Re:member—【Alvasly】

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@solabell9601

海の底と陽の光


「…そ、それは本当に感謝してるわ。…だけど、所属shipくらい教えなさいよね」

「…………無ェ」

「…………は?」


事実を言ったまでだが、何が何だかわからないと言った顔をされる。

当たり前だ。所属するshipがないということは、つまり、惑星に住み着いている様なものなのだから。


「…言えっつーから言えば、なンだそのツラは」

「…そ、そんなこと聞いたことないもの…」


今までの強気はどこへやら、本当に不思議そうな顔をする。

少し考え込むような動作の後、少女が言う。


「…あなたにも事情があるんでしょ。分かったわ。これ以上は詮索しない。…でもね」


そう言うと、少女は顔を上げ、彼の目を見て言った。


「…惑星での野宿なんて危険すぎるわ。…それに、あなた、いつからshipへ戻ってないの?」

「…………2ヶ月」

「はぁ〜!?呆れた!家族とか心配するでしょ!?」


その言葉に心が騒めく。


「……家族はいねェよ」

「…え、あ…ご、ごめんなさい」


彼の言葉に少女はしゅんとして下を向く。

最近はダーカーによる被害も増えてきている。

…家族を失くした人間も多くいるだろうから、勘違いされて当然だ。


「………………………俺が殺した」


沈黙のあと、息を吸って本当の事を話す。

…人に話すつもりなどなかったんだが。

落ち込む少女があまりにも可哀想に見えたのか、それとも、自分ひとりでは背負うのが重すぎる罪の、懺悔なのか。


「……やっぱり悪党じゃないのよ」


しょげていた少女は目を見開いて彼を見る。


「…まァな…?逃げねェのか?テメェも殺しちまうかもしれねェぞ?」


そう冗談めかして言う。

別に興味も無い人間を殺すほど狂っちゃいなかっェが、それでコイツが怖がって逃げてくれるンなら今後は安心してこの狩場を使えるって訳だ。

……まぁ、上層部にチクられる可能性もあるが。

そんな考えを巡らす彼に、少女は彼の目を見据えて答える。


「…逃げないわ。あなたから殺気なんかちっとも感じないし、それに…あなたの言うことが本当だったとしても、私とあの原住民を助けてくれたことも本当よ。」


…判断力や思考力がまだまだだろうと思っていたが、どうやら存外しっかりアークスをしているらしい。


「…そーかよ」

「…ねぇ、あなた、うちに来ない?」

「………はァ??」


あまりにも突拍子の無い提案に、思わず声が裏返る。

そして、素の質問が飛び出る。


「…頭でもヤッちまったか?」

「違うわよ!!失礼ね!」


少女はぷんぷんと怒りながら、その言動に至った考察を述べる。


「あのね、あなたがもし本当に人を殺したのならば、それは許されることじゃないわ。…でも、あなたがなんの理由もなくそんなことをする人だとは到底思えない。」

「はンッ!……偽善か?さっき会ったばかりのテメェになにが分かる」


少女の言葉に対し思ったことを吐き捨てて、彼は自分は動く気は無いとばかりに岩場に腰掛ける。


「分かるわ。あなたの瞳が、嘘ついてないから。」

「…なンだそれ」

「目を見れば嘘かどうかわかるってお兄ちゃん言ってたもん!」


少しむくれて少女は言う。自分とは正反対に幸せな家庭で育ったらしい。


「…仮に、俺が理由があってそれをしたとして、テメェの家に行かなきゃなンねェ理由が不明確なンだよ」


もっともな質問を投げかける。

それに対して少女は真剣な瞳で答えた。


「もしあなたが本当に悪い人なら野放しにはしておけない。…そして悪い人じゃなくても、あなたはもう一度誰かに、いいえ、誰かと生きていくべきだって感じるの。」

「…偽善のうえに傲慢な話だな」

「そうかもしれないわ。…だけど、あなたにとっても悪い話ばかりじゃ無いでしょう?」


そう言うと少女はちらりとこちらに目を向ける。


「2ヶ月も惑星からshipに戻っていないのなら、食材やアイテムも尽きてくるはずだわ。…いくら現地調達がある程度できるとはいえ、それらを日々探しながら安心して眠れもしないだなんてそうよ!!…だからあなた目が死んでるのよ!」


少女は納得したわ!と首を縦に振る。


「うるせェ…俺は元からこういう顔なンだよ」

「どっちにしろ!あなただってずーーーっと惑星に住み着くつもり!?そのうちあの原住民みたいになっちゃうわよ!アカンで〜!とか言っても助けてあげないわよ!」

「住み着いてたら原住民になるのかよ…ンなわけねェだろォが」

「あああ〜!!もう!いちいち文句が多いわね!いいじゃない!私もあなたもハッピーよ!うぃんうぃん!の関係!ってやつよ!」


おそらくwin-winと言いたいのだろうがなんとなく機械音にしか聞こえない。

側で騒ぐ少女に対し、彼は少女の提案にのるかはさておき、条件を聞く。


「…わかったよ…うるせェ奴だな。…shipに入れて身を隠せるならどこでもいい。…市街地住みとかじゃあねェだろォな」

「ええ!うちは私有地を持ってるから、その点は大丈夫よ。…でもやっぱり身は隠すのね…」

「ったりめェだろ…殺人犯してンだぞこっちは」

「うわっ開き直った」


ドン引く少女だが、彼はもうひとつ…一番気になっていた質問を投げかける。


「…テメェの両親や…家族は反対しねェのか。…いるんだろ」

「…最初は反対すると思うわ。…だけど…私がなんとかしてみせるわ!」


その、根拠も確信もない理由に、彼は呆れた顔で言う。


「…はン、根拠の全くねェ自信だな」

「大丈夫よ!だって私だもの!!」


自信満々に言う少女の笑顔は、両親の笑顔すら見たことのない彼にとって、陽の光のようだった。



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