早春の候

春の暁早々に縁側で三味線をひと鳴らし。


弾けば三の糸がやや緩んでいる。


ここ最近の手入れが甘かったらしい。


朝の空気はまだ肌寒いが


耐えられぬ程ではない。


ひと通りの調弦が済み


いま一度バチを弾けば


一層澄んだ音がする。


「ん…」


閨で寝返りを打つ女の気配。


起こすつもりは、なかったんだがな。

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