美術館の悪魔

卯月姫@夏花
@hanahanasikihim

覚め始めた夢

その夜夢を見た。

君が雪の降る寒い日に、大きなナイフで殺された。そんな君を見ている僕が、血にまみれた君も美しいなと、泣きながら笑う夢だった。



ガバッ!!


「…っはぁ…夢か……よかった…」

飛び起きてみれば全身にじんわり汗がにじんでいた。

「うわ、汗かいてる…この寒い夜に…(笑)」

赤い血の色、白い雪と君の髪が目に鮮明に残っている。君に染まったナイフが僕を嗤う。いまだ犯人も見つけられずにいるからこんな夢を見るんだろうか。いや、たぶん、理由はそれだけではないのだろう。

「あーあ、また夜が明けた。」






最近あの子は、とても苦しそうな顔をするようになった。変わらない無表情だったけどたぶん、前よりもずっと。何度話しかけても「…うん」とか「…そう」とか生返事だけが返ってくるようになった。

最初からそんな気がしていたけど、たぶん君は嘘をついてる。僕に対して、きっと何個も。

僕が普通の子どもなら、こんな穢れた人間じゃなければ、もっと君は楽になれたかな。

「…スノー」

「…?」

「聞いてくれ。最近血の量が増えてきているんだ。徐々にだけど確実に。僕、どうすればいいか余計にわからなくなったんだ。」

「…いやだ

「…?スノー?」

でも、もう…終わらせなくちゃ。

まただ。またスノーが訳のわからないことを言い出した。僕にはわからない、〝わかれない〟こと。




今日、犯人がわかるよ。




「っ!!スノー?!」

そう言い放ってスノーは駆け出した。

追いかけようとして体の向きを変えると小さな男の子に当たりそうになった。

「ぅわっ!!ごめん!!」

「おにいちゃんだいじょうぶ?」

「うん…ありがとう」

人に気を付けて僕は外へ駆け出していった。






「ねぇママ、いまのおにいちゃんまっくろだったね。」

「え?そんな子いたの?」

「うん!ぼくいまぶつかりそうになったの。」              ・・・・・

「ぶつかりそうにって…今周りに子どもな

・・・・・・・

んていなかったでしょ?」

「えー?いたもん!」

著作者の他の作品

人の姿を借りる『鏡人形』。「心を貸して」と唱えるだけで、僕は誰にだって為れる。

永い時を生き、それでも夢見たのは、誰かのそばにいること。