プロポーズ~碓氷真澄~

ぴの@妄想垢
@lalala_luvu

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洗濯物を干し終えて室内に戻ってくると、談話室から話し声が聞こえてきた。


「真澄くんと、…至さん??珍しい組み合わせだな、何話してるんだろ?」


話しているところをあまり見たことがない2人の会話。

「名無しちゃんってさ、いい子だよね」

ふいに自分の名前が呼ばれてドキッとする。

「アンタに名無しは渡さない」

「ははっ、別に取ったりしないよ。ただ真澄は名無しちゃんのことどう思ってるのかな?って思ってね」

どうやら至さんが自分と真澄くんのことについて聞いているようだった。


「き、きになる…でも、聞きたくないような、聞きたいような…」


気になる話題ではあるが盗み聞きしてしまってよいのかと悩んでしまう。しかし好奇心には勝てずこっそりと聞き耳を立てる。


「真澄ってさ、名無しちゃんに会う前まで監督さんには結婚しよ、ってしょっちゅう言ってたのに、名無しちゃんには言わないよね?すきとかかわいいとかは相変わらずよく言ってるけど。」

「・・・」

「監督さんには言えて、名無しちゃんには言えない理由とかあるの?」

「なんでそんなことアンタに言わなきゃならない」

「ただの好奇心。だけどなんとなく気になってね。真澄がその言葉をあえて避けてるような気がしてたから、」


そういえば、と。

真澄くんがいづみさんに一目惚れして入団したということはとうの昔に聞いた。

一時期はその事について悩んだこともあったが、いづみさんから実は結婚を前提にお付き合いしている方がいるということをこっそり教えてくれたし、真澄くんとちゃんと話して「今は名無ししか興味がない」と、そう言ってくれたから、そのことについては吹っ切れている。

もちろんその時の真澄くんの話も嫌という程聞いているから「すき、かわいい、結婚しよ」が頻繁に出てきたこともよく覚えている。

そして、至さんが言うように、「すき」や「かわいい」は毎日たくさん言ってくれるけど、「結婚しよ」と言われたことがないことに気づく。


「…これ以上聞いちゃいけないような気がする」


なんとなく嫌な予感がして、聞いちゃいけない、ここから立ち去ろうと決めたとき

「名無しとは結婚できない」

最も聞きたくない言葉が聞こえてきてしまった。


ああ、やっぱりそうなのか、と。

実のところ、いづみさんのことがまだ忘れられないのでは?と感じたことは何度かあった。

「あんなに好きだった人を簡単に忘れられるわけないよね…」

いづみさんに恋人がいることに気づき、叶わないことを悟って諦めようとしていたのではないか?

そこに自分が現れてそばに居るようになって、無意識のうちに身代わりとなっていたのではないか?

考えれば考えるほど悪いことしか思いつかない。

とにもかくにも、はっきりと真澄くんは「結婚できない」そう言ったのだ。


堪えきれず溢れた涙を拭うこともせず、もうこれ以上聞きたくないと自室へと逃げるように駆け込んだ。







真澄と話しているとバタバタと走っていく音が聞こえた。

まさか、と。

先程洗濯物を干しにこかちゃんが外に出ていったんだった、と思い出す。

ドアの方に目をやれば、少し開いたドアの隙間から洗濯物のカゴが置かれているのが見えた。


「ごめん、真澄。今の話名無しちゃんに聞かれてたっぽい。んで、たぶん大事なとこ聞いてなくて誤解してる、かも。」

「?」

「廊下に洗濯物のカゴが置いてあるでしょ?さっき名無しちゃん外に干しに出てたんだよね。戻ってきたところで俺たちが話してたの聞いちゃったんだと思う。走ってく音聞こえたし、部屋に閉じこもってるかも。誤解といてきた方がいいんじゃない?名無しちゃんのことだからぐるぐる考えて悪い方向いってそうだし。別れようとか言われたら困るでしょ?」

