トリップ夢

スピカ@多忙
@spica_s_s

プロローグ

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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「ついに…手にいれた」


長方形の黒い箱の蓋を持ち上げ、薄いレース左右に広げるとそこには、漆黒の杖が入っていた。


名無しは、漆黒の杖を箱から取り出し、杖を様々な角度から観察する。


「これが、セブルス・スネイプの杖…レプリカだけど、しっかり作り込まれてる…凄い」


杖の持ち手部分の細かな装飾を撫でつけた後、丁寧に箱の中に戻し、ベッドのサイドテーブルの上に置いた。


「もう、こんな時間か…明日も仕事だし今日はもう寝よう」


部屋の電気を消し、ベッドに身体を横たえ目を閉じ、意識が落ちかけた瞬間、ガクッと身体が高い所から落ちる感覚に襲われ、名無しは慌てて、起き上がり、周囲を見渡し愕然とした。


「ここ…何処!?」


名無しは、草木がうっそうと生い茂った夜の森の中に居た。


「夢…にしては、感触とかリアルね…靴が欲しいわ」


地面の感触を確めるように素足の指を握ったり開いたりすると、草と土の感触を感じた。


とりあえず、この森から抜けようと思い歩き始めた瞬間に、足で何かを蹴ってしまい、蹴ってしまった物を見て名無しは、目を丸くし、慌てて蹴った物を拾い上げる。


「スネイプの杖!…どうして此処に?」


拾い上げた杖は、何処からどう見ても、セブルス・スネイプの杖だった。


「流石は、私の夢…粋な計らいをしてくれる、もしかして、魔法も使えたりしたり?」


こほんと咳を一つした後、スネイプの杖を持ち直し、呪文を唱えてみる。


「ルーモス」


杖の先端が光り、森を照らし始めた。


「凄い!魔法が使える!」


名無しは、興奮しながらその場を歩き回りながら、他の魔法も使えないかと頭をフル回転して他の呪文を思い出そうとしていた。


「セクタムセンプラ!」


地面に横たわっていた木に杖を向け、呪文を唱えてみると地面に横たわっていた木は大きな音を立てて、粉々になってしまった。


「…セクタムセンプラ気軽に使ったら駄目、絶対」


何かのCMのような台詞を吐いて、名無しはセクタムセンプラの威力に驚いた。


「この呪文が、ドラコに…ドラコよく無事だったな」


「What are you doing there!」


突然、背後から怒鳴られた名無しは、慌てて声のした方向に杖を構え、声の正体を確認すると、黒髪のケンタウルスが名無しを睨み付けながら、近付いていた。


「What are you doing there!」

「え、英語…あー、ノー、私じゃない…えーっと…アイキャントスピークイングリッシュ!」


精一杯の英語で返してみるが、ケンタウルスが、眉間にシワを寄せ首を傾げる仕草を見て名無しは、自分の拙い英語が通じていない事を実感する。


「どうしよ…あー…」


どうにかして、意思疎通が出来ないかと考えていた名無しだが、ケンタウルスが名無しの持っている杖を見て「witch.」と呟く。


「ウィッチ?」

「follow me.」


手のひらを上に向け手招きするケンタウルスに名無しは大人しくついていくことにした。

名無しは、目の前を歩くケンタウルスを見つめながら、これは、ハリーポッターの夢を見ているんだろうと思った。

スネイプの杖、そして、目の前にはケンタウルス、これだけの要素しかまだ見つかっていないが、名無しは何処か確信していた。

暫く、無言で森の中を歩き続けていると森の終わりが見え、目の前に屋根付きの橋が現れる。

ケンタウルスは、名無しを見た後、静かに橋の方を指差した。

橋の先には、映画で見たままのホグワーツ城が建っており、名無しは胸をときめかせた。


「ホグワーツ!凄い!ホグワーツだ!」

名無しは、足早に橋に近付き、橋の階段を上がったが一度足を止め、後ろを振り返るとケンタウルスが名無しに背を向け森に帰っていく途中だった。


「wait!」


名無しの一言でケンタウルスが止まり、ケンタウルスは振り返り名無しを見つめた。


「Thank you!」


ケンタウルスの表情は遠すぎて、名無しには見えなかったが、ケンタウルスは、尻尾を高く振り、森に帰っていった。

長い橋を渡りきると、そこには映画で何度も見たホグワーツ城が佇んでいた。

名無しは、恐る恐るホグワーツ城の中に入ると所々に設置されている松明の明かりが、城の壁面を照らしており、その光景だけでも名無しを興奮させるには十分過ぎる程だった。

目を輝かせながらホグワーツを探索し続けているとトロフィーが沢山飾られてるガラスケースを名無しは見つける。


「ジェームズ…ジェームズ…あれ?ない…この中にあると思うんだけど、見落としたかな?」


確か、ハリーがここでジェームズの名前を見つけるからあると思ったんだけどなと思いつつ名無しは再び、ジェームズの名前を探そうとした瞬間、ガラス越しにダンブルドアが名無しを見つめている事に名無しは気付き、驚きの声をあげ、後ろを振り返る。


「Are you looking for something?」


「あっ…えーっと…ソーリー、アイキャントスピークイングリッシュ」


ダンブルドアは名無しの言葉を聞き、何処からか出した杖をひとふりした。


「これで、言葉が理解できるかの?」

「はい」

「さて、君は何者かね?見たところ魔女のようだが」


ダンブルドアは、名無しが握っていた杖をちらりと見て確認した後、また名無しを見つめる。


「訳あって杖を持っていますが…私は、魔女ではありません。でも、どうやらここは私の夢の中なので、魔法を使えない私でも魔法を使えるようです」


名無しが、オーキデウスと呪文を唱えると廊下の端から端まで花が咲き誇った。


「…さすがに、魔法の力加減は難しいですね」

「夢の中とは、どうしてそう思うんじゃ?」

「私の現実世界では、魔法なんて存在しないです。それに、貴方は…」


ダンブルドアの目を見た瞬間、急に名無しの中に何かが無理矢理入ってくる感覚に襲われ、咄嗟に「プロテゴ」と呪文を唱え、床に片膝を付く。


「ダンブルドア…一体、私に何を」

「君が何者なのか、少しばかり強引に調べさせてもらった…が咄嗟に防ぐとは見事じゃ」

「この感覚が、開心術…一体何処まで見たのですか」

「君がケンタウルスと森で出会い、ホグワーツに連れてきてもらう所を見た」

「ここに来るまでの、全てじゃないですか」


名無しは、ハリーポッターの本の存在を知られたわけじゃない事に、ほっと胸を撫で下ろし、ダンブルドアを真っ直ぐ見つめながら名無しは言った。


「私は、ヴォルデモートとは何も関係ありません。寧ろ、ヴォルデモートのせいで亡くなってしまう人を助けたい側の人間です」


ダンブルドアは、何かを探るように名無しを見つめてから、口を開いた。


「君の名前は、なんというのじゃ?」

「名無し・名無しです」

「名無し、君が、君の夢から覚めるまでゆっくりしていくといい…とりあえず、儂の部屋で紅茶でも飲まんかね?」


ダンブルドアは、杖をひと振りし名無しの素足を綺麗にした後、フワフワしたスリッパを履かせた。


「儂も素足で歩くのは好きじゃが、今夜は冷える、それを履いていなさい」


「ありがとうございます」


フワフワするスリッパの感触を楽しみながら名無しはダンブルドアと一緒に校長室に向かった。