ジェミニの夢

六十月菖菊@まんばTWINSでトップアイドル芸人を目指す
@sixtymonth

第7夢


「わ、わわ」

『アー……』


 トーナメントの組み合わせが発表された。

 叶夢が武者震いをしている一方で、夢見は落胆の声を上げた。


『ヨシ、叶夢。棄権しようゼ?』

「却下なのですよ!? 何を言い出すのですかおねーちゃん!?」

『いやホラ、1回戦目の相手の“個性”って“酸”だったじゃン? 叶夢が怪我するところ見たくないヨー』

「そんな見え見えの棒読みで誤魔化したってダメダメなのですよ! おねーちゃんが嫌なのは2回戦目があの鳥頭だからでしょう! お見通しなのです!」

『チッ、バレたカ』


 1回戦目の相手はヒーロー科A組の芦戸三奈。酸性の液を身体から出すことのできる少女だ。

 その1回戦を勝ち抜けば────2回戦目の相手である常闇踏陰と対戦するチャンスが巡ってくる。


「絶対に1回戦突破して、あの鳥頭をぶっ飛ばしてやるのです」


 そうして闘志を燃やしていると、緑谷出久に近付いていく心操の姿が目に止まった。


「お、早速接触してるのですよ」

『でも止められたネ。あの子は確か“洗脳”されていたヒーロー科の子だナ』

「完全に警戒されていやがるのです」


 それでも、不敵に笑いながら立ち去る彼に叶夢は感心する。


「人使は度胸があるのですよ。おねーちゃん、付き合うなら人使にしておくべきなのです」

『失礼ナ、常闇クンにだって度胸はあるヨ』


 その時、後ろから声を掛けられた。


「ねぇねぇ! アンタがアタシの対戦相手だよね?」


 一回戦目の相手、芦戸三奈だった。興味津々といった様子でこちらを見ている。何故かチアガールの格好で。


「えっと、叶夢の1回戦のお相手の、芦戸三奈サンなのです?」

「そう、アタシ芦戸三奈! 1回戦よろしくね!」

「眠瀬叶夢なのです。こちらこそ、よろしくなのですよ」

「眠瀬って男? それとも女? どっち?」

「さぁ、どっちなのでしょう。叶夢にもよく分かんねーのですよ」

「そうなんだ! まあどっちでもいいや! よろしくね!」


 両手を掴まれブンブンと揺さぶられる。

 今から戦う相手に対して非常にフレンドリーに接してくる芦戸に、叶夢は唖然としながらも悪い気はしなかった。


「よ、よろしくなのですよ〜……」


 頬を赤らめて完全に照れ顔である。

 日頃からコミュニケーションが不足しているとは言え、アタシのキョウダイがあまりにもチョロすぎるヨ────後に、夢見は校長にそう語ったのだった。




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