コウフク±㌻/私は賢者のように賢くなれない。

かめわらじ
@tatamiwaraji

7、ただいまを君に。

 一年間学び終えてほぐわーつ魔法魔術学校から帰ってくるハリーを迎えに行く為、バーノンぱぱと私は車に乗り込み、駅に向かっている。

 駅に向かう為走る車内は、時たまギゴッ、ギュゴゴ、ギギと可笑しな音を響かせていた。バーノンぱぱにしてみれば余りの不快な音過ぎてぶちギレ、修理してもらった修理屋に一昨日押し掛けくれーむをつけまくったそうだ。

 なんで、こんな音がするかと言えば、一年前の私が山奥の集落の学校に通うことになり、私に会いに車を無理して行ったり来たりしたためボロッボロ車に変貌。よれよれでもバーノンぱぱには何だかペチュニアままと深い思入れがある愛車のようで買い替えるのは忍びないんだとか。

 さて、山奥の集落に一年ほどいた私だが、実はあの集落で色々あった。

 あの大きな衣装箪笥を開けたことによって───その大幅に変わるような事があった。

 実際諸々もろもろな事情があって一年とかいう時間の縛りは利かない。

 ちょっとくらいは成長出来ていればいいなぁと思っている。自分でいうのもなんだけど。

 それぐらいあの大きな衣装箪笥は衝撃だった。


 車窓の景色を眺めているうち、あの集落であった頃の記憶が蘇り懐かしんで思い返していたら、駅前についていた。

 混むろーたりーからなんとか止まる場所を見つけると割って入ってまで横付けし車を降りた。夏の暑すぎる車内に残るなんて、自殺行為以外なんでもない。

 そろそろハリーが乗っているほぐわーつ特急がつく頃合いなので、他の魔法使いや魔女たちが自分の子どもを迎えにいて待っているぷらっとふぉーむに意気込み高く意を決して向かうバーノンぱぱ。

 だって、バーノンぱぱは今でも『魔法使いや魔女は大っ嫌い』だ。

 ぷらっとふぉーむに向かう中、ふと思った。


(どうしてペチュニアさんはハリーを迎えに行かなかったのだろう……?)


