨てやがったんだ。鬼兵隊も例に漏れず、粛清の憂目にあい壊滅。河原に晒された息子の首見て親父が何を思ったか、想像に難くねーよ」



じゃああのジーさんに復讐を持ちかけたのは…。



(銀)「高杉、ジーさんけしかけたのはオメーか」



(高)「けしかける? バカ言うな。立派な牙が見えたんで研いでやっただけの話よ。分かるんだよ、俺にもあのジーさんの苦しみが。俺の中でも未だに黒い獣がのたうち回ってるもんでな。仲間の仇を、奴等に同じ苦しみを、殺せ、殺せ、と耳元で四六時中騒ぎやがる! 銀時、てめーには聞こえねーのか? …いや、聞こえるワケねーよな。過去から目ェ逸らしてのうのうと生きてやがるてめーに、牙を失くしたてめーに俺達の気持ちは分かるまいよ!!」



(銀)「………!」



殺気がした。高杉が刀を完全に抜いたのだ。その刀は完全に俺を狙っている。



俺は痛みを我慢して手で受け止めようとする。






グサリ…






だが触れたのは鋭い刃じゃなく、柔らかいものだった。



(あ)「っ……銀さんに…手出しはさせない…!」



(銀)「あやの!!」



そう、触れたのはあやのの背中であり、俺に刺さるハズだったその刀はあやのの脇腹に刺さっていた。



(高)「なんだ、銀時。面白ェモン飼ってんじゃねーか」



(あ)「うっ…ゲホッ…!」



大量の血があやのの口と傷口から地面に垂れる。



(銀)「高杉よ、みくびってもらっちゃ困るぜ。獣くらい俺だって飼ってる。ただし獣は白いヤツでな…。…え? 名前? 定春ってんだ!」



俺がその男を殴って吹き飛んだ衝撃で、刀があやのの脇腹から抜ける。



(あ)「がはっ…」



倒れこむあやのを俺はしっかり受け止めた。



(銀)「それにあやのはペットなんかじゃねェ。オメーよりも大分立派な人間だ!」



(あ)「っ……」



しかし、あやのは既に意識を失っていた。

気づけば高杉のやつもいない。

それに、俺はじーさんを止めなければならない。

しかし腕の中には弱りきったあやのが。



(銀)「くっそ…」



ダメだ…

ダメだ、死ぬな、あやの!!


