BL「尻がいたい」本編完結

しおり*創作アカ
@ss0usaku

尻はこわい

尻はこわい



ある日恋人のみさきから「セックスのとき尻がいたい」というクレームを受けた。話を聞くところによると、セックスの度に切れ痔になっているらしい。それはとても大変なことだ。


どうしたらいいんだろう。

いつも丁寧にしているつもりだったけど、実際のところ切れ痔になっているという。「切れ痔 対策」とか、「切れ痔 治療」とかで調べても、便による裂傷についての情報ばかりで、アナルセックスの際の切れ痔に関する情報は得られなかった。このままみさきの切れ痔が慢性化したらどうしよう。そんなかわいそうなこと……



そんななかで、僕が受けになるセックスをみさきから提案された。受け……したことがない。それなりにお付き合いやセックスの経験はあるが、初めてのことだ。周りからみると、僕は攻めだと当たり前のように思われてきたし、僕自身も攻め側だ思っていた。


そういう経験から、受けになることは躊躇われたが、みさきの切れ痔の改善のためなら、なんとか、なんとかできるはず。


……ちょっと心の準備をさせてほしいけど。


ということで、僕が受けになることが決まった。



僕が受けになる日。みさきに会う前から既にどきどきしている。尻……いじられたことない……こわいな……

みさきがやって来て、さあどうぞ!とばかりに渡された浣腸を見て、やっと覚悟が決まった。やってみよう。みさきの尻のためだ。みさきの尻をずたずたにするような恋人ではいられない。みさきの尻のためならなんでもやろう。


と、思ったはいいものの、実際尻をいじられるのはめちゃくちゃ怖かった。アナルセックスっていうと性的な感じがするけど、言ってみたらそれって、ぐりぐり直腸をいじられる行為である。直腸って内臓じゃん!内臓をいじられる……こわい!内臓いじられてる!!こわい!!


みさきはいつもこんなこわい思いをしているのだろうか。丁寧に触っていると言っても結局直腸をいじってるわけだから……こわい!


切れ痔とか心配する前に、まず直腸の段階でこわい。これで挿入されて尻が切れでもした日には……おおお恐ろしい。


それはいけない。改善しなければ。もうセックスしなくてもいい。僕が受けになっても構わない。みさきの尻が安全安心健康であることが一番だ。



結果。僕の尻は健康だ。しかしセックスはいまいち盛り上がらなかった。そりゃそうだ、僕はずっと焦っていたし、みさきも攻め側になりたいわけでもないようだ。

「これからも受けでいいよ」とは言われたものの、やはりみさきの尻が大切だ。ちがう方法を模索しよう。それから、ネットや本を駆使して尻に優しい扱い方を学ばねば。みさきの方も、強靭な尻を目指すというし、お互い努力して、これ以上みさきの尻をずたずたにしないように頑張ろうということになった。



……頑張ろう。尻はこわい。もうあんな思いをさせたくない。尻は大事だ。理解した。身を以て感じた。頑張ろう。ほんとに。


しかし、こうやってデリケートな部分についてもちゃんと話をしてくれるパートナーでよかった。セックスのせいで、みさきとのお付き合いがだめになっちゃったら悲しい。そうなる前に言ってくれて、ありがたかった。そういう話も出来る相手だとわかったのもよかった。


尻いじられるのはとてもこわかったけど、色んなものを得られた気がする。


でももう受けはやりたくないな、尻はこわい。

そう強く思ったのであった。