【とうらぶSS】クリスマス

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@sinano_n_yagen

 世間はクリスマスそろそろクリスマス。

 しかし、審神者達はそれを置き去りに連隊戦中。もちろんこの本丸も四部隊フル稼働で出陣してもらっている。

 いつもお世話になっている本丸の皆の枕元にクリスマスプレゼントを仕掛けたい。けど、審神者も所詮は人の子。刀剣たちの偵察、隠蔽に叶うわけもなく……。


 今うちの本丸で一番偵察、隠蔽が高い子と言ったら……と、ペラペラと現在のステータスを書き記した書類をめくる。極化した薬研か愛染君のどっちかだよねー……まぁ、薬研でしたけど。


「うーん……つくづく薬研にはお世話になっちゃうな……どうしよう? でも、なるべく知らせる子は少なくしたいし……」


 しばし腕を組んで首を捻りうんうんと考える。

 まぁ、しょうがない、私が忍んでもどうせ即バレるし、薬研と愛染君二人に協力を頼もう! うちの本丸も復帰してから刀剣増えたもんなぁ……と決めて、よしとお財布を持って立ち上がる。万屋に行くには刀剣の警護が必要なので、現世に行って来ようと決める。とりあえず机の上に書置きを残して急いでゲートへ向かった。



 五十人分のプレゼント……流石にその人数だとあんまり金嵩のあるものは買えない。


「うーん……いっそお菓子とか~……ってたまに作ってるし、特別感ねぇな! ダメだわ」


 大型物販店の中をあてもなくきょろきょろと見回しながら歩く。どうしようかなと思いつつ、つい自分の好みの雑貨屋に視線が釘付けになりふらふらとブースへと入る。

 カラフルな手ぬぐい、かわいい柄の靴下や、動物の形の湯たんぽ。触り心地のいいタオル生地のぬいぐるみ、スティック状のお香や食器などなど。

 つい手にとってレジに向かってしまいそうなものがたくさん……おっと危ない。自分の物を買いに来たんじゃない! 気をしっかり持つんだ私!


「あ。」


 傘のコーナーを見る。ちょっとした既視感が脳裏に過った。


「そういえば、うちに刀の形の傘あったなぁ……」


 変わった物好きな母が見つけてノリノリで買って来たものだ。何度か使っていたようだが、雨に濡れると家紋が浮き出るらしい。すげぇ。


 いくつかの傘を手に取り見ていると、そういえば皆は刀、鞘むき出しで持ってるなーと思い出す。


「……刀収納袋でも作ってあげようかな?」


 よし、っと傘立てに戻し、手芸屋さんのブースへと足を向けた。


「最近は和柄も増えたよねーいろいろあって迷うなー」


 あぁ、でも男士だし、あんまり派手じゃない方がいいかな……? と考え直して黒や紫など無地の和布を見に行く。


「まずは無難な黒でしょ、それと紫と、赤もいいかな? あとは、緑と……あ。宗三さん達用に薄い色も少し欲しいかな。刀紋とかちょっとした柄描けるように布ペンも買ってこ」


 黒と紫、赤を多めにあとは薄めの色を少量と紐もいろんな色で買い込んだ。布ペンは金と銀で数本購入。ミシンや裁縫道具を持っていくため一度自宅へと戻り、荷物をまとめると本丸へと戻る。


 刀剣達を連隊戦に見送り、残った刀剣たちには内番などの用事を頼んで、式を使って防音の結界を貼っり、こっそりと自室で作業を進める。

 ミシンがあれば直線部分はサクサク。昔ちょっとだけ作ったことがある房は結構時間がかかる。赤と紫だけ菊結び房を作った。お手伝いしてくれる予定の二人用におまけでこっそりもう一つ小物を作ろうと思ったのだ。


