何故(なにゆえ)泳げぬ物語

ゆうき
@yu102ki

第4章 夜討ちとガイコツ、それと水

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深夜0時を過ぎた頃。


「ごめんくださーい。お邪魔しまーす!!」


ルフィが誰の制止も聞かずにホグバック邸のドアに手を掛ける。しかし、なんどかガチャガチャガチャと鳴らすが鍵がかかって開かない。


「ん? この扉、鍵が…あ、開いた開いた」

「開いたって言うか、お前…」


無理やり取っ手を壊して、一行は屋敷に入って行った。


「おーい、誰かいねェかー!? ゲッコー・モリア~~~!!」


屋敷に入って早々、ルフィが叫んだ。


「これだけの屋敷で…使用人の一人もいねェのか?」

「何だこの乱闘の後のような部屋。まさかナミさんの身に…!!」


テーブルはひっくり返り、椅子もことごとく倒れている。明らかに何かがあった後だった。


「ブヒヒヒヒ…!! ご主人様の名を知ってなお、ここへ踏み込むとはたいした度胸」

「!?」


突然、ユウキ達の上のほうから声がした。


「え!? 壁からブタが生えてる」とルフィ。

「顔と手だけだぜ…!? なんだありゃあ…」とユウキ。


「歓迎してやれ客人達を!!」

「ケキャキャキャキャ!!」


一斉に、今までただの敷物や肖像画だと思ってきたものが襲ってきた。


「オイオイ、これもゾンビか?」とサンジ。

「この島ではもう…どんな生き物がいても不思議じゃないわね」とロビン。


誰もが冷静で、ルフィなんか稀に見る珍しい生き物達に目を輝かせている。目の前には、肖像画が身を乗り出して攻撃してきた。その一体の顔に、サンジの蹴りが入った。


「ナミさんを……!!」


前に出ようとする肖像画の勢いと、サンジの蹴りの勢いが拮抗する。


「どこへ隠したァ~~~!!」

「ベギャアアアァ!!」


サンジの蹴りで肖像画は身を額に押し込まれた。


「くそ~っ、何だこいつ!! 攻撃できねェ! 何も感じねェのか!?」

「手が…通り抜けちまう!」

「チャプチャプ、チャプチャプ、まるで水みてェだ!!」


三体の肖像画ゾンビがユウキを必死に攻撃していた。

しかし、ユウキはどこかこぞばゆそうに笑いながら、何もしていない。

時々、ゾンビ共の手だけではなく、白い糸のようなものがユウキの体を通り抜けるが、それもユウキの笑いを誘っている。


「…ふはっ! 何も感じねェわけじゃねェよ。体を通り抜けられるのって、くすぐったいんだぜ…!!」


笑いをこらえ、右手の人差し指と中指だけを立てる。そして、振りかぶった。


「オ・コード! 『水打ちの鞭』!!」


ユウキの手から出た、水の鞭が敵を打つ。


「「ウギャハァッ!!」」


ゾンビ達は、思い切り顔を打たれて吹っ飛んだ。

そうしている間に、ユウキ以外のクルーも相手を倒していた。最後は一人、ルフィのみ。


「しししし!!ホンット面白ェな、この島っ!」


ルフィが楽しそうに笑う。


「この…!! すばしっこい奴め!!」


敷きグマが手をブン!と振り下ろすが、ルフィは身軽にそれを避ける。


「おれ達の邪魔をしなきゃ、仲良くやれたのに…!!」


そう言うと不適に笑い、両腕を後ろへと伸ばす。


「“ゴムゴムの”…!! バズ――カ!!」

「ベオォ!!」


クマの顔に、思い切り入った。敷きグマはそのまま屋敷の壁にのめりこんだ。


「し…敷きグマ…」


威勢がよかったはずのブタの剥製が、顔を青くして言った。気がつけば、部屋には意識を保っているものは彼いない。

ブタの額から、汗が伝ったのをユウキは見た。









屋敷に入ってすぐの部屋でゾンビ達を片付けたユウキ達は、『ブヒチャック』と名乗るブタの剥製のゾンビに質問を浴びせていた。


「あっ…あっ!! あの3人組なら!! 今寝室でぐっすりと眠ってるぜ、よかったな!! 安全だ!!」