そう思い、あやのを抱える力をぎゅっと強めた時だった。



?「ーーそこで何をしている!ここは危険だ、さっさと逃げろ!」



後ろから声がし、ガシッと肩を掴まれた。

聞き覚えのある声に振り返ってみると、



(銀)「お前…」



(佐)「…あんた、万事屋の…」



(銀)「吹雪!いい所に来たじゃねーか!」



(佐)「伊吹だ。そして人の名前を軽々しく呼ぶな」



(銀)「悪ぃ、頼みがあるんだ。こいつを病院に運んでやってくれ。腹ぶっ刺されてな」



一瞬だったが、伊吹の眉間にシワがよったのがわかった。

以前あやのが多串君と揉めたこともあったから、あやのにいい印象を抱いていないのだろう。



(銀)「一般市民守るのも警察の仕事だろ?」



(佐)「言われなくてもわかっている」



伊吹は半ば奪うようにあやのを抱き抱えると、そのまま走って行ってしまった。



銀「さーて、次はあっちか…」



そして俺は、じーさんの元へと走って行った…。


ーーーーーーーーーー

周りでは真選組の奴らと祭りを邪魔されて怒っている神楽と総一郎君が他のロボを蹴散らしている。



ステージ上ではなんとかジーさんを止めようと新八が動いていた。



(新)「もうやめてください! 将軍様はとっくにお逃げになりましたよ!」



(平)「そうか。目が悪くなってるモンだから気付かなかったわい。まァいい。だったら今度はあの真選組とかいう連中を…」



(新)「平賀さん!」



ジーさんは真選組の方へ大砲を向ける。



(銀)「オウオウ、また随分と物騒な見世物やってるじゃねーか。ヒーローショーか何かか? 俺にヒーロー役やらせてくれよ」



(新)「銀さん!」



ステージ上に辿り着いた俺はジーさんに話しかける。早くケリをつけてあやのの所へ行かなくちゃならない。



(平)「てめーじゃ役者不足だ。どけ」



(銀)「しょうもねェ脚本書きやがって。役者にケチつけれた義理か? てめェ。今時敵討ちなんか流行らねーんだよ! …三郎が泣くぜ」



(平)「……どっちの三郎だ」



(銀)「どっちもさ。こんな事は誰も望んじゃいねェ。アンタが一番分かってんじゃねーのか?」



(平)「…分かってるさ。だがもう苦しくて仕方がないんだよ。息子は死んで、老いぼれが一人でのうのうと生きてる事が…。くだらねェモンばかり見つめて生きていくのはもう疲れた。将軍の首なんざホントはもうどうでもいいんだ。死んだ奴にしてやれる事なんてなにもねェのも百も承知。俺は俺の筋通して死にてーだけさ。だからどけ。どかねーとてめーも容赦しねェ」



(銀)「どかねェ。俺にも通さなきゃなんねー筋ってモンがある」



(平)「………」



(銀)「………」



俺達の間に風が吹く。



(平)「撃て!」



俺は木刀を構え、大砲で俺を狙う三郎の方へ走りだす。



だが直後、三郎が大砲を下ろした。



俺はそのまま三郎に斬りかかる。



バシュッ!



(平)「………」



ギシッ…と軋む音が響く。



そして…



ドォォォォォン!!



…三郎はそのままゆっくり崩れ落ちた。



(平)「三郎! バカヤロー、てめー何で撃たなかったんだ!」



(三)「お、親父…、カラクリ…好きだった…。まるで…ガキみたいに…はしゃいで…いるようだった…。好きだ…」



そう言ったきり三郎は動かなくなる。



(平)「…なんだったんだよ、どいつもコイツも。どうしろってんだよ! 一体俺に…どうやって生きてけってんだよ…!」



ジーさんは膝から崩れ落ち、泣きながら叫ぶ。



(銀)「さーな…。長生きすりゃ、良いんじゃねーのか?」



俺は空を見上げながら呟くように言った。




その後、ジーさんは真選組に捕まる前に姿を消した。また高杉も、この騒ぎの間にいなくなっていた。



俺は暴れ回る神楽を新八に任せ、病院へと急いだ。




ーーーーーーーーーー

〜no side〜


あやのを病院へ運び込んだ伊吹は、考え込んでいた。



(佐)『何故だ……?』



あの状況で誰に腹を刺されたのかはもちろん気になっている。高杉の可能性もあるからだ。

…だが、それよりも伊吹には気になっていることがあった。


ーー銀時は、あやのが腹を刺されたと言っていた。


そして現に、あやのの服には脇腹の部分に血がついていて、貫通したようなあとも見られた。


…しかし、



" (医)「おっかしいねぇ、腹には傷なんて残ってないんだが…」"



付き添いとして話を聞いていた伊吹に、医者が告げた言葉。

しかし服には明らかに刺された後も残っているので、一応入院ということにはなったのだが…

ベッドですやすや眠るあやのを、伊吹は鋭い目で見下ろす。



(佐)『…15分。おそらくそのくらいしか病院に来るまでに経っていないはず…。

15分で傷を完治したというのか…?』



…まさか。そんなことあるわけがない。





ーー彼女が、普通の人間であるならば。



(佐)『…お前は一体、何者だ…?』





ーーーーーーーーーー

~あやのside~



(あ)「ん……」



目が覚めると、アルコールの匂いが少し鼻にツンとくる。



(銀)「よう、やっと起きたか」



(あ)「…銀さん?」



(銀)「…ったく、二日間も起きねーからどうなるかと思ったぜ」



聞けば今日はあの祭りの翌々日のお昼だそうだ。確かに寝過ぎだ。



(あ)「…銀さんはいつからここに来てたんですか?」



(銀)「あの祭りの夜からずっと横にいたよ。看護婦に無理言ってな。ったく、また無茶しやがって…」



(あ)「えへへ。……そう言えば、じーさんはどうなったの?」



(銀)「…あぁ、あのじーさんはな…」









(あ)「…そんなことが…」



銀さんから後のことをすべて聞いて、あたしは少なからずショックを受けていた。

でも、




"まァそれでもたくさん仲間が死んじまったがな…"




