ほのぼの本丸。

空夜@プラス書き
@___kuy98

それぞれが

「あーるじっ」

『わっ、どうしたんですか?』

「えへへー、着いてきてくださいっ」



背後から声をかけてきたのは、鯰尾さんで。振り向けば満面の笑みを浮かべていて、つられて笑う。そしてわけも分からずに、腕を掴まれて引っ張られた。

そういえば今日は鯰尾さんって確か・・・・。




「主殿っ!」

『やっぱりここですか・・・!

鳴狐さんバテてませんか?』



黙々と畑作業をしていたお供さんに呼ばれてそう問いかければ、鳴狐さんが静かにこくりと首を縦に動かした。



「かなり大きくなったんだよ。

・・・もちろん、野菜がね」

『え、あ・・・はい』

「あまり主を困らせないでください」

「ダメですよ、にっかりさん〜」



少し意味深に聞こえるように言ったにっかりさんに小言を挟む次郎太刀さん、それに笑って注意する物吉くん。

やっぱり畑だった・・・!



「あっちに沢山できていた」

『見に行きましょうか』



くいっと袖を引かれ振り向けば、教えてくれる骨喰さん。


この本丸は土地のおかげで、ほかの本丸と比べてもなかなか広い。だからなのか、この本丸の子達は多少ではあるけれどほかの本丸の子達より活発だったり、畑が膨大で自分の区分があったり・・・・。



「あっ、俺の育てた野菜大きくなってる!」

「俺のも大きい」

「僕のは少し小さいかな」

「私のはまぁまぁですね」

「ボクのは大きいです!」



これ見てとでも言うように自分で採った野菜も私の前に掲げられた。

それも大太刀の次郎太刀さんも言うから驚きだよね。



「どれが一番!?」

『え、?』



ふと聞こえてきたのは、そう順位を急かす鯰尾さんの声。



『誰が一番とか、ないですよ』



そう返ってくるとは思わなかったのか、みんなが驚いた様子で見てくる。



『それぞれがそれぞれの大きさで実るなんて、個体差のようなものですよ。

それぞれの一番の姿がその実った姿だと思うので、

みんながみんな一等賞です!』



ふわりと笑えば、少しピリッとしていた空気が一気にふんわりとなって。



「主にはかないませんね」

「さっすが主ですね!」



そう笑いあってから収穫へと戻るみんなを見て、静かに天を仰いだ。