銀魂 〜雪魄氷姿〜

夢小説書き隊
@Lr6Ra

No.2

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あたしが万事屋に来て数日が経ったある日。

仕事の依頼が来たため、あたし達は依頼人の家を訪ねていた。

ちなみにあたしにとっては初仕事だ。



「いやぁ、今までも2、3日家を空けることはあったんだが1週間ともなると…。連絡もないし、友達に聞いても一切知らんときた」



銀さんは二日酔いらしく、だるそうな顔で話を…聞いているのかこれは。


出してもらった水をダラダラとこぼしている始末である。



新「しっかりしてくださいよ。だからあんまり飲むなって言ったんすよ…」



神楽は最初から聞く気がないらしく、庭の鹿威を眺めている。



「親の私が言うのもなんですが、キレイな娘だから何か変なことに巻き込まれてるのではないかと…」



そんなあたし達を気にせずに話を続ける依頼人は写真を取り出した。

見せられた写真には、金髪でガングロでぽっちゃりの…キレイとは言い難い女。



あ「…あ、もしかして新種の天人でヒューマンピッグとか言うy」


ド ス ッ



あ「おうふぐっ!?」



…み、鳩尾… ぱっつぁん、鳩尾!

女の子に肘鉄入れるてアンタ!



銀「そうっスね… なんかこう…巨大な…ハムをつくる機械とかに巻き込まれている可能性がありますね」


「いや、そーいうのじゃなくて何か事件とかに巻き込まれているのではないかと…」


銀「事件?ああ、ハム事件とか?」


新「オイ、大概にしろよ。せっかくきた仕事パーにするつもりか。 …でもホント、これ僕らでいいんですかね?警察に相談した方がいいんじゃないですか?」


「そんな大事にはできん!我が家は幕府開府以来徳川家に仕えてきた由緒正しき家柄。娘が夜な夜な遊び歩いてると知れたら一族の恥だ!何とか内密の内に連れ帰ってほしい」


銀『ったくキレイな娘とか言うからちょっと期待したのに何だ?このハム子は…。キレイって言うのはなぁ、あやのみてーなやつを…』


「嬢ちゃん、あんたも夜遊びには気を付けなよ。君みたいな子にはすぐ変な男が寄ってくるからね」


あ「やだもう何おっしゃってるんですか旦那!そんな男いないですって!もし来たら歯にケチャップぬりたくって笑ってやりますよ!」


銀『…なんつーか、残念すぎる…なんで俺はこんな女を…』



あれ、銀さん何か頭抱えてる。

頭痛ひどいのかな?

