溶けたアイス

こんなに暑いのに部活とか…。はぁ。

帰り道がこんなにしんどい事もなかなかない。

もうすぐ大会もあるし、先輩の引退もあるしで連日夏休みなのに学校に通う。

もう今日はさすがにアイスでも…なんてコンビニに入って、しばらく選ぶふりをしながら涼んでいるとガヤガヤと声がした。


振り返ると同じ学校の男子たちだ。でもあんまりみた事ない人ばっかり。

気にせずアイスを選んでレジへ行く。


んー、パピコ…両方食べちゃうか、なんて思いながらお店の外で袋をあける。

半分に割って、とりあえず片方を開けてかじる。ふぅ…至福の瞬間。


「ね、半分あまってる?俺にちょうだい?」

振りむくと、知らない男の子が人懐っこそうな笑顔で私のパピコを指差している。

「え…まぁ…あまってるといえばあまってるんだけど…」

「じゃ、俺にちょうだい?ね?」

そんなワンコみたいに微笑まれたら…あげないわけにもいなかくて…。

「ま、いいか。どうせとけちゃうもんね。あげる」

「ほんと?さすが太っ腹!ナイス先輩愛してる!!」

突然抱きしめられて、わけのわからないまま相手は手を振って去っていった。



私はといえば、突然の出来事になんの反応もできないまま、しばらく呆然と立ち尽くし…。

「なにあれ…先輩…?年下…??」

気がついた時には私のパピコはジュースと成り果てていた。


溶けたパピコを一気飲みして、気を取り直して家に帰る。

これが夏の恋の始まりとかなら、恋愛マンガみたいなのになぁ…。


「はぁ、あの子誰だったんだろ」

思わず独り言が口からついて出た時、曲がり角でさっきの子が立っているのが目に入った。


「ね、先輩。今度は俺がアイスおごってあげるから…来週花火一緒にいこ?」

そんなくしゃくしゃに笑って言われたら、断る理由もなくて。

「今度もパピコ半分こしよっか?」

「いいの?ねぇ、花火!一緒にいいの??やったー!!」

ほんとにワンコみたい、なんて思いながら、私にもこんなマンガみたいな時間が始まるんだなぁ…ってしみじみ思ったりして。


とりあえずあの子の名前聞かなきゃね。


おわり

著作者の他の作品

僕とマスターと姫の日常#1

自分の覚書というか自伝というか。エッセイ。