BL「俺はお姫様」

しおり*創作アカ
@ss0usaku

(1)

ごきげんよう、わたくしは先月、リク王国からミナト王国に嫁いできた、ミナミと申します。ミナト王国の王妃として、誠心誠意国王様のサポートをしていきたいと思っております。



……という体で、最近俺は暮らしている。女装ってやつだ。ほんとは姉に来ていた縁談。諸々あって、俺が姉の代わりに女装して、「リク王国の王女」としてミナト王国に嫁いだ。


ぶっちゃけ無理があると思う。俺は別に女性らしい顔つきだとか、中性的だとかいうわけでもなく、普通に男の見た目である。女装も、鏡を見たらひっくり返るくらい似合ってなかった。

それなのに「王妃」として暮らせているのは、ひとえに国王が気づいていないからだ。


信じられるか、国王はこんな雑な女装の俺を「王女」として嫁に迎えた。顔合わせのときも、結婚式のときも、まっっっっったく気づいてないようだった。あり得ない。正直ばかだと思っている。


側近の人たちは、当たり前だが俺が男だと気づいている。だけど、国王が気づいてない手前、黙っていることにしたようだ。いつも微妙な顔で俺を見てくる。見られている俺も微妙な気持ちである。


俺の世話をしてくれている女中さんたちも、俺の性別を知っている。当たり前だ、着替えや湯編みも手伝ってくれている。彼女たちとは、わりとオープンに話をすることができている。もはや隠すことなどなにもないしな。



気づいていないのは国王だけ。

不思議な状況で、今日も過ごすのであった。



「今日も変わりなかったか」

「はい、楽しく過ごさせていただきました」


夜。

国王と話す機会があるのは就寝前のこの時間だけだ。夕食をとり、湯編みをして執務を終える国王を寝室で待つ。そしてやってきた国王と、その日あったことなど、ちょっとしたやりとりをして、就寝する。

意外なことに、俺と国王はセックスしたことがない。最初のうちは、俺が男だからやる気がないだけかと思っていたが、俺が女だと疑いもしていないのに、国王は手を出す気はないようだった。


謎だ。この人謎過ぎ。


元々姉に縁談がきたとき、かなり押しが強かった。どうしてもリク王国の王女を嫁にもらいたい。他の国との縁談がまとまっていた姉に、そういってぐいぐい押してきたミナト王国。そのしつこさにおれる形で、俺が代わりに派遣されたのであった。とんでもなく雑な対応だが、国王は俺の女装にも気づいていないし、これで満足しているらしい。


謎だ。

あんなに押してきたんだから、姉(の代わりの俺)にももっと無茶を言ったり、セックスをさせたりするものかと思っていたが、ご覧の通り、交流は就寝前のみ、一緒のベッドには入るけど、そのまま寝て終わりだ。特にべたべたしてくる様子もない。


何がしたいんだろう。不思議を通り越して、不審に思えてきた。本当は俺が女装してること知ってるんじゃないか。それを利用してなにか母国に要求するんじゃないか。

本心が見えない。不思議な人物でしかない。一応結婚はしているけれど、国王のことは全く理解できていなかった。