【確かに恋だった】僕が君の手を5題【5話完結】

磐城 葉月
@haduki0205

1. 言葉にならなかったから

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他人に心を動かされたことなんかなかった。

もちろん、女の涙なんか一番信じられない。

たとえ悪気がなくたって、泣いてすがった次の日には違う男の話をしている生きものだ。


なのになぜ、きみの涙に心がざわつくのだろう。



ねえ、泣かないで。

いつもみたいにわらっていて。

俺の胸まで締めつけられるから。

苦しくて苦しくて、一緒に泣き出したくなってしまうから。



でもきみが欲しいのはこんな言葉じゃないんだろう。

きみがいま、心底必要としている言葉は、俺の言葉なんかじゃないんだろう。



「ねえ、彩菜」


泣かないで。


「にお…くん…わたし、なにか…なにをまちがえちゃったのかなあ…っ」


泣かないで。


「ごめんな、俺にはわからんよ」

「わた、し…わたし…っ」



なかないで。



たった5文字。

たったひとこと。

言えないのは、求められていないとわかっているから。



俺に、ほんのちょっとだけ、後ろめたい気持ちがあるから。




1. 言葉にならなかったから

(きみの手は温かいのにふるえていた)