美術館の悪魔

卯月姫@夏花
@hanahanasikihim

神が微笑むのは

「ぅえ?!…えーと、どう思うって…何のこと?」

「天国ってあると思う?」

あー…なるほど。びっくりしたー…この絵のことか…

血溜まりのことがバレたのかと思った。

「天国ねぇ…そんなの人間が勝手に考え出した都合のいい楽園だと思うよ。でもあるって考えてる方が楽し「あるよ。本当に」

僕の言葉にかぶせてスノーが言う。

いつもの無表情のままだけど、何故か、少し悲しそうに。


「でも天国へ往くには、神様からもらった命をちゃんと使いきらなければいけない。自分を責めたりして、後悔するような死に方をすれば、その人は天国なんかには往けない。」

「…どうしたのスノー」

天国の反対は地獄じゃない。跡形もなく消えるだけ。生まれ変わることも…なく。




しんっ…




他にも人はいるはずなのに、ひどくまっさらな、静寂。

まっすぐ僕を見ている赤い目は、他の心も映しているようだった。


「もう帰らなきゃ…」

そう呟いて君は出口へ向かう。

「…またね、スノー」

「…」

いつも通り挨拶もしてくれないし、名前も呼んでくれないけど、君は必ず来てくれる。



今日僕は、少し君と同じ世界が見えた気がした。

著作者の他の作品

ひとつひとつ飾るのは、生まれず消えた昨日の話。きらきら、きらきら、煌めく...

魚が泳ぐ教室で、『神様』と話したありふれた夏のこと。