ずうっと、ずっと 第2章

ゆ៎き៎こ@次は真剣乱舞祭
@yuki178115

第19話(第一部隊)最終話

《加州清光》


帰ると、みんなが待ち構えていた。

「大丈夫!?」

多く怪我を負った俺ら。

全員がすぐに手入れ部屋に担ぎ込まれた。

主は薬研が手当してくれたと思う。

手に包帯を巻いた主が、俺のいる手入れ部屋に入ってきた。

「大丈夫?」

「うん、へーき。」

主も大丈夫そうだ。

俺が横になっていた布団まで1人で車椅子を動かしてくる。

「よかったぁ。」

俺の頭をわしゃわしゃなでてくれ、思わず頬を赤らめた。

「主、手大丈夫?」

「うん。あの日の傷と同じ位置に出来たよ。ばってんになった。」

そう言って包帯を解きガーゼをとる主。

痛そうな傷口が露出する。

血が止まって、カサブタになりかけていた。

人の体って、不便だ。

この部屋に来ても治らないんだから。

怪我も、……病気も、治らない。

それでも主は懸命に生きている。

自分のやりたいことをやって、母親に近づこうとしている。

そんな主が、俺は大好きだ。

「じゃあ、みんなの所いってくるから。」

「うん。包帯まいてあげよっか?」

「あ、じゃあお願い。」

主は…、多分物凄く辛い人生を歩んでいる。

でもいつも笑って言う。

「私、すごい幸せ者だ。」

その笑顔で、俺は幸せになれるんだ。

「ほい。」

「ん、ありがと。ちゃんと休んでね。」

「はいはい。」

巻き終わると、主は俺に背を向け部屋を出ていく。

「じゃ。」

一言振り返りそう言って、去っていった。

……ありがとう。

ああ、俺、今凄い幸せだ。



《大和守安定》


運び込まれた手入れ部屋で刀身と怪我を手入れしてもらう。

しばらくすると主が部屋に入ってきた。

「大丈夫?」

「うん。」

そっか、と笑うと布団に座っていた僕をぎゅっと抱きしめてきた。

「私が寝てる間、大太刀と戦ってたんだって?」

「えっ?うん。」

「お疲れー!」

主の笑顔は凄く綺麗で。

僕はそんな顔が大好きだ。

そして、その笑顔を作る者になれたら、そう思う。

「主は?」

「めっちゃ元気。」

僕はほかの3人と違って、初期からいた訳じゃない。

でも主はそんな僕をこの部隊に入れてくれた。

そして共に戦い、5戦も勝ち抜いた。

そりゃ大変だったよ。

あんなに強い敵と刀を交えたのは、主以外だと本当に初めてみたいなものだったから。

「んー!疲れたぁ。」

伸びをしながら主がそう言った。

とはいえ、顔は清々しい。

「僕も疲れたよ。でも楽しかった。」

「それなー!」

2人で笑い合う。

主は、いつ死ぬかわからない。

こんな弱気なこと、言っていいかわからないけど、でも、本当だ。

それでも主は笑っている。

僕らと一緒に楽しく話している。

「今剣のところいかないと。大丈夫かな……。」

心配そうに隣の部屋の方をちらっと見た。

「早く行ってあげな。」

「うん。」

最後にもう1度僕に笑いかけ、主は部屋を出ていった。

1人になった部屋で、僕はぽそりと呟いた。

「あぁ、僕いますごく幸せだ。」



《今剣》


ぼくを抱きしめるあるじさまの腕の暖かさ、安心感。

ぼくが守るべきだったのに、守られてしまった。

助けてって……言っちゃった。

「今剣!」

布団に潜ってそんなことを考えていると、あるじさまがいつの間にかぼくの横にいた。

「あるじさま。」

「大丈夫?」

「はい……。」

あるじさまの顔を見て、ぶわっと涙が溢れ出る。

ぼくが弱かったから、あるじさまを危険な目に合わせた。

また、また大切な人を失うところだった。

「あのね。私さ、助けてって言ってくれて、本当に嬉しかった。」

「え……?」

その言葉に、だるい体を思わず起こす。

「なんでですか……?だって、ぼく、あるじさまを……。」

膝にあるその擦り傷は、ぼくを助ける時についたものだ。

そうじゃなくたって、あるじさまも怖かったと思うし、それに……みんなにも迷惑をかけてしまったから。

「お母さんは、生きろと言って私を突き放した。後藤くんは、逃げろと言って刀を放棄した。みんなね、私を生かせようとして、死んでった。私が殺した……。あのね、だから…、その……。」