…とまぁ、そんなこんなで結局あたし達は仕事を引き受けたのだった。







それからしばらく情報収集していたあたし達。今はクラブに来ている。



マ「あ?知らねーよこんな女」



写真を見せると、バーのマスターにそう言われてしまう。



神「この店によく遊びに来てたゆーてたヨ」


あ「多分、とかでもいいの。この顔、1回見たら忘れられないでしょ?」


マ「お前何気にそいつバカにしてねーか?…つってもねぇ、お嬢ちゃんたち、地球人の顔なんて見分けつかねーんだよ。名前とかは?」


神「えーっと……ハ、ハム子」


マ「嘘つくんじゃねえ!明らかに今つけただろ!そんな投げやりな名前つける親がいるか!」


あ「いやいや旦那さん、あれですよあれ。今流行りの『キラキラネーム』ってやつです。今の親ってのは変わってますからねー」


マ「って『ハム子』のどこがキラキラネームなんだよ!?お前ら探す気あんの!?」



忙しいからさっさと行け、とマスターに追いやられたあたし達。

仕方なく銀さんのところへ戻ろうとすると、ぱっつぁんが誰かと話していた。



あ「ぱっつぁん、あの人は?」


新「さあ…」



…見た感じ、地球人じゃないね。

長髪の男…きっと天人だ。



神「新八ィ、あやの。もうめんどくさいからコレで誤魔化すことにしたよ」



と、明らかに違うデb…人を連れてきた神楽。



あ「ってどっから連れてきたの!?」



神楽は「あっち」とバーの方を指さした。



神「お酒飲んでたトコ連れてきたアル」



…でも何か、その人の様子がおかしいような…



新「あー、ったくどいつもこいつも仕事をなんだと思ってるんだチクショー!大体コレで誤魔化せるわけないだろ!」


あ「ハム子ってかハム男じゃん…」


神「チッ、ハムなんてどれ食ったって一緒じゃねーかクソが」


新「何?反抗期!?」



ーーーすると。

いきなりハム男がその場にバタンと倒れてしまった。



神「は、ハム男オオオオ!」


新「オィィィ!駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねーよ!」


神「ハム男、あんなに飲むからヨー!」


あ「…ちょっと待って、2人とも」


新・神「え」


あ「…この人、変な匂いする」



ハム男は天人みたいだけど、普通の天人の匂いじゃないような…

ってゆーかこの人だけじゃない。

この店はあちこちから変な匂いがする…


神「変な匂い…?酒の匂いアルか?」


あ「…いや、お酒じゃないね。鼻がまがりそうだ…ほら」



あたしがハム男を引っくり返して見ると、ハム男は予想通り奇妙な笑みを浮かべた表情のまま意識を飛ばしていた。



新「ホントだ、よっぱらってるんじゃない!」


マ「あーもういいからいいから。あとは俺がやるからお客さんはあっち行ってて。

…ったくしょうがねーな、どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ…」



と、さっきのマスターがハム男を担ぎ、運んで行く。



神「シャブシャブ?ハイレグアルか?」


マ「この辺で最近新種の麻薬(クスリ)が出回ってんの。何か相当やばいヤツらしいからお客さんたちも気を付けなよ」



そう言いながら、マスターはハム男を引きずって行ってしまった。



あ「…麻薬か。これ、今回の事件に関係あるんじゃ…」


新「そうかもしれないね…」



…そうだ、銀さんにも聞いて……って、あれ?



あ「ぱっつぁん、銀さんは?」


新「二日酔いで気持ち悪いから適当にやっててくれって言ってそのままトイレに…」


あ「ったく、あの人はもう…」





ーーーそれからしばらく待ってみたが、銀さんはなかなか戻ってこない。



新「遅いなァ銀さん。どうも嫌な感じがするんだよ、このお店。早く出た方がいいよ」


神「私、捜してくるヨ」



神楽が立ち上がろうとしたその時……




カ チ ャ …




神楽の頭には、銃が突き付けられていた。



あ「…な、」


「てめーらか、コソコソ嗅ぎ回ってる奴らってのは」


新「な、なんだアンタら!」


「とぼけんじゃねーよ!最近ずっと俺らのこと嗅ぎ回ってたじゃねーか、あ゛ぁ?

そんなに知りたきゃ教えてやるよ、宇宙海賊『春雨』の恐ろしさをな!」



その瞬間、天人と思われる十数人が殴りかかってくる。


あたしも刀を手にして応戦しようとしたが、


あ「…っ!?」



いつも手にあたる感触がない。


あれ? あたしの刀は?


……しまった、あたし今まだ着物だ!


あたしは普段は着物だが、戦う時だけ着物を瞬時に脱ぎ、忍者のような格好になる。だけどタイミングをのがしてしまって…つまり、武器は全て着物の下だ。


ほんの一瞬の戸惑いだったが、それを見逃してくれるような奴らではなかった。



あ「うわっ!」



一瞬の隙にあたしは羽交い締めをされてしまった。



あ「んなっ、離せ!サイテー!女の子を身動きとれなくするとかするとか神経どうかしてんじゃないの!?」


「うるせーなーったく……ヘェ、なかなか可愛ーじゃねーか。あとでたっぷり遊んでやるよ」


あ「……ひっ、」



ツツ…、とそいつに胸のラインをなぞられ、あたしの体には一気に悪寒がはしる。



新「あやのさん!」


神「何してるアルか!あやのを離すアル!」



ぱっつぁんと神楽が叫ぶ声が聞こえてきたが、2人も敵相手に手こずっているようだ。


やだ……

やだっ!!!

