黒の異端者と青い竜

和泉@夢垢 色々書いてる
@Izumi2p5f7f

第 XVI 話 【壁】

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第 XVI 話










『ネロ』

「…どチビ…」



最後に会ったのはA国

先に日本に向かうオレに再会の約束をした、煩くてしょうがない…マコトの相棒



『会いたかったぜネロ、漸く再会出来たな』



嬉しそうに告げるどチビ…青竜は尻尾をユラユラ揺らしている。

再会出来た事が本当に嬉しいようだが…オレは喜べない



「…山野バンから聞いた、ミゼルの配下になっただって?」

『配下?なに言ってんだ相棒。ミゼルはオレの友達だ』



その言葉に確信を得た。

ミゼルの野郎は青竜の記憶を書き換えたんだ。


恐らくすれ違った時辺りにウィルスを流し込んでおき、パスワードでそれが発動、記憶を書き換えるようにしていたんだ…


ギュッと握り拳を作り、湧き上がる感情を押さえる



「…で、お前は何しに此処へ?まさかサーバーにアクセスでもするのか?お前みたいな頭使うの苦手な奴が」

『…オレが此処にいるのは…ネロ、お前を迎えにきた』

「は…?」



迎えにきた?オレを?



『お前は【二重人格】で生まれた、もう一つの人格だ。だけどこのままいけば、マコトは治る…そしたら、お前は消えちまうんだ』

「……………」

『けど、その事をミゼルに話したらなんとかしてくれるって言ったんだ!お前が消える必要無くなったんだ!』

「! どう言う意味だそれは…」

『ミゼルが【ネロ】と言う心をオレ達のようにCPUに移す技術を作るって言ったんだ、つまりオレ達みたいに生きる事が出来るんだ!』

「ーーーー!」



そんな馬鹿な…!

CPUに心を移すだと?そんな技術ある筈がない!

それは例えるなら、禁術に近しいモノだ!普通に考えてもそれは不可能だ!


…けど、それがもし本当なら…



「……1つ聞きたい。それが可能だとして…マコトはどうなる?」



禁忌を犯せばそれ相当のモノが犠牲になる。

それを知ってて此奴は言ってるのか?

その言葉に青竜は笑いながら



『んな人間なんて放っておけよ。移した後はバランスが崩れて、そいつは死ぬ』

「…!」

『だってそうだろ?二つの心で上手くバランスを保っていた身体から無理やり片方の心を移す、んな事したら一気に弱体化するだけだ』

「お前…お前はそれでいいのかよ!マコトは大切な相棒なんだろ⁉︎」

『はぁ?なに言ってんだ?

