美術館の悪魔

卯月姫@夏花
@hanahanasikihim

汚れたきみに捧ぐ

言葉なんか出なかった。


スノーが嘘をついてるようになんか見えないし、疑うつもりもない。

でも、


「だから私は驚いた。あなたが普通に生きていたから。成功してしまったから。

でも死ぬ直前の記憶が消えていたから、何かおかしいと思ったの。それで夜、何となく胸騒ぎがしてここへ来てみたら…血まみれのあなたが、人を喰べていた。


…その時私は考えたの。バレないようにしよう、気づかないようにしよう、あなたをちゃんと天国へ還すために、と。

それで服を脱がせて、洗って、乾いてからもう一度着せて、それから家に戻った。その時のあなたは別人だったから不思議そうにも思ってなかったわ。

それから毎晩ここへ来て、まだ寝ているあなたにこっそりマントを着せて、〝あなた〟が起きて窓を開けて出ていったら中から閉めて、〝あなた〟が帰ってきたら…ひ、人を運ぶのも手伝った。殺してから持って帰ってきてたから、すごく重くて大変だったけど…」

「…」

「そ、それであなたが喰べ終わったら手と口の周りを拭いて、マントを回収して窓から帰った。〝あなた〟はまだ眠る前に無意識に窓の鍵を閉めてるようだったし…「それを」

僕がさえぎる声に驚くスノー。


「毎日やってたの…?」

「うん」

「…なんで…?まず、そこまでしてきみが…僕を生き返らせる理由なんてないだろ…?きみが血で汚れる必要なんて…」

「いいよ」

哀しげに、そしてとても綺麗に微笑む。

「血の色なんてわからないもの。」

「?!」



「もう少しだけ、私の言葉をきいてくれる?」

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