お願い、助けてっ…



あ「銀さっ、むぐぐっ!?」



この場にいないあの人の名前を呼ぼうとしたが、ダメだった。

白い布のような物で口を塞がれたのである。


…う、変な匂いがする。

やばい、頭の中がふわふわしてきた…


例のクスリか。



あ『…ぎ…ん、さん……』








〜銀時side〜


二日酔いで気持ち悪くてトイレに篭っていると、誰かが俺の入っている個室のドアを叩いた。



「早くいつもの頂戴って言ってんじゃん!あれがないと私もうだめなの!」


銀「いや、いつものって言われても…」



いつものより水っぽいんですけど…。



「何しらばっくれてんのよ!金のない私はもうお払い箱ってわけ!?いいわよ、あんたらの事警察にタレこんでやるから!」


銀「警察に言う?別にいいけど…何がって言われるよ?」


陀「誰に話しかけてるんだ?ボケが。おめーに用はねーんだよ、ブタ女!」



ダン!と打撃音が響いた。

その直後、



銀「…!」



個室のドアの隙間から流れてきた、鮮やかな赤い液体…

それをまた俺はすぐさまトイレの個室から飛び出す。

床にはあの写真に写っていたハム子が倒れていた。



銀「ハム子…悪かったなオイ。男は男でもお前…エラいのに引っかかってた見てーだな」



すると、長髪の男がやってきた。

おそらく、先ほどの声の主で、天人だ。



陀「ぱぱっと殺って帰るぞ。夕方から見たいドラマの再放送があるんだ」



相手がこちらに剣を向ける。



銀「俺もだ」


陀「俺は元来、人嫌いの激しい質じゃねぇ。だがこれだけは許せんというのが三つあってな。一つ目は仕事の邪魔をするやつ。二つ目は便所に入っても手を洗わないやつ。三つ目は汚らしい天然パーマのやつ」


銀「へっ…」


陀「全部…該当してんじゃねーかアアアア!」



いきなり攻撃をしてくる男。

こっちはまずそれを避け、周りの雑魚どもに手をつける。



銀「そいつは光栄だ。ついでに俺の嫌いなやつ三つも教えてやろうか?」



言いながら俺は木刀を振り上げた。



銀「ひとーつ、学園祭準備にはしゃぐ女子!」


ガ ゴ ン !



「ぐへっ…」


銀「ふたーつ、それに便乗して無理にテンション上げる愚の骨頂、男子!」


ズ ド ン !



「がはっ…」


銀「みーっつ、それら全てを抱擁し優しく微笑む教師!」



ゴ キ ッ !



「ぐはっ…」



そいつらはあっという間にくたばってしまった。



陀「てめぇ、要するに学園祭が嫌いなだけじゃねーか。よほど暗い青春を送ったな」


銀「てめーほどじゃねーよ。いい年こいて便所でスーッパッパか?もっとも、テメーらが好きなのはシャレにならねー葉っぱみてーだがな。おたくら天人が来てからアブねーもんが増えたからよォ。困るぜ、若者をたぶらかせてもらっちゃあ」


陀「たぶらかす?勝手に飛びついてきたのはそのブタだぞ?望み通りのもんやってやったのにギャーギャー騒がれてこっちも迷惑してんだ」


銀「そうかい。バカ娘が迷惑かけて悪かったな。連れて帰って説教するわ」



だがハム子を脇に抱えてドアを開けると、その外には天人たちが待ち構えていた。



銀「オイオイ、みんなで仲良く連れションですか?便器足んねーよ…」



と、その時…



「コラァ、面倒かけんじゃねえ!」



声のした方を見ると…



銀「…っ!!」



…敵に抱えられ、運ばれているあやの、神楽、新八がいた。



銀「あやの!新八!神楽!オイ、どうした!」



しかも、三人の目はどこか虚ろだ。



銀「てめーら、何しやがったんだ!!」


護りたいのに…これ以上失いたくないのに…大量の敵に阻まれてこれ以上進むことが出来ない。



陀「お前、目障りなんだよ」



突然さっきの男がどんどん攻撃を仕掛けてくる。避けているうちに壁まで追い詰められ、



グ サ ッ



銀「がっ…!!」



左肩を刺され、そのままハム子と窓を突き破り落下していく。


ーーーそんな中で、何故か俺は出会って数日しか経っていないあの女の笑顔を思い浮かべながら、意識を手放した。










戦に敗れた死体が山ほど地面に転がってる中、俺はハム子をおぶってその死体だらけの真っ赤な道を歩いていた。



銀「ふんばれ、オイ!絶対死なせねーから、俺が必ず助けてやるからよ!」



《捨てちまえよ、そんなもん》



銀「!」



突如どこからか声が聞こえてきたので俺は足を止める。



《そんなもん背負ってたらテメーを死ぬぜ。どうせそいつは助からねぇ。テメーに誰かを護るなんて出来っこねーんだ。今まで一度だって大切なものを護りきれたことがあったか》