ネロ以外の人間は所詮チップに過ぎない、世界を最適化するためのな』



無情に答える青竜。その言葉に嘘偽りもない…本心…


例えるなら、刃物でも刺さったような感覚

あまりにもショックな言葉に、何も言えなかった


いつも騒いでて、戦闘バカで、単純で、どうしようもない大馬鹿で

だけど

仲間思いで、場を盛り上げる奴で、マコトが大好きで、優しい奴だ



『行こうぜネロ。人間達を一緒に管理して、世界をパーフェクトワールドにしよう』



手を差し出す青竜にオレは…


サラマンダーを出して構える



『…どう言うつもりだネロ?』

「……今のお前がどう言う奴かよくわかった…

お前は…オレの知る馬鹿あいぼうじゃない…


マコトや、彼奴らの知る青竜はもう居ない…

なら、少しでも彼奴らの気持ちを楽にさせる為に…


この事実を知らせない為に…


青竜おまえを、破壊する‼︎」



サラマンダーで攻撃を仕掛ける

だが、伊達に長い間戦闘に出てる奴では無い。

オレみたいな初心者駆け出しなんてあっという間に躱して逆に鋼鉄棍でサラマンダーを地に叩きつけ、押さえつける。



『…おかしいな、オレの知るネロはこんなものじゃなかった』

「…うるさい、お前みたいな馬鹿に言われたくない」



口ではそう言うがCCMの操作は忙しない。


今の青竜を知れば傷つく、悲しむ

マコトも、山野バンも…皆が…



「これ以上…オレの所為で誰も傷付いて欲しくない…!」



込み上がった感情を言葉にした、その時

フードから何かが飛び出し、青竜に攻撃


不意打ちに対処出来なかった青竜はサラマンダーから離れて着地、それはサラマンダーを庇うように降り立つ



「…Gレックス…?」



飛び出したのは、檜山蓮の愛機【Gレックス】

だがおかしい、所有者は今扉の向こうにいて、操作どころか此方を見ることなんて不可能だと言うのに…


思わずGレックスをジッと見ると、Gレックスは一度オレを見るように動くと、再び青竜に攻撃を仕掛けた。


鋼鉄棍で防がれ、逆に攻撃を仕掛ける。

だがGレックスはヒラリと回避して尾を使い薙ぎ払う。

吹き飛んだ青竜が立ち上がるより先にGレックスは接近、連続で殴っていく


自動オートマにしては的確すぎる…

回避ならまだしも、相手の位置を把握してからの攻撃、それを予測する計算速度と処理能力

どれもが今まで見た物以上で、目が離せなかった…



まるで、自分の意思を持ってるかのような…




一際大きな音を立て、地に手を突きながら下がる青竜に、Gレックスは構える

鋼鉄棍を持ち直し駆け出し…だがその前にベクターが現れ中断。


ゴーストジャックされると思い咄嗟にGレックスを回収、がその心配は無用だったらしい…

青竜の足元に緑色のプレートが現れ、それに乗ると飛び立つ



『…今回は退く。だがな、忘れるなよネロ。

オレ達の手を取らない限り、お前の運命は永遠に変わらない』



最後にそう言い残し去った青竜とベクター


居なくなったのを確認し、深い溜息



もう、皆の知る青竜は居ない

もう、皆の知る青竜は…戻って来ない…




「…オレのせいだ…オレの…


…ごめんなさい…」






・・・・・







「……以上だ…」



Gレックスをしまい、告げる檜山

しかし、誰一人、何も言えなかった


自分達の知る青竜は。もう居ない

その事実を、ネロはずっと隠していた



「でも、だからと言って壊すのは…」

「…彼奴せいりゅうの心がデータだとすれば、簡単に書き換える事が出来る。豹変した原因もそれが一番有利で、説明がつく。

そして、一度書き換えられば、バックアップが無い限り…」

「…そんな…」



言葉を失った。青竜は、本当に…



「…オレなんて居なければよかった…」

「ネロ?」



ネロは顔を埋めたまま、弱々しく告げる



「オレが居なければ、マコトは傷付かずに済んだ。皆に辛い思いさせずに済んだ。青竜が…相棒が…あんな風にならずに…」

「それは違う」



話を聞いていた山野博士はまっすぐソラを見つめて言う



「ミゼルが何故、青竜を狙ったのかはわからない。しかしそうなったのは君の所為では無い」

「………」

「それに、君が情報をくれたおかげで、我々はガーダインの野望をいち早く知る事が出来た」

「…あれは、オレの自己満足の為に…」

「ネロはそうでも、私達からしたら違う」



ネロの側に来たソラは微笑み、話を続ける



「やり方はどうあれ、あなたのおかげで大統領は救われ、野望を阻止出来た。それに、中国の炭坑でくれた手紙のおかげで無事に【スタンフィールインゴット】を取れたんです」

「あ!そう言えばアレ何が書いてあったんだ?」

「ネロの事だからプライバシーな事調べて脅迫にしたんじゃ…」

『否定出来んな』

「ちょ、ちょっと皆。話が脱線してるよ…」

「ユウヤは気にならないの?」

「……ちょっとだけ…」



一部が賑やかになったところで状況が理解出来ず顔を上げるネロ、今度はアミが近付く



「言い忘れた事があるの。一年前、私とバンを助けてくれてありがとう」

「え…?」

「一度だけ表に出た時、私とバンは動けなくて…でも、ネロのおかげで助かったの」

「…それと、ごめん。んなに辛いのをずっと抱えてたの知らないで、自覚しろとか言って…」

「カズはすぐ思った事口にするからね〜、昔からかわらないわね」

「う、反省してます…」



戸惑い、何も言えないネロ

自分がした事は決して許されない。永遠に背負う罪


けれど、責めるられる言葉は…ない



「ネロ」



檜山に呼ばれ見上げると、彼は皆を見渡しながら話す



「これでもまだ誰も信じられないとでも言うのか?」

「…それは…」

「いや、本当は信じようとしている。

だが、過去の出来事や向こうで受けた傷の所為で【信じる事】に恐怖心を抱いてしまった…違うか?」

「…ーーッ!」



その言葉に息を呑み、何かがヒビ割れる感覚が走る。

言葉を失うネロにバンは手を握りしめ、優しく微笑んだ




「ネロ、もう大丈夫だよ。ここには君を思う…仲間や友達が沢山いる」




その瞬間、音を立てて崩れ落ちた…自分を閉じ込めていた分厚い壁



…信じたかった…

…本当は、孤独ひとりが嫌だった…

…友達や仲間がずっと欲しかった…


…だけど、どうしたら良いのかわからなかった…



それに気付いた瞬間、止めどなく落ちる涙



「ごめ、ごめんなさい…ごめんなさい…!オレ…皆に…ひどい事を………!」



伝えたい事があり過ぎて、抑えていた気持ちが一気に溢れて、小さな子供のように泣き噦るネロ

そんな彼女にバンは笑みを浮かべる



「ネロ、必ず青竜を助けよう!俺達と一緒に!」

「………っうん…っ」


バンの差し出した拳に、ネロは拳を作り、コツンとぶつけた











ー…だから言ったでしょ?心から信頼出来る、大切な友達がいるって…ー