とある昼休みの戯れ

しらさぎ
@sagi_shira

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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「天童君」

「ハァイ」

「そこは私の席なのですが」

「知ってる」

 クラスメイトの天童畜生大臣覚君が、私の席で英語のノートと教科書を広げてカリカリと予習らしきことをしている。今は昼休み、私は数学の先生に質問するために職員室にいって帰ってきたところだ。

 天童君のすることはいつも予測がつかない。言動もたまに理解不能だ。常に自由奔放にやりたいことをやっている感じは臆病な私からすれば憧れるところではあるけれど、好き勝手に昼食の邪魔をされるのは普通に困る。

「天童君」

「ハァイ」

「どいてくれる?」

「さて問題デス」

「え?」

「どーして俺はここにいるのでしょーか」

 間延びした言い方で、天童君がシャーペンを動かしながら言った。私はふむ、と顎の下に手を添えて、天童君の横に立って考えを巡らせてみる。

「まぁまぁお嬢さん、座って考えなよ」

「あ、これはどうも」

 天童君がノートに視線を落としたまま私の隣の席を指差すので、お言葉に甘えてその席に座ることにした。……いや待って、こっちが天童君の席なんだけど。「天童君」「ハァイ」「……なんでもない」「あそう」なんで私が天童君の席に座らされてるの?と言ったところで天童君は動かないだろうなと悟ったので、途中で言うのをやめた。

「あ、わかったよ天童君」

「さすが名前ちゃんだよね」

「天童君は私のお弁当を狙ってるんだね」

「そうそうさすがに朝練挟んで四時間授業受けたらお腹ペコペコで自分の弁当一個じゃ足りないよねそんなワケあるかい」

「ええ」

 棒読み早口のノリツッコミに若干引くと、天童君が「このアマ」と想定外の暴言を吐いてきた。ますます天童君のわからなさが加速していく。

「わかったよ天童君」

「俺はいつまでも名前ちゃんのボケに付き合うヨ」

「ふざけたつもりは一切ないんだけど」

「名前ちゃん男子からなんて言われてるか知ってる?」

「知らないから悪口じゃないなら教えて」

「変人」

「天童君にだけは言われたくないね」

 即答で返事をすると、天童君は満足そうに笑った。

「答え合わせ~」

「はいはい」

「変人名前ちゃんと話すのが楽しいからちょっかいかけてるだけで~す」

 カリカリと、軽快なシャーペンの音が聞こえる。天童君は笑っている。

「……天童君ってさ」

「うん」

「私のこと好きなの?」

「ハァ?」

 笑っていた横顔が心底ばかにしたように歪んだ。この畜生大臣が。

「傷付いたから天童君と話すのやめるね」

「ウソウソ好きダヨ名前ちゃん、若利君から数えて十三番目に好きだよ」

「若利君は何番目なの?」

「若利君のこと若利君って呼ばないでくれる?」

「相当高順位なのはわかったごめん」

 素直に謝ると、天童君がまた笑う。

「はぁ~やっぱ名前ちゃんだね」

「なにが?」

「俺のサンドバッグに最適なのは」

「二度と話しかけないで」

 そう言うと天童君は一際大きな笑い声をあげた。話せば話すほど天童君の謎が深まっていくので、「私達友達でいいんだよね?」と天童君の横顔をジッと見て確認してみる。

「友達じゃなかったらこんなこと言わないでしょ」

 笑いを堪えながら、天童君が言った。なるほど不思議な人だ。このマイペースな言動さえも、彼に友達と言われてしまえば悪くないなと思えてくる。

「天童君、女子の間でなんて言われてるか知ってる?」

「イケメン」

「嘘でしょ」

「どういう意味かな?」

 ギョロっと天童君の大きな目がこっちを見た。「ごめん」気圧されてすぐに謝ると、天童君は愉快そうに口角を上げてくるりとペンを回した。