その声の主は、俺の足元に転がっている既に白骨化した死体だった。



《目の前の敵を斬って斬って斬りまくって、それで何が残った?ただの死体の山じゃねーか》



俺はその声を無視してなんとか歩き出す。



《オメーは無力だ。もう全部捨てて楽になっちまえよ》



すると…



ガ サ ガ サ …




銀「ーーーっ!」



おぶっていたハム子が白骨化した死体へと変わっていく。



《お前に護れるものなんて何もねーんだよ!》



銀「うるせぇ…黙ってろ!」


と、その時…



あ「ーーー銀さーん!」



目の前にあやのが現れた。

あやのは俺の好きな、いつものあの明るく豪快な笑みを見せる。



銀「あやの!?よかった、無事だったn…」



ザ ク ッ



あ「……っ!!?」


銀「えっ…?」



なんと、あやのが見えない何かに胸を刃物で貫かれた。

じわじわとあやのの胸の辺りに広がる血…



あ「…ぎ……んっ……!」


銀「あ…ああ……ああああああああああああああっ!!!!!!!」










銀「ーーーっ!! はぁ…はぁ…」



夢か……。



銀「ここは…」



よく見ると、俺は布団に寝かせれていたようで傷の手当までしてくれている。

するとガラッと襖が開いて、



桂「ガラにもなくうなされていたようだな。昔の夢でも見たか?」


銀「ヅラ?なんでテメーが…」



ここで俺は、あやの達が連れ去られたことを思い出す。



銀「そうだ!……うっ!」



だが動こうとすると身体中に痛みが走り、その場に倒れ伏せてしまう。



桂「無理はせぬがいい。左腕は使えぬ上、助骨も何本かいっているそうだ。向こうはもっと重傷だ」



向こう?ハム子か?



桂「お前が庇ったおかげで外傷はそうでもないが、体中が麻薬に蝕まれている。処置が早かったのは不幸中の幸いだが、果たして回復するかどうか…」



俺はなんとか体を動かして起き上がる。



銀「あのクソガキめ…やっぱやってやがったか」


桂「…というか、貴様は何であんな所にいたんだ?」


銀「というか、なんでお前に助けられてるんだ?俺は」


桂「というか、お前はこれを知っているか?」



ヅラがそう言って取り出したのは、白い粉の入った袋。



銀「…?」


桂「最近港で出回っている『転生郷』と呼ばれる非合法薬物だ。辺境の星にだけ咲くと言われる特殊な植物から作られ、嗅ぐだけで強い快楽を得られるが依存性もほかの比ではない。流行に敏感な若者達の間で出回っていたが、使用したものは皆例外なく悲惨な末路を辿っている。天人がもたらしたこの悪魔を根絶やしにすべく、我々攘夷党も情報を集めていた。そこにお前が降ってきたらしい。俺の仲間が見つけなければどうなっていたことか…。というか、お前は何であんなところにいたんだ?」


銀「というか、あいつらは一体何なんだ?」


桂「宇宙海賊『春雨』。銀河系で最大の規模を誇る犯罪シンジケートだ。奴らの主だった収入源は非合法薬物の売買による利益。その触手が末端とはいえ、地球にも及んでいるというわけだ。天人に蝕された幕府の警察機構などアテにできん。我々の手でどうにかしようと思っていたのだが…貴様がそれほど追い詰められるくらいだ、よほどの強敵らしい」