ふとこの前銀さんが言った事が、あたしの頭の隅に蘇る。



…銀さんは、あたしみたいに、深い傷を負ってるんだ。



ーーー心に。



(銀)「にしてもおめーは一体どんな体してんだ?俺が駆けつけたときにゃあもうすっかり治ってグースカ寝てやがってよォ…どんだけ心配したと思ってんだ、また失ったかと思っちまった…」



銀さんはずっと苦しかったんだ。

1人で、誰にも言わないで、ずっと…



(あ)「…うん、そうだよ。あたし、かなり丈夫な身体してるからね!なんたってあたしは、かぶき町の姬侍なんだから!」



(銀)「少なくとも『姬』ではねーだろ」



(あ)「いーの!」



(銀)「ったく、なんだそりゃ」



吹き出した銀さんを見て、あたしはほっと息をついた。



(あ)「やっと笑ってくれたね、銀さん」



その言葉に、銀さんは少し驚いたようにあたしを見てきた。



(あ)「大丈夫だよ、あたしはそう簡単に死なない。…いつでも銀さんのそばに居る。いきなり居なくなったりなんてしないよ。…あとさ、泣いてもいいんだよ?」



(銀)「……え?」



(あ)「ずっと我慢してきたんだよね? 仲間をたくさん失って…。あたしはまだ子供だけど、その辛さは知ってるんだ。

…きっと得たものなんて何もなかった。大切なものを失っただけ。…辛かったんだよね?」



(銀)「あやの…」



(あ)「大丈夫。誰にも言わないよ」



(銀)「…なんだよ…、カッコ悪いじゃん、俺」



銀さんの目から徐々に涙が出てくる。



(あ)「カッコ悪くなんかないよ。仲間のために涙を流せるなんて…心優しい人にしかできないもの」



その後、銀さんは少しだけ涙した。仲間を失った辛さ、護れなかった不甲斐なさ…いろんな意味の混じった涙だったのだろう。



その間、あたしは静かに銀さんの背中をさすっていた。








少し落ちついた後、銀さんは神楽とぱっつぁんを呼びに行くと言って立ち上がる。



あたしは咄嗟に立ち上がった銀さんの服の裾を掴んだ。



(銀)「…ん?どした?」



(あ)「えっ…あっ…いや、その…」



優しげな銀さんの瞳があたしをとらえた。

…言えない、こんなこと。



(あ)「…け、ケチャップ!ケチャップ食べたいなァ!!」



(銀)「は?」



目が点になった銀さん。



(銀)「…おめー、ケチャップってあれ単体で食うもんじゃねーだろーが。多串君かてめーは」



(あ)「あの人はマヨネーズでしょ!あたしはケチャップが食べたいのー!あたし怪我人で動けないから買ってきてよ」



(銀)「ったくおめーはホントに…」



ブツブツと文句を言いながら病室を出ていく銀さん。



…言えない。

口が裂けても言えない、こんなこと。


ーーーまだ、一緒にいてほしい、なんて。



(あ)「…一体何考えてんの、あたし」



でも、何となくひとりが嫌で…

銀さんを引き止めたのも、



(あ)「なんか、一緒にいると安心するんだよなー…」




ーーーあたしがこの気持ちに気付くのは、もう少し後の話。





(そういや、銀さん祭り終わった夜に来たんだよね?あたしのこと誰が運んでくれたの?)

(ん?ああ、そうそう。いぶ吉君が運んでくれたんだよ)

(いぶ吉…?それって、真選組の佐野さんとかいう人のこと?)

(そうそう、そいつ。あとで礼言っとけよ)

(…嫌な奴に借り作っちゃったなぁ…)