「それは困る」

「ならほら、早く行ってきなよ」

「わかった。いってくる。」





自室にこもっていると、コンコン、と控えめなノックが聞こえた。

今は誰にも会いたくないし、そもそもこんなひどい泣き顔を見せる訳にはいかない。そう思い無視を決め込む。

するともう1度、先程よりも強めのノック音がきこえ、そして「名無し」と、誰よりも愛しい、けれど今一番聞きたくない声が名前を呼んだ。


(真澄くんだ…。廊下に洗濯物のカゴ置いてきちゃったし、聞かれてたのバレちゃったかな…)

妙に冷静に状況を分析してしまう。

(聞かれたついでに別れ話、とか…かな、聞きたくないな…)

真澄くんは何と言うのだろうか。監督が忘れられないから別れよう?それとも、名無しのことを好きになろうと思ったけど無理だった?

ドアを見つめながら、この先の悪い未来が頭を駆け巡る。

それと同時にどうして盗み聞きなんてしてしまったのだろう、聞かなければまだもう少し真澄くんと恋人でいられたのに、と後悔の念に駆られた。




「いるなら聞いて。」


ドアの向こうで真澄くんが話しはじめる。


「至が、もしかしたら名無しが俺たちの話聞いてたかもしれないって、名無しが誤解してるかもしれないって言ってた」


(真澄くんが私のことを好きだと思っていたのは誤解だったってこと、だよね…)


「名無しが何を誤解してるのかわからないけど、俺は名無しが好き。それは変わらないから。」


(結婚はしたくないけど、寂しさを埋めるためにいてほしいってこと…?そんなの無理だよ…)


「もしかして俺のこと嫌いになった…?」


「…!そんなことない!!そんなことないよ!!大好きだよ!!!でも、たぶん、真澄くんの好きと私の好きは違う、」

「何が違うかわからない。俺は名無しが好き。誰にも渡したくない。」


「いづみさんの身代わりでしょ?!」


「は?」


「結婚できないっていってた。いづみさんとは出来ても私とはできないんでしょ?!」


ああ、と。真澄はようやく誤解している訳に気づいた。


「結婚はできない。」


「やっぱり…」


「はあ…。ねえ、ここ開けて。直接顔みて言いたい。俺の気持ち聞いて。お願い。」


「…わかった、」


真澄くんからのお願いに、どうせ振られるなら一思いに振られた方がよいと、覚悟をきめてドアを開けた。







「名無し。俺と結婚して」





どんな別れの言葉がくるのかと、目をぎゅっとつぶって耐えていると、聞こえてきたのは想像もしてなかった言葉だった。


「えっ…?だって、さっきは…」

「結婚できないのは今の話。」

「いま…?」

「監督の時は結婚とか何も考えずに言ってた。でも名無しと会って監督の時よりももっとずっと大事にしたいって思った。だから、名無しをちゃんと守れるようになるまではって思ったら言えなくなった、」


「真澄くん…」


「今はまだ無理だけど、もっと俺が大人になって名無しのこと守れるようになったら、その時は俺と結婚してほしい。というかする。むり、ほかの奴らに渡せない」


「ふふっ、真澄くんらしいや、」

いつもの調子の真澄くんに、自然と笑みがこぼれる。


「やっと笑った」


「真澄くんのこと好きすぎて、悪いことばっかり考えちゃった…。でも勘違いでよかった、ほんとに…」


「俺が名無しを嫌いになるとかありえない。だから名無しは何も考えずに俺の隣で笑ってればいい」

「何も考えず笑ってるって…それってなんだかバカっぽいけど…まあいいか!」



勝手に話を聞いて、先走って勘違いをして、なんて自分はめんどくさいのだろうとそう思わずにはいられないけど、

それでも変わらずに好きだと言ってくれる真澄くんがたまらなく愛しくて。

真澄くんにもっと好きになってもらえるようにがんばろうと心に誓った。




「ふつつか者の私ですが、末永くよろしくお願いします…大好きだよ、真澄くん」





はっぴーえんど!!

ここまで読んでくれてありがとうございます!