俺は立ち上がって部屋の隅に置かれていた着物を手にする。



桂「時期尚早かもしれんな…っておい、聞いてるのか!?」


銀「仲間が攫われた、ほっとくわけにはいかねぇ」


桂「その体で勝てる相手と?」



俺はそのまま縁側に出る。



銀「…人は一生は重き荷負うて遠き道を往くが如し。昔な、徳川田信秀というオッサンが言った言葉でな」


桂「誰だそのミックス大名!家康公だ、家康公!」


銀「最初に聞いた時は何を辛気臭ぇことをなんて思ったが…。なかなかどーして、年寄りのいうことは馬鹿にできねーな」


桂「…」


銀「荷物ってんじゃねーが誰でも両手に大事になにか抱えてるもんだ。だが担いでる時にゃ気づきはしねぇ。その重さに気づくのは全部手元から滑り落ちた時だ。いっそ捨てちまえば楽になれるんだろーが、どうにもそーゆー気にならねぇ。荷物(あいつら)がいねーと歩いててもあんまり面白くなくなっちまったからよォ」



…それに。


さっきの夢で痛感した。俺は、あやのの笑顔がないと…あいつがいないとダメなのかもしれねぇ。


まだ出会って数日。

でも気づいた、はっきりした。


俺は、あいつに惚れてんだ。


するとヅラかま立ち上がり、俺の横に並ぶ。



桂「仕方あるまい。お前には池田屋の時の借りがあるからな。…行くぞ」


銀「あ?」


桂「片腕では荷物も持てまいよ。今から俺がお前の左腕だ」


銀「ヅラ…」



その言葉に、俺はふっと笑った。



〜銀時side end〜











〜あやのside〜


あ「…ん、」


目を覚ますと、なんだか宙に浮いているような感じがした。


…麻薬のせいか?


…いや、何か違う。さっきは頭がふわふわしてたけど、今は足元がふわふわしてて、



あ「って、ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」



下 海じゃん、下 海じゃん!!


今わかった、あたしは剣で首根っこを釣り上げられ、手首を後ろで縛られて宙に浮いている状態。まじで浮いてるよコレ!



新「あやのさん!」


神「あやの!」



下の甲板の方には、敵に囲まれたぱっつぁんと神楽がいた。


二人とも手を縛られているが無事なようだ。



陀「おじさんねぇ、不潔なやつと仕事の邪魔をするやつが大嫌いなんだ。もうここらで邪魔なネズミを一掃したい。…お前らの巣を教えろ、意地張るってんならコイツ死ぬぞ」



そいつは、あたしをさらに前に突き出す。

あたしの視界に映るのは、深い青色の海…



あ「ひぃっ!何すんのよ、危ないじゃないの!」


新「何の話だよ!」


陀「とぼけるな!テメーらが攘夷志士だっていうのはわかってる。桂の居場所を吐け!」


神「新八!」



ぱっつぁんが敵のひとりに髪の毛を鷲掴みにされ、そのまま床に叩きつけられた。



あ「ちょっと!ぱっつぁんに何してくれてんのよ!」


新「くっ…何言ってんだよテメーら。僕らは攘夷志士なんかじゃないし、桂さんの居場所なんて知らない!あやのさんを離せ!ここは侍の国だぞ、お前達なんか出てけ!」



ぱっつぁんの声が響く。



神「そうアル!さっさとあやの離して地球から出ていくヨロシ!」


陀「侍だ?そんなものもうこの国にはいねぇ…」



嘲笑うようにあたしの背後にいる男が言った。

…だけど、あたしの中で何かがプツンと切れた。



あ「…んなこと…ない…」


陀「何?」


新・神「!?」


あ「侍魂を持ってる人ならあたしは知ってる!二日酔いのせいで仕事もろくに出来ないようなチャランポランな人だけどね…。でも、見ず知らずのこんな子供(あたし)を受け入れてくれて…。まだ出会って数日しか経ってないけどあたしにはわかる!あんたなんかとは器の大きさが違いすぎる!

侍を……

銀さんをバカにすんなあああああああああっ!!!!!!」



あたしは今出せる力を全部出し切るつもりで、体を捻らせて長髪の男の顎に思い切り蹴りを入れた。

ド ガ ッ



陀「がはっ…!」



蹴りは見事に男にクリーンヒット。


その反動であたしは真っ逆さまに落ち……落ち?



あ「って、ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!! ここ海ーーーーーーーーーーーっ!!!!」


新「って忘れてたんかい!」


神「あやの!あやの落ちてしまうヨ!」



…ああ、あたしここで死ぬのね。

まぁでも、ぱっつぁん達が無事ならそれでいいや。


…だけど、最後に



あ「…会っておきたかったな」



ーーーあの、チャランポランな侍と。



…すると、その時。




「ーーー待てェェェェェいっ!!!」



あ「…!」



まさかこの声……いや、あたしの幻聴か?



