日常を壊す者。

緋寄@🍏🍎
@Enph_hiyo12

二章

着替え終わると自己紹介も兼ねて医務室から事務室の方へ移動した。


「…と、徳田秋梨とくだしゅりと云います。十六歳です。宜しくお願いしますっ」


詰り乍ら自己紹介をして深々と頭を下げる。色素の薄い白い髪が可憐に動く。


「へぇ!以外ですね僕より年上かと!あ、僕は中島敦です」

「良く云われます……見た目のせいですね、日本人離れしてますし……」


自身の見た目を気にしている徳田は咋に落ち込んだので敦が慌てて「悪い意味じゃないんです!」と必死になった。

 他にも紹介を受ける。今此処に居ないのは乱歩と敦の代わりに同行している谷崎、別件の賢治と、太宰の恋人の式部という女性。


「あの…私は何をすれば……?」


一先ず何か手伝えることは無いかと、この場の責任者らしい国木田に話を振る。すると少し呻って考えたあと答えた。


「今は何もしなくていい、其処のソファーにでも座って来てくれ、今は社長も出ているからな」


幾ら乱歩が扶ける指示を出したとは云え、社長に報告する必要がある。国木田はそう云う。その通りだと徳田は納得したが少し云いたい事があった。


「其の、非情に厚かましいのですが、ウィッグが欲しいです……」


黒髪の奴が…と呟いた。鏡花が「何時も被ってたやつ…?」と訊いたので頷いた。太宰も「あぁ…」と声を漏らす。

 見た目を気にする彼女は自分がアルビノであることを良く思っていない。なので以上に白い肌や白い髪を如何しても隠したいと思っているのだ。顔はメイクで隠せるし、他の部分も服で隠せるが、髪だけは染めるかウィッグを被るしかない。マフィアにいた事には世話を焼かれていた紅葉から如何しても染める事を許されなかったのでウィッグを被っていたのだ。


「頼んでも善いけど拘って高いの買ってきそうだなぁ……ねえ、其れ以外に必要ないの?今後外に出るってなった時に、ウィッグ以外に自分の嫌いな部分を隠せるような物」

「……では、日傘が、良いです…」


遠回りに駄目と云われた気がして語尾に安いのでと付け足した。

 二十分程して太宰の恋人である式部紫織が帰って来た。後頭部で一つに纏めた紫かかった黒髪が彼女が歩く度、其の動きに合わせて軽やかに揺れる。藤色の瞳を縁取る長い睫毛も濃く、彼女の美しい顔立ちを際立たせる。前に見た時は遠巻きだったのであまり感じなかったが彼女、とても若く見える。勿論実年齢は太宰と同じで二十二歳でまだまだ若いのだが、其れよりもふとした瞬間幼く見える。大和撫子というのは恐らく彼女のようなことを云うのだろう。


「ただ今戻りました。……其れと此れ、頼まれた日傘」


声もひんやりとしているのに何処か甘さを感じる不思議な声だ。

 渡された日傘は白色ベースの水色のレースが使われた気品溢れる物で私が貰った服たちととても合っている。


「あの、其の……傘もそうですけど、服も有難う御座います」

「どういたしまして」


少し口角を上げて微笑みを向けられたあと、彼女は自分の席にそそくさと座ってしまった。


「ごめんねぇ。紫織ちゃん、人見知りだから」

「黙ってください」


「もぉ~そういう所も好きぃ~」と今まで訊いたことの無い甘い声に徳田は奇妙なものを見る目で太宰たちを見てしまった。そんな表情に気が付いた敦が徳田にアイコンタクトを取った。「何時もあんな感じですよ」と少し呆れた風に。

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