自分の身の危険に、慌ててウソを言うブヒチャック。

ハァ、と呆れて息をつきながらフランキーが言う。


「んなわけねェだろ!」

「ホントだってブヒ!! 行って見たらいいだろ!! そこの階段昇って奥へ…!! ブヒブヒ」


ユウキもルフィも、ブヒチャックのウソ臭さ満点の物言いに顔をしかめた。


「ん? おい、ちょっと待て…。――あのぐるぐるコックがいねェぞ」

「え?」


フランキーの一言に皆が周りを見渡した。確かに、サンジがどこにもいない。


「あり?さっきまでいたのに…。サンジの奴、どこ行ったんだ?」


ルフィも首をかしげた。


「…まさかトイレでも行ったんじゃあ…」


ユウキはターバンを結び直しながら言った。


(ぷふふっ…!!)

(おい笑うな!!聞こえる…。)


壁にかけられた肖像画がこそこそ笑っている。姿こそユウキ達にやられて壁から垂れ下がっているが、笑うだけの力は残っているらしい…。


「ブヒヒ…」


ブヒチャックも我慢できずに笑う。


「いつの間にか…なんかしやがったなコリャ」


ゾロがその様子を見て言った。


「惜しい男を失った」

「あのな…」


ゾロのひどい言い様にフランキーもやる気なく突っ込む。


「まーでも、そうだな。サンジはいいか!」とルフィ。

「だけど、こんなゾンビ屋敷じゃ、3人の方の救出は一刻を争うかもしれない」とロビン。


全くサンジのことは気にもかけない。


「ブヒブヒ…。おめェらよォ…。ちょっと強ェからって調子乗ってんじゃねェぞ…。仲間が消え去って、心中ビビってんだろ!! ザマァみろ!!」


ブヒチャックが言う。それに、ユウキはしゃがみ込んで睨んだ。


「あんだと…? てめェが調子乗るんじゃねェよ」


人差し指から水の刃を出し、ユウキはブヒチャックの顔に押し付ける。剥製なので血は出ないが、チクチクと痛いはずだ…。


「ひっ…!」


ユウキの、ドスの聞いた声と凄んだ表情に、ブヒチャックは真っ青になる。


「とにかく、勘で進むしか方法がないわね。このコ達を脅して本当のことを喋るとも思えないわ」


ロビンが、そんな気の毒なブヒチャックを見向きもせずに話を進めた。


「…じゃあこのブタ、案内に連れて行こう」


ゾロが考えるように手をあごに当てて言った。


「え゛~~!!?」

「そりゃいい考えだ」


ユウキはニンマリ笑い、水の刃をそのままロープに変え、ブヒチャックの首を絞めるようにして繋いだ。


「へ…へへ…。行け行け……!! 我々のご主人様の恐ろしさを知るがいい」

「おれ達の…真の主人は゛王下七武海゛ゲッコー・モリ…おお!! 言えねェ!! 身が凍る!!」

「おおお~~、その名を口にしただけで身も凍りそうだ……!!」

「消えた仲間達はもう無事じゃ…済まねェぞ」


ヘロヘロなゾンビ達が最後とばかりに言い募った。


「一人…また一人と仲間は減っていく。……後悔するがいい…!! “七武海”のゲッコー……イヤ、ご主人様の真の実力を前に、誰一人助からねェ恐怖…!!」


ゾンビは、自身が冷や汗をかきながら言う。


「ゴチャゴチャうるせェな…。なら、そのモリアのバカに伝えとけ!!」


ルフィが腰に手をあてて息をついた。


「おれの仲間の身に何か起きたら、お前をこの島ごと吹き飛ばしてやるってな!!」

「「な………!!」」


自分達の主人を恐れぬ男に、ゾンビ達は皆ガタガタと震える。ユウキは、目の前で始めて見たルフィの船長らしい言葉に、ヒュウっと口笛を吹いた。


「言うなァ、ルフィ」


目を細め、片側の口角だけ上げて笑う。


「ゲッコー・モリアを倒すのは……譲らねェぜ」


ユウキの呟きが聞こえた者は誰もいなかった。







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