銀「待て待て待てェェェェ!!!」



…幻聴なんかじゃない!

この声は、




あ「…銀さん!」




そう。

海賊姿の銀さんが、船の側面を走り抜けてくるではないか!



銀「あやのは死なせねぇ!

俺が、護る!!!」


あ「っ!ぎん、」



そのままあたしを抱きとめた銀さんは、船の甲板にあたしを下ろしたのとほぼ同時に、側にあった箱の山に激突した。



銀「イタタタ…傷口開いちまったじゃねーか。…あの、面接会場はここですか?」



そう言いながら銀さんは立ち上がる。



銀「こんにちはー、坂田銀時でーす。キャプテン志望してまーす。趣味は糖分摂取、特技は目ぇ開けたまま眠れることでーす」


新・神「銀 さん/ちゃん!」



いきなりの事に、周りは唖然としていた。



陀「てめぇ…生きてやがったのか!」



すると、どこからかドカーン!という爆発音がした。



「陀絡さん、倉庫で爆発が!転生郷が!」



そしてその倉庫のようなところから出てきたのは…



桂「俺の用は終わったぞ!あとはお前の番だ銀時!好きに暴れるがいい!邪魔するやつは俺が除こう!」



…同じく海賊姿で爆弾を持った桂さんだった。



陀「てめーは桂!」


桂「違う、俺はキャプテンカツーラだ!」



桂さんは飛び降りながら爆弾をあたし達の目の前の敵に投げつける。



ド ッ 力 ァ ァ ァ ン



「桂だァァァァ!やれ!やつの首を取れ!」



ほかの敵が全員桂さんの方へ向かうと、さっきの長髪の男が銀さんの前に立ちはだかった。



陀「てめーら、終わったな。完全に春雨を敵に回したぞ。今に宇宙に散らばる春雨がお前達を殺しに来るだろう!」


銀「知るかよ、終わんのはテメーらだ」



銀さんが腰の木刀を抜いた。



銀「いいか?お前らが宇宙のどこで何しようと構わねぇ。だが俺のこの剣、コイツが届く範囲は…俺の国だ!!!」



銀さんは、木刀を構えた。



あ「銀さん…」


銀「無粋に入ってきて俺のモンに触れる奴は将軍だろうが宇宙海賊だろうが隕石だろうが…ぶった斬る!」



両者ともに動き出し、それぞれ剣を振りかざして…




バ シ ュ ッ !