「さて、あとは袋に紐を通して房つけて、刀紋描いて完成かな?」


 刀紋は各自調べてプリントしておいたのでカッターで切って台紙にして描くだけ。模様はインスピレーションで描こう。思いつき大事。


 そしてついに総勢五十本分完成! 私めちゃくちゃ頑張りました。まぁ、簡単な袋だけどね。数が数だから結構疲れた。


 先ほど別に作った菊結び房は腰巾着の止め紐につけた。二人ともあんまり使わないかもしれないけど、何入れてもいいし腰につけて持ち運びできるからいいかなという単純な発想だけど。もちろんこちらにも刀紋は入れてある。


 一つ一つクリスマスの袋に軽くたたんでで入れてラッピングする。薬研と愛染君は多分枕元に置くことはできないのでその場で渡すことにしようかな?





 ――クリスマス当日深夜。あらかじめ薬研と愛染君は呼び出しておいた。


「二人ともお疲れ様。まだあと八万もあるけど明日からもよろしくね」


 審神者の執務部屋で、愛染君と薬研と向き合って座りねぎらう。


「あぁ、任せとけ大将。俺たちは使われてなんぼだからな」

「もちろんだよ、主さん! で、俺たちに用ってなんだ?」

「うん、あのね。ちょっと量が多いんだけどさ……」


 ちょっと待っててね、と言い残しふすまを開けて奥の部屋から網かごに入れておいたラッピングした袋を二箱分持ち出し、二人の前に戻る。


「あのね、一五五二年には日本に入って来てるっていう記述はあるんだけど、多分二人の時代には現代みたいに広まってなかったと思うんだよね。

 粛々とやってるイメージが強いし。明治三十三年頃から広まった"クリスマス"っていう西洋のイベントがあって、それが今日なんだよね」

「ふむ。……つまり、どういう催しものなんだ?」

「それだけじゃわかんねぇよ、もうちょっと詳しい話聞かせてくれよ、主さん。」


 二人が神妙な顔で頷き、続きを促してくる。


「サンタクロースっていうおじいさんが、恵まれない子供たちにお菓子を分け与えるお話があるんだけど、現代は家族や友人とか大切な人にプレゼントを贈る日なんだよね。

 あとはモミの木っていう木に、星とか赤い木の実の飾りとか、光るイルミネーションを飾って、大切な人と一緒に過ごしてケーキとかおいしい料理を食べる日なんだけど……連隊戦だったからね。皆にプレゼントだけでもって思って。枕元に置きたいなーって考えてたんだけど……隠蔽と偵察みんな高いじゃん? 私忍び込んだら一発でバレるよね?」

「ふぅん……なるほどなぁ」

「美味しい料理かーまぁ、いつも飯美味いし! ……主さんの気配は全員すぐ読めるよな」


「……で、えっとこれさ、申し訳ないんだけど二人でこっそりみんなの枕元に忍ばせてくれないかな? 隠蔽偵察高い二人にしか頼めないんだよ!」

「あぁ、大将の頼みだ。いいぜ」

「面白そうだしな!」

「ありがとう! えっと……それでこれは二人の分ね」


 一番上に分かりやすく乗せておいたプレゼントを二人にそっと差し出す。


「おぉ、ありがとうな、大将」

「ありがとう! 主さん、開けていいか?」

「うん。お手伝いして貰う予定だったから二人には特別に二つ入ってるから、他の皆には内緒だよ? なんてね」


 すぐバレちゃうと思うから、内緒は難しいよね。とくすくすと笑って、いつもありがとうとお礼を告げる。


 袋を開けて入っていたプレゼントを見た二人が視線を合わせて笑い、ふわりと桜が舞った。


「特別報酬か。……悪くねぇな」

「ははは。なんか嬉しいな! 主さん、大事にするぜ!」

「うん、じゃあ配り終わったら二人もゆっくり休んでね。四十八人分も大変だろうけど……」

「なぁに俺たちは起動も早い。すぐ終わるさ。」

「そうそう、じゃあ行って来る。主さんもお休み!」

「暖かくして寝ろよ、大将」

「うん、よろしくね。二人ともおやすみなさい。……あ。」


 ――メリークリスマス!




おわり。


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