美術館の悪魔

卯月姫@夏花
@hanahanasikihim

もう夜は明けないから

外へ飛び出してみたが、もうすでにスノーの姿はなかった。

「…くそ!!なんなんだよっ!!…」

うつむき声を漏らす。頭が混乱して訳がわからない。

大勢の人でざわめく中、囁き声で噂をしている声が聞こえてきた。

ヒソヒソ…「聞いたか?美術館の悪魔の話。」「狙うのは犯罪者ばかりって話だろ?それも日に日に増えてるって。」「この美術館の中で悪魔が犯罪者を食べてるんだってぇ…」「食べるっていうより〝喰う〟じゃないか…?」ヒソヒソ…


(犯罪者だって?!)

そういえば最近警察の姿を見ることが多くなった。刑務所の中の犯罪者が喰われているということは警察の警備の甘さを示している。美術館に閉鎖を求めないのは警察の失態がバレるのを防ぐためか。

「犯人はカニバリズム野郎か…?最っ悪だ…」


愛しい人が残した違和感。

それといっしょに、僕の〝日常〟が幕を閉じた。







「今日犯人がわかるって言ってたけど…もう今日が終わっちゃうよ…」

いつものように見回りをしながら今日の昼間にスノーが残した言葉の意味を考えていた。まったく気にしてないわけでもなかったが、そこまで簡単に言葉を信じられるほど綺麗な生き方はしてこなかった。

すると突然、

「起きて」

「…?!?」

どこからか声が聞こえた気がした。遠いような、近いような、不思議な感じだった。

(なんだ…?!もしかしたら犯人かもしれない!)

もう一度耳を澄ます。

「起きてリザ」

「…リザ…?」

僕のことか?それに「起きて」って起きてるから見回りしてるんだよ。おかしいなぁ。しかも、この声



「起きてリザっ!!!」

「スノー?」



目の前にスノーの顔があった。どうやら見回りは夢だったらしい。僕は瞬時になんでこんな時間にスノーがここに?とかこんな追い詰められた顔初めて見たな。とかいろんなことを考えたけど






君の足下。つまり僕の周りには。




とても綺麗な汚れた

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魚が泳ぐ教室で、『神様』と話したありふれた夏のこと。

人の姿を借りる『鏡人形』。「心を貸して」と唱えるだけで、僕は誰にだって為れる。