美術館の悪魔

卯月姫@夏花
@hanahanasikihim

例えそれが絶望でも

「……え?」

スノーはすごく混乱していた。

「悪魔の殺し方、知ってるかい?」

「そ、んな」

「簡単だ、十字架を胸に突き刺すだけだよ。十字架は確かこの美術館の中に手頃な大きさの物が展示されていたはずだよ。昔古い本で読んだんだ。嘘だと思ってたけど僕が今ここにいるならこれも「やだ…」

「…スノー」


「嫌だっ!!!」

「スノー。僕は「大丈夫よ。今まで上手くいってたもの。殺されたのは悪い人たちばかりだし、それにあなたはまだ子どもで「駄目だよ、スノー」


スノーが、泣いている。


「1度終わってしまえば、同じものは、もう2度と始まらないんだよ。」



そりゃあ、僕だってスノーと一緒にいたいけどさ



死者に未来はないんだ



スノーは、僕といるべきじゃない。



「スノー、僕を忘れてほしい。そして僕を忘れて、大人になって、他の人を愛して、家族や友達に囲まれて、幸せに生きてくれればそれでいい。」

うあっリッ…ザ……リザ…ねぇ……好きよ…リザ…」

ぼろぼろと、スノーが泣いている。美しい涙が汚れた床を濡らしていく。


「名前、呼んでくれてありがとう。ずっときみに呼ばれるのが夢だったんだ。」


最期にひとつ、わがままを許して。


きみにとって、いちばん苦しいこと

僕にとって、いちばん愛しいこと


十字架を見つけ、それを掴んでスノーの小さな手に握らせる。この手は血に染まってもなお、美しいままなのだろう。


〝本物の〟心を奪ったきみが、〝偽物〟だって奪ってくれ。






「僕を殺して、スノー。」

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