【確かに恋だった】僕が君の手を5題【5話完結】

磐城 葉月
@haduki0205

5. きみが愛しいと気づいたから

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そんなわけない。

仁王くんがわたしのことをすきだなんて、




そんなわけない。





どうやって帰ってきたのか覚えてない。


ただ、仁王くんの手が震えていたこと。

仁王くんの体温が心地よかったこと。

仁王くんの声が緊張していたこと。

それだけをわたしの身体が覚えている。




「…っ」




わたしにとっての仁王くんは。



同じクラスの男の子で。

テニス部レギュラーでかっこよくて。

学校中の女の子が彼に夢中で。


ぶっきらぼうに見えるけどほんとはとっても優しくて。

わたしが困っていたらちょっと助けてくれたり。

悩んでいたらお話を聞いてくれたり。


……気がついたら、いつの間にか近くにいてくれる男の子。





ちがう。



気がついたら、じゃない。


わたしが、ちゃんと、気がついていなかっただけだ。


仁王くんはいつもわたしのそばにいてくれたんだ。


わたしが、蓮二を、ずっと、追ってるから、



「気がつかなかっただけだ……」





わたしが蓮二をすきになったときも。

今年やっと同じクラスになれてひとりでドキドキしてたときも。

なかなかうまく仲良くなれなくて悩んでたときも。

告白しようか迷っていたときも。

フラれて泣いていたときも。


ずっと、わたしのそばにいてくれた。




ずっとずっと、わたしのしあわせを願ってくれていた。




ああ、わたしはなんて残酷なことをしてきたのだろう。


あんなに優しい彼に対して、わたしは、





「……あした」



そうだ。

あした、仁王くんにきちんと訊いてみよう。


そうだ、それがいい。


そしたらきっと、このモヤモヤした名前のない気持ちの正体がわかるはず。


きっとそう。


だから今夜は、もう寝てしまおう。








枕元の携帯が光っている。

なにかの通知が出ているのだろう。


いまは見たくない。

いつも寝る前に会話をしていたのは決まって彼だ。

きっと彼からのメッセージが届いているんだ。


…もし、いま見てしまったら。



この気持ちの正体に気づかなかったフリをしてしまうから。



5. きみが愛しいと気づいたから

(きみの手のぬくもりを思い出したら、いい夢が見られそうな気がした)