もう一度チャンスを。【お試し】

さく
@saku_mz

もう一度チャンスを。序章

暗黒に光を、絶望に希望を

血塗られた舞台には生の舞台を

今、幕が開かれる――。



もう一度チャンスを。


朝の光を感じて、コナンは目を開けた。いつの間にかカーテンが開けられていて、眩しさに目を細める。――…朝か。そう思って時計を見ると、針は7時をさしていた。今は冬なので、寒くてなかなか起きる気にはなれない。布団の温かさが気持ちよくてもう少し、なんて再び目を瞑った。

何だか、長い夢を見ていた気がする。幸せとはまた違う、とても大事な何か、忘れてはいけないような何かの夢を。もっとも、覚えていないのでそんな気がするだけだが。

そんなことを思っていると、上から「コラっ!」と声がした。


「ちょっとコナンくん!いつまで寝てるの?学校、遅刻するわよ?」


そう言われると、目を開けるより前に布団がはぎ取られた。すると寒さが身にしみて、クシュンとくしゃみが出る。しぶしぶ目を開けると、そこにはいつまでも起きないコナンに少々呆れている蘭が立っていた。


「おはよう蘭姉ちゃん…」

「おはよう。ほら起きて。着替えたら朝ご飯食べましょう」

「うん」


布団をはぎ取られたら、もう起きるしかない。本当は学校なんて面倒だった。中身は普通の高校生なのだから、今更小学一年生の授業を受けるなんて。それでも組織の目を欺くためなら仕方ないことで、はやく元に戻りてえなあなんて思いながら着替えを行った。

その時ふと、部屋を見てアレ?と思った。何か違和感があったのだ。しかし部屋を見渡してみても、見慣れた光景で何も変わったところはない。それでも何か引っかかるものがあって、コナンは首を傾けて何だろうと立ったまま部屋を見続けていた。


「コナンくーん」


蘭の呼ぶ声がして、我に返るとはーいと返事をした。その疑問を頭の片隅に置いて、コナンはいつも通り階段を下りて行った。


それに気づいた時、コナンは何を思い、どう行動するのか。

転がり続けた不幸は今後どうなっていくであろう。

運命を嘲笑うかのように、天は定めを下す。

たった一人に、残酷な人生を。

これから一人、地獄の道を歩くことになるなど、とうてい誰にも知る由はなかった――。




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