すこしもごもごしてから、笑って言った。

「私の心を守ってくれて、ありがとう。」

例えお互いが怪我を負ったとしても、みんなで本丸に帰りたい。

それが何よりのあるじさまの願いだ。

つかまえられたとき最初に思ったことは、どうすればあるじさまを逃せるか、ということだった。

それでもあるじさまの顔をみて最初に出た言葉は救いを求める言葉で。

「あるじさま……!」

思わずあるじさまの胸に飛び込んだ。

「はいはい。いいこいいこ。」

あるじさまをぎゅっとした時の、伝わる熱が、ぼくは大好きだ。

包み込まれるような安心感が、ぼくは大好きだ。

「ぼくはあるじさまのまもりがたなです!まもってとーぜんですよ!!」

「うん!」

この暖かいところにいつでも行ける。

ああ、ぼくはすごくしあわせです……。



《岩融》


傷も痛みはしない。

暇な時間を過ごしていた。

今剣の様子を見に行きたいところだが、出るわけにはいかない。

「岩融はー、大丈夫そうだね。」

布団に座り天井を仰いでいた俺を見て、部屋に入ってきた主はそう言った。

「ああ。」

手の包帯は最後の戦いの時の傷か。

「さっき今剣の部屋行ってきてね。」

「本当か!?」

最初はめそめそしてたけど、もう大丈夫。

そう言った。

その言葉に胸をなでおろす。

「主は大丈夫か?」

「うん。」

手の傷は、恐らく残るだろう。

けれど主はそんな傷をみて、にこりと笑ったのだ。

「めっちゃ楽しかったぁ!」

「そうだな。」

晴れやかな笑顔でそう言った。

「主はみなの所をまわってきたのか?」

「そ。みんな大丈夫そうでよかったぁ……。」

傷だってまだ痛むだろうし、笑ってはいるが多分疲れている。

それだというのに、自分の手で車椅子を動かして我らの様子を見に来てくれた。

普段も、怪我をすれば手入れ部屋まで来てくれる。

俺は……そんな主の優しさが大好きだ。

「そうだ、みんなのところにお茶持ってかないと。」

「休まなくていいのか?」

「んー。私はへーき。」

その優しさ故に、無理をしてしまうこともあるがな。

「少しここで休んでいけ。」

「えー!」

車椅子から下ろして、俺の寝ていた布団の上に寝かした。

「ひどくないっ!?」

「無理はよくないからな。」

「はいはい。」

無理をしすぎる主を止めるのが、我らの役目よ。

「岩融ー。」

「なんだ?」

「優しいね。」

思わず顔を背ける俺に、今更か、と笑いかけてきた。

このひと時が、大好きで…、最高に幸せな瞬間だ。



《主 結崎美紗》

それぞれの部屋に様子を見に行って、最後の岩融の部屋で少し休んだ。

部屋に入って、大丈夫?と聞くと、必ず私にも大丈夫って聞いてくる。

優しくて、暖かくて、可愛くて、かっこよくて、それで、大好きな私の自慢の刀達だ。

台所でお茶を入れながら、先ほどの戦いを思い出しにこりと笑う。

みんなと一緒に戦えた。

みんなと母を超えられた。

みんなに守ってもらえて、そして守れた。

私はみんなに迷惑をかけてばっかりだ。

こんな体になっちゃったし、心だって、壊れてばっか。

でもみんなはそんなボロボロの私を受け入れてくれて、癒してくれた。

おかげで今私はとても幸せだ。

「主……。」

ニヤニヤしている私を影から見ていたのであろう長谷部がそっと声をかけてきた。

「なに?」

「お茶、持っていくので、休んでてください。」

「いいのよ。私が持っていきたいの。」

「ですが。」

「いいから。」

「せめて車椅子を押すだけでも。」

「いいって。」

しゅんとしてしまった長谷部の腰をぽんっと、叩き、笑いかけた。

「ありがと。」

そう言うと、はい、と返事をし、急須を片付けに台所に入っていった。

途中薬研とすれ違う。

「体調は大丈夫か?」

そんな薬研の顔をみて、ふと睡眠薬の事を思い出した。

「全く、なんてモン清光にもたせたのよ!」

「おかげで助かったろ?」

「まーね。」

無味無臭、して無色透明。

そりゃ気付かないで飲んじゃうよね。

綺麗な彼の顔をじっと見つめる。

お母さんが残してくれた刀。

その事実を知った時は戸惑ったけどね、それでもこの子のおかげで私は今ここにいるんだし、この子は私の刀だ。

大好きな、大好きな刀だ。

「今日は早めに寝ろよ。」

「うん。」

再び車椅子を動かし始める。

大好きな私の刀達に会いに行くためにね。


お母さんへ。

今日私は、あなたを越しました。

大好きな私の愛刀と共に、阿津賀志山の第5回戦を戦い抜きました。

みんなは言うだろうね。

何故私を殺そうと待ち構える部隊にわざわざ突っ込むのか。

仇?

違うよ。

私はお母さんを越したかったんだ。

5戦目を戦い抜き、そして全員で帰還する。

みんなで本丸に戻って、みんなで笑い合う。

お母さんにはできなかった事だ。

ねえ、見てる?

もっと、もっと強くなるよ。

それで……いつかお父さんに会うんだ……。

お母さんが会えなかった、お父さんに_______




第3章に続く

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