【確かに恋だった】僕が君の手を5題【5話完結】

磐城 葉月
@haduki0205

2. 誰にも渡したくなかったから

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「ありがとう柳くん!

 ほんとに助かっちゃった!」

「清川が頑張ったからだな。

 俺はほんの少しアドバイスしただけだ」

「いやいや、柳くんが手伝ってくれなきゃ今ごろほんとに…」



まったく、憂鬱な時間だ。

目の前で仲良くされると、嫌というほど自分の立場を思い知らされる。


きみに必要なのは、やっぱり俺じゃないんだ、と。



――それでも、個人の感情は自由じゃろ?



「あ!仁王くん!おはよう!」

「プピッ」



考え込んでいたところに突然声をかけられて変な声が出てしまった。



「あはは!

 何語なのそれー!」

「うっさい。

 ほっときんしゃい…」

「はー、ほんとおもしろいね仁王くん。

 涙出てきちゃった」


涙、という単語に心臓が跳ねる。


ちがう。 先週の涙とはちがう。


大丈夫。 いま、きみは、わらっている。



わらっている。



「あのね、えっとね…この間はごめんね」

「ん、彩菜が元気になったんなら良いナリ」

「…柳くんには内緒にしておいてね」

「おう、モチのロンじゃ」



柳に聞こえないように、小声で交わす会話。

俺と仲良くしていることは、あまり知られたくないのだろう。

……俺はそういう立ち位置だ。




申し訳なさそうな笑顔のきみが俺を見ている。

俺はきみを微笑んで見つめる。


きみに、この気持ちが伝わるように。

きみに、この気持ちがバレないように。




「仁王くん、」

「ん?」




「ありがとうね。」




そう言ってきみはわらった。





そして呆けた俺の手をそっと握ってから、きみは向こうへ行ってしまった。




「…俺にも、笑顔にすること、出来るんじゃな」


「は?何言ってんだ仁王。なんの話だよ」


口が勝手に呟いたのをブン太に聞かれてしまったので、頬に一発平手打ちをかましておいた。




2. 誰にも渡したくなかったから

(俺はこのまま待ってみるよ)