 原作では一応ハリーを怖がりながらも居たはずだと思ったけど。

 まぁ、こちらのペチュニアままは───何か魔法界であったらしいから、出たくないのだろう。

 魔法族の前に。


 私はまだペチュニアままと魔法界にどんな関わりがあるかは、一切知らない。

 これからこの先、彼女がその話をするとしたら今までの生活から確実に一変し、ひと波乱でもふた波乱が起きるかもしれない。

 私は密かに連れてきた『大上おおがみ』を両腕に抱えながら、この先の事を思ってそっとため息をつく。


 ───また面倒事に巻き込まれそうな、嫌な予感がする。


 そのため息を大上は私を見上げていたが、何も言わず二本の尻尾を振るだけだった。

 いつものことだろと言いたげに。


▼×××△


 この一年で団結仲良くなったハリーと同寮のロンとハーマイオニーと帰る汽車の中で楽しく話し尽くしている中、車窓から緑が濃く小奇麗に見える田園がふと目に入った。

 その田園をマジマジと見る。従兄のダドリーを思い出したからだ。

 ダドリーは『田園』が好きだった。

 理由を聞いてみれば、


『緑は目を刺激しないから。不快にならなくて落ち着くんだ。ハリーと違ってな』


 一言が余計だ。と、即座に言ったが、ダドリーは余り自分からこれが好きだと自己主張する子どもでもないから、とても印象に残っていたのだ。


 そっか、あそこに帰るのかと、素直に実感する。

『ダーズリー』家に戻る事に嫌な気持ちはなかった。

 只、皆に会える懐かしい気持ちはあった。たった一年だけなのに。

 パーティ・ボッツの百ビーンズを食べている内、汽車はマグルの町々を通り過ぎる。そろそろ、終電が近づいたのだ。

 ハリーは制服を脱ぎ、私服に着替えコートを羽織ると、そうそうに汽車はキングズ・クロス駅の9と4/3番線ホームに到着。

 汽車から降り、プラットフォームに行こうにも駅員が改札口に立って、ゲートから数人バラバラと仕分けて出していた。

 時間がかかってしょうがないが、堅い壁から大量の人間がいっぺんに飛び出したりしたら、騒ぎになるからだそうだ。


「夏休み泊まりに来て。ふくろう便送るから!」

「うん、ありがとう。でも、伯父さんが許すかなぁ…」


 人波に押されながら、ロンはハリーになんとか会話を交わし、ゲートへ。

 ロン、ハリー、ハーマイオニーはこうしてマグルの世界へと出るのだった。


▼×××△


「ハリー、バイバイ」

「またね。ポッター」

「よい夏休みを」

「また来年のホグワーツで」


 普段話さない数人の子から声をかけられた。

 ハリーは戸惑ったが、手を振った。


「未だに有名人だねハリー」


 ロンはしたり顔でニヤッとしたが、


「これから帰る所では有名でもなんでもないよ」


 と、穏やかな余裕の笑みで返し、ハリーのその態度にハーマイオニーとロンは顔を見合わせる。でも、疑問は疑問のまま。

 三人はごった返すプラットフォームの中を掻き分けて行くと、


「見て見て、ママ見て! 彼だわっ!」


 ロンの母モリーと妹ジニーが柱の壁際に居て、ハリーを見つけ指を差した。


「ハリー・ポッター! あのハリーよ! ママ、見て見て! 私見えるわ!」


 妹ジニーは黄色い悲鳴を上げて。


「ジニー、貴方って言う子は。人に向かって指を差すなんて失礼ですよ」


 そのジニーの様子にモリーは叱りたしなめた。

 モリーは三人に笑いかけると、おかえりなさいと挨拶を交わし、


「忙しい一年だったの?」


 とハリーに問いかけた。


「ええ、とても。お菓子とセーター、ありがとうございました。ウィズリーおばさん」


 受け応え良くはきはきした言葉で、ハリースマイル(キラキラと輝かしく爽やかなハリーだけがなせる笑顔)で返す。

 モリーは、そう良かったわ。と微笑み、横に立っていたジニーがハリースマイルにやられたていで顔を赤らめて母の服を引っ張って隠れた。

 そんな微笑ましいホワホワ雰囲気に、


「準備は良いか」


 と、押し殺した声が割り込んできた。

 振り返ってみると、一年ぶりのバーノン伯父さん。

 ハリーがあからさまな嫌な顔をした。

 相変わらず太りの赤ら顔に口髭、いつものようにハリーのことを普通ではないからと苛立っていた。しかも、見慣れないのかハリーのフクロウを見つけるなり、


「どんな神経でふくろうなんか駅に持ち込む!」


 と、文句を並べる。

 その言動に魔法界の人間一同は呆れた。

 ハリーがあからさまにうんざりした様子で聞き流していると、モリーは伯父さんのもろもろ常識のない割り込み方に苛立った様子で、反対に無理矢理割り込んだ。


「ハリーのご家族ですのね?」


 と、確認の為バーノン伯父さんに詰問のごとく聞いていた。

 バーノン叔父さんはモリーに軽蔑された目を向けられているなんて一切気付かず、


「ま、そうとも言えるでしょう」


 デカイ態度でフンと何が偉いのか見下した口調で受けて立って言う。

 その態度に、モリーは呆れて物も言えなくなり黙ると、


「小僧、さっさとしろ! お前の為に一日を潰す訳にいかんのだ!!」


 と、ひとしきり喚くと、さっさとダドリーたちが立つ所に歩いていってしまう。

 一同はその背を見ながら、只、アホ臭さが胸の内に宿るのだった。


▼×××△


 ハリーは少し間、ロンとハーマイオニーと会話を交わしていた。


「ねぇ、ハリーが言っていた従兄弟の『ダドリー』?」


 ハーマイオニーがぶりぶり怒りで震えるハリーの伯父バーノン近くの柱の影にこそっと身を預けて待っているダドリーに指を差した。


「そうそう。あれが従兄弟のダドリーだよ」


 文句をいうハリーを他所にロンは、ダドリーをじっと見ながら、


「なんか…深く帽子被っているから素顔分かんないけど、あの細腕で、拳一撃で壁に穴開ける腕力があるなんて嘘だ」


 ダドリーの怪力は法螺ほらだと鼻先で笑う。

 ハリーはそれにムッとする。


「本当だよ。町じゃハイスクール生だろうが負けない腕っぷしだよ!」

「えー……。僕より細いよあの子。それに色白だし……女の子?」

「喧嘩売ってんの、ロン?」

「えー…別にぃ~。でも、僕の腕っぷしでも勝てそうだよ。あの子、本当に弱そうにしか見えないからハリー」


 ロンは怪力なんてないないとあはははと笑いながらちょっとバカにした感じで言った。

 ハリーは更にムスとした。

 でも、今のロンに言ったところで無理なので、また来年! と切り上げ、ハーマイオニーに向き直る。

 ハーマイオニーに到っては、ずっとダドリーをじっと見ていた。


「ダドリーがどうかした?」


 目の前で手を振って聞くと、


「あのペットって、ずっと飼っていたの?」

「ん? ペット…?」


 ハリーはハーマイオニーに促されダドリーを見ると、彼の腕の中にオス猫サイズの犬っぽい生き物を抱えていた。確かに、あんな生き物は知らない。


「んー…なんか学校変えたとか言っていたから、その時にまた変人伯母さんから祝いとして貰ったんじゃない?」


 だけど、ハリーは然程さほど深く考えず流した。

 ハーマイオニーはちょっとだけ考え込むと、そう。とだけ返し、また来年ね。と手を振って両親のところに行ってしまった。

 ハリーはハーマイオニーの様子に首を傾げたが、ロンの母モリーと妹ジニーに頭を軽く下げ、荷物を押してそこから離れた。

 そして、全速力の競歩でダドリーの元へと駆け寄り、


「ただいま!」


 プラットフォームに響くもの構わず大声を出した。

 ダドリーは顔を少し上げ帽子のつばを上げる。ハリーのその大声に顔をしかめつつ、


「おかえり」


 一年前と変わらないいつもの声音で返す。

 ハリーはニッコリと顔中ほころばせると、ハリーのふくろうが嬉しそうにピイと鳴いた。


 プラットフォームは、変わらず人々の群れで溢れ、何処かしこでも再会を喜ぶ声が飛び交った。

《賢者編完》2015/07/07 2017/06/24箇所修正

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