あ・新・神「………っ!!!」



それは、一瞬の出来事だった。



陀「…へっ。てめぇ、便所で手ぇ洗わないわりに…結構キレイじゃねーか…」




そう言って、長髪の男はその場に倒れた…。





ーーーあれから船を降りたあたし達は、港で座り込んでいた。



新「あーダメっすね…ほんとフラフラして歩けない…」


神「日ぃ、浴びすぎてくらくらするヨ…。おんぶ」



神楽が銀さんに手を伸ばす。



銀「なーに甘えてんだ腐れガキ共!一番誰が疲れてるのかわかってんのか!?二日酔いで体中ボロボロでも頑張ったんだよ、銀さん!」



新「僕らだって頭フラフラなんですからね」


あ「薬嗅まされたもんねー」


神「そうアルヨ、ブラブラアルヨ」


銀「付き合ってらんねぇ、俺は先に帰るからな!」



銀さんはそう言ってあたし達に背を向けて歩き出す。


…が、数歩歩いたところで立ち止まり、振り返った。



銀「いい加減にしろよ、コラァ!上等だ!おんぶでも何でもしてやらぁ!」



それを聞いたあたし達は「わーい」と一斉に元気よく銀さんの所へ走り出した。



銀「元気爆発してんじゃねーか、おめーら…」


あ「銀さーん、フラフラするから手ぇ繋いでー」


銀「もう既に繋いでんじゃねーかオメー…っつかさっき走ってただろ!……ったく、しゃーねーな…」


あ「えへへ^^*」



銀さんは、空いている方の手であたしの手をしっかりと握り返してくれた。



神「銀ちゃん、私ラーメン食べなくなってきたアルヨ」


新「僕、寿司でいいですよ」


あ「ステーキ食べたーい!」


銀「バカヤロー、誕生日以外にそんなもん食えると思うなよ…。ったくよ…重てーなチクショー…」



…あたしがここに来て数日。

だけど、みんながもう大切な家族のように思えた。




桂「…フッ、今度はせいぜいしっかり掴んでおくことだな」




その光景を見ながら呟く桂さんの言葉は、あたし達には聞こえていないーーー










銀「ーーーいでででっ!」



その日の夜。

神楽がお風呂に入っている間、あたしは銀さんの手当をしていた。



あ「はい終わり。それにしてもすっごい傷…骨まで折れてんのによくもまぁ…」


銀「そんな人にステーキやら何やらねだって寄り道させまくった奴はどこのどいつだ」


あ「(๑>؂•̀๑)テヘペロ」


銀「…可愛くねーんだよバカ」



ビ シ ッ




あ「いだっ!」



銀さんからのデコピン攻撃を受け、あたしは赤くなった額をさする。



あ「ひどーい」


銀「うるせぇ。…っていうか、お前もあんまり無茶すんなよ」


あ「銀さんだって同じよ」


銀「いやまァ……でも、あれはすっげー嬉しかったぞ、『銀さんをバカにすんなあああっ』ってやつ」


あ「んなっ…き、聞いてたの!?」


銀「ああ。……ったくあんな無茶した挙句、死にに行くような顔しやがって。オメーが死ぬなんて許さねーよ」


あ「…うん。ごめんなさい」



だけどあの時、みんなが無事ならそれでいいって思ってる自分がいた。


…きっとそのくらい、あたしはみんなが大好きなんだ。


それに、



あ「…ほんとに来てくれるなんて思わなかった」


銀「あ?」


あ「落ちた時に思ったの、1回だけでいいから、最後に銀さんに会いたいって。…ほんとに、嬉しかった」


銀「…何言ってんだ、バカ」


あ「…うわっ!?」



あたしは救急箱をしまおうと立ち上がったが、銀さんがあたしの腕を引っ張り、あたしはストンとソファーの上に尻餅をついてしまう。



銀「最後なんて言うな、これからも一緒だ」


あ「……え、」



あたしを捕らえて離さない、銀さんの赤い瞳。いつものように死んだ魚のような目ではなく、真剣そのものの目だ。


ドクン、とあたしの心臓が大きな音をたてて跳ね上がった。


…なにこれ。


え、いや、なんかこれ、あれみたいじゃん。

俗に言う、ぷろぽーz



銀「…っじゅ、じゅじゅじゅ、従業員だからな、お前は!!ここの!!」


あ「へっ!?…あ、うん!そうだよね!あたしここで住み込みて働いてるもんね、うん!」



…なんだこの変な空気は。

つーか2人が2人とも自分に言い聞かせてるみたいだ。



銀「あーもう疲れた!寝る!」


あ「あああ、うん!そうだね疲れたもんね!おやすみ!」



やけにデカイ声でそういった銀さんは、その場に寝っ転がった。


あたしも何だかすごく恥ずかしくてこの場から離れたくて、変な汗をかきながら立ちあが………れない。


なんか膝が重い。


不思議に思って下を見ると、そこには銀さんの横顔が。



あ「って何ちゃっかり膝枕してんの!」


銀「zzz…zzz…」


あ「いや寝んの早!」



…変な人。…でも、



あ「…お疲れ様。ありがとう…」



そう言ってあたしは、銀さんの銀色の髪を撫でるようにそっと指を通した…。






神「ーーー銀ちゃーん、あやのー。お風呂空いたアル…ん?」



その数十分後に神楽が見たのは、あたしの膝で眠る銀さん、そして銀さんの頭に手を置き幸せそうに眠るあたしの姿だった…。











翌日、桂さんの家で療養していたハム子を依頼人の元へ連れていった。



「公子!無事で何よりだ!」



しかし先程からお父さんがスリスリしてるのは本物の豚…



公「オイコラ、ジジイ。どこ見てんだよ」


銀「わかるぞ、親父。人間誰だって見たくないものはある」


新「いや、見えてるからこうなってるんじゃ…」



…とにかく、あたしの初仕事は何とか無事に終わったのだった。