治癒姫

かなかん
@o_qjcn3

7.目が覚めると

次に目を覚ますと暖かい光が差し込むベットの上だった。

少しだけ空いた、窓からはと波の音が聞こえた。


「あっ!目が覚めましたか!」


女性の声が聞こえ、声の方を向くと綺麗な女の人が立っていた。


「(あなたは?・・・えっ)」


そう尋ねようと、口を開けるも声にはならなかった。


「・・・・もしかして、話せないの?」


何か話そうとして、固まってしまった私を見て女の人は、そう尋ねてきた。


のろのろと首を縦に振り、肯定の意を伝える。


「そう・・・。少し待っていてくれる?」


そういうと、彼女は部屋から出て行った。


体を起こし、部屋を見回してみるとどうやら、ここは医務室のような所なのだろう。


現に、私の体には至る所に包帯が巻かれている。


(これから、どうしよう)


何が、原因なのか声が出ないこの状態では、仕事をするのも限られるだろう。


≪コンコン≫


「入るわよ」


そういって、入って来たのは先ほどの女の人と特徴的な髪形をした男の人


「目が覚めたんだってねぃ。大丈夫かよい」


話しかけてきた男の目をみて、ゆっくりと頷く。


「そうかよい。字はかけるかい?」


この医務室においてある書物や、書類などはちらっと見ただけでも、英語表記だった。

一応、英語についてもそれなりに勉強して来た為、おそらく大丈夫なはず・・・。


少し不安に思いながらも、ゆっくりと頷くと女の人がすぐ紙とペンを持ってきてくれた。


感謝の意で会釈する。


「まず、名前は」


「【わかりません】」


「わからない?」


前の世界での自分にかかわる記憶はすべて消されている為、わからない。

こちらの世界での名前も夢では一度も呼ばれたことがない為わからない。


「【わかりません。名を呼ばれたことは無いので・・・】」


「名前を呼ばれたことがないって・・・」


女の人が、ショックを受けたような顔をして見てくる。


「質問をかえるよい。年齢は?」


「【おそらく、18です】」


「偉く曖昧だねい?」


「【すいません】」


「まぁいいよい。次に、出身はどこだい?」


「【わかりません】」


無人島で暮らしていた私には、あの島がどこにあるのかわからない。


その後も、彼の質問にほとんど答えられなかった。


「あの船に乗っていた経緯は?」


「【わかりません。気が付いたら、あそこに居ました。】」


「・・・なら、これが最後だよい。どんな怪我や病気も治せるというのは本当かよい」


なぜ、この男がそれを知っているのだろう。


「この紙に書いてあったんだよい」


そういって、男が一枚の紙を取り出した。

そこには、私がどんな病気や怪我も治せること。そして、私の自己再生能力の高さが書いてあった。


(なるほど、それで目が覚めた時あんなに傷だらけだったんだ。)


「・・・どうやらあながちウソではなさそうだねい。」


紙をみて固まった私に本当の事なんだと気付いたのであろう男の人は、静かに部屋を出て行った。


「・・・・大丈夫よ!きっと、親父様があなたを助けてくれるわ!」


「【オヤジサマ?】」


男が出て行った後も動かない私を心配したのか女の人は、安心させるように話しかけてきた。


「そうよ。ここは、白ひげ海賊団の船よ。親父様は、ここの船長。聞いたことない?」」


「【すいません】」


この世界の知識を全く持たない私には、わからない。


「・・・いいのよ!わからないなら、教えてあげる。あ、私はここでナース長をしているセリよ。よろしくね!」


「【ありがとうございます。よろしくお願いします】」


笑顔で話しかけてくれる、セリさんにほっとして、顔が緩んでしまった。


「っ~~//////」


セリさんは、私の顔を見ると顔を真っ赤にして顔をそらした。


(どうしたんだろ?)


「かわいいわぁ~~!!」

顔を逸らしたかと思ったら、急に抱きしめられた。


「可愛い、可愛い!!ほんとに可愛いわ!!ねぇ、よかったらここで一緒にナースとして働きましょう!!」


(いや、えっと、)


セリさんの勢いに狼狽えていると、また部屋の扉があいた。


「お~い!セリ、部屋の外まで声が聞こえてんぞ~」


部屋に入って来たのは、またさっきの男とは違った男だった。