【とうらぶSS】~大倶利伽羅の遠征日和(仮)~

sof@とうらぶ偽実況
@sinano_n_yagen

「慣れ合うつもりはない……」


 久々に会った大倶利伽羅さんは相変わらずだった。


「うん。いいですよ? その代わりちゃんと報連相はして下さいね?」

「……。」


 なんだそれはという顔をして此方を見ている。しょうがない説明してあげましょう!


「報連相っていうのは、報告、連絡、相談の事です。ちゃんと出陣、遠征、内番で組んだ仲間とは報連相して下さいね?」


「慣れ合うつもりは……」


 大倶利伽羅のセリフを遮り、高らかに宣言する。


「馴れ合いじゃないです。事故防止です! ちゃんと守らないなら、罰として全力で短刀ちゃんたちと馴れ合わせます!」

「……!」


 想像したのだろう。目を軽く見開き見事なまでに硬直するその様に、内心しめしめと思う。そして、念を押して強調する。


「全・力・で」

「……っ、わか、った」

「宜しい! それでは今日は遠征です。同行の方とちゃんと報連相して宜しくお願いしますね。一応、同行の方にも報連相の事は告げておきますので、あとで確認します。」

「……あぁ……」


 渋々と玄関へ向かうその後ろ姿に、やりすぎたかなと思いつつ、話しにくいままだと私が困る。心の中でごめんねと謝りつつも、がんばれと応援しておいた。






 



「あぁ、伽羅ちゃん来たね」

「……光忠か……厨担当じゃなかったのか」


 しぶしぶと遠征の待機場所へと大倶利伽羅が来ると、そこにはすでに片手に持った紙を確認していた光忠がいた。


「それがね、主くんがおやつにシフォンケーキ作ろうとして買ってた卵、お昼のおかずに全部使っちゃってさ、怒らせちゃったんだよね。」


 ……いや、あれは怒らせたっていうか拗ねさせちゃったの方かな? と独り言のように顎に手を当てぽつりとつぶやく光忠。


「まぁ、それで、遠征ついでに帰りがけに万屋で買い出し頼まれたんだよ」

「そうか……」

「僕と伽羅ちゃんで大体100レベルだね。今日は「西上作戦」だからあとは一人か、二人かな? 短刀君達ならあと四人になるのかな?」

「……知らん」

「そっか、とりあえず待ってよう。ところで伽羅ちゃん、主くんの言ってた報連相は大丈夫かい?」

「……。」

「大丈夫かい?」

「……。」

「……伽羅ちゃん?」

「……。」

「……。まぁ、最初だからね。僕が伽羅ちゃんと行動してフォローするよ」

「……すまない」

「いいよ、あ、来たね」


 そんな話をしていたら小走りに走ってきた獅子王と、その後ろをのんびりと歩いてきた同田貫がやってきた。


「わりぃ、待たせた!」

「よぉ、んじゃいくか」

「同田貫君、気が早いよ。えぇと、じゃあまずは主くんからの言付けね。『仲間内で報告、連絡、相談をきっちりしてください。』だって。何かいつもと違う、不審なものや人とかを見つけたっていう時はちゃんと周りに報告、連絡、相談してね。自分で勝手に判断して追いかけて行ったり、その場で切ったり始末したりしない事。」

「ん、わかったぜ!」

「ちっ、めんどくせぇなぁ」

「……同田貫君?」

「あー、わかった、わかった」

「伽羅ちゃんもOK?」

「あぁ、大丈夫だ」

「よし、じゃあこれ。主くんから」


 光忠が懐から紐にくくられた何かを人数分取り出した。


「なんだそれ?」

「犬笛っていうのかな? 厳密にはそれを改良したやつだね。普通の人間とかには聞こえないらしいんだけど、主くんが薬研君と実験した結果、ちょっと弄ったら僕らにも聞こえるようになったみたいでさ。とりあえず、何か緊急時にはこれを吹いて。全員そこに集合ね。」

「ふぅん?」

「へぇーおもしれぇな。鵺にも聞こえんのかな?」

「さぁ、それはどうかわからないけどね。帰ってきてから試してみればいいんじゃないかな?」

「これずっと持っててもいいって事か?」

「うん、本丸の皆にも配るみたいだからこれは自分の分として持ってていいみたいだよ」


 光忠が一つずつ細長い笛をくくった紐を手渡していく。


「はい、伽羅ちゃんの分」

「……あぁ」


 とりあえずそれを受け取って紐の長さが首から下げろと言わんばかりの長さだったので、首から下げ、服の中へ押し込むとひやりとした笛が肌に触れた。






 ゲートをくぐった先は、山の頂き付近。周りには多くの人の気配とガシャガシャと鎧や武器が触れ合う音。


「よし……ついたね。いつも通り、彼らには見つからないように偵察、探索するよ。時間遡行軍はまだここには手を出してないと思うけれど、絶対ではないからね。何か見つけたらさっきの笛で連絡してね」


 光忠が草木に身を屈めるのに倣い、大倶利伽羅達も草木に身を隠す。


「おう、わかったぜ」


「じゃあ、二組に分かれよう。僕と伽羅ちゃん、獅子王君と同田貫君でいいかな? 偵察と探索を終えたら一刻後、ここに集合だよ」


「わぁった。よっしゃ、獅子王いくぞ」

「お。わかった、じゃあ二人とも後でな」


 二人は身を屈めたまま、下手に木々を揺らさぬようにと獣道をそっと下へと降りていく。


「気を付けてね。よし、伽羅ちゃん僕たちも周りを見て行こう。」

「あぁ……」


 辺りをざっと見渡し、頷く。大倶利伽羅と光忠も、草木に身を隠し息をひそめて武田の部隊を観察しつつ、探索を開始した。


つづく

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