美術館の悪魔

卯月姫@夏花
@hanahanasikihim

心臓を抉った〝白〟

まばたきの仕方なんて忘れていた。

一瞬だけ死んだのかとさえ思えた。


自分と同じくらいの年だろう。

ひだ付きの柔らかそうな黒い帽子。黒いファーをまいた首もと。暖かそうな黒いワンピースドレス。濃い灰色のブーツには小さな銀の鈴が付いている。

透き通るような肌。可愛らしい唇。伏せ目がちな深紅の目。そして、服装に不釣り合いな肩までの緩くウェーブがかかったふわふわの真っ白な髪。

冷たく思うほどの美貌だった。


言葉が出ないとはこういうことか。胸がぎゅうぎゅう締め付けられて喉が焼けそうに熱い。なぜかくらくら目が回りそうになる。

「……また…」


まただ。


・・・

初めて見たあの時。

今日と同じ、寒くて冷たい雪が降っていたあの時のように。


僕は2度目も恋に落ちた。

著作者の他の作品

人の姿を借りる『鏡人形』。「心を貸して」と唱えるだけで、僕は誰にだって為れる。

ひとつひとつ飾るのは、生まれず消えた昨日の話。きらきら、きらきら、煌めく...