黒の異端者と青い竜

和泉@夢垢 色々書いてる
@Izumi2p5f7f

第 XIII 話 【異端者】

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第 XIII 話




楽しい時間はあっという間に過ぎすっかり夕方…




「ネロ、今日は用事あって帰れないから適当にご飯食べてて」

「へーい」



ブルーキャッツでそう答え出たネロにバンが近寄ってくる

その後ろにはヒロとソラの姿もある



「良かったらうちにおいでよ!」

「なんで?」

「バンさんのお母さんが僕達の為に夕飯作ってくれたんです!」

「だから一緒に行こうよ」

「…………」



騒がしいのは嫌い

コイツ等に関わるのはもっと嫌い


だから断ろうとした

でも、何故だろう…




「…不味かったら文句言うから」






バンの自宅には既に他のメンバーが揃っており、夕飯のカレーを食べているところだ



「カレーと言ったらヨーグルトでしょ」

「僕の家ではコーヒーを入れてる」

「納豆だろ!」

「「ええ〜〜⁉︎」」


「………」



賑やかなメンバーを遠目に自分用のカレーをよそうネロ


どうして来たのか、自分でもわからない

普段なら断って一人でいた筈

なのに…あの時は…



「お口に合ったかしら?」



声のした方を見ると、バンの母親である真理絵がネロを見て微笑んでいる

慌ててお辞儀して「大丈夫です…」と遠慮がちに答える



「確か…ネロさん、よね?バンから聞いてるわ」

「 山野バン…くんから…?」

「ええ。いつもツーンとしてて周りに馴染めない人だって」

「・・・・・」



なに勝手な事言ってんだあのヤロウ…ッ!



「けど、本当は優しい人だって聞いたわ。いつもバンといてくれてありがとうね」

「いえ、そんなことは…」

「それと、あの子いっつもあなたの事を心配しているのよ」

「オレの?」



曰く、帰ったらいつもマコトやネロの話をしており、最近ではネロが周りの仲間や自分を頼ってくれないと悲しそうだったとか…



「もっと周りをよく見てみて?皆あなたが思っている以上に良い子ばかりよ?」

「……………」



そこまで話すとカズに呼ばれ渋々会話に参加










せっかくだから泊まっていけと言われそのまま泊まる事に

ソラ、ラン、アスカ、ジェシカも同じく泊まる事になったが、定員オーバーの為そちらはアミ宅に…



夜遅くまで騒いでいたメンバーはいつの間にか夢の中…

ふと、バンは目を覚まして部屋を後にする



キッチンで水を飲み、戻ろうとしてふとリビングを見ると…ヘッドホンを付けパソコンを見るネロ


真剣にパソコンを見るネロ。

マコトとは違うその姿を初めて見て…綺麗だと思った

思わず息を飲み、それに気付いたらしいネロが顔を上げる



「…お前か」

「あ、ごめん…邪魔したかな…?」

「いい、気にしてねぇ」



ヘッドホンを外して深呼吸、身体を伸ばすとバンが近付いてくる



「疲れてるだろ?寝なくて大丈夫?」

「一応寝たんだが、どうしてもこの時間になると起きちまう」

「どうして?」



隣に座ってきたバンの問いに暫く考え、視線をリビングに向けて言う




「“オレ”が生まれるきっかけが、丁度この時間帯だったから」

「それって…」

「…マコトの両親が大喧嘩、そして聞きたくなかった言葉を聞いたのが、この時間だった」

「……!」



パラダイスでの激戦の後、ネロから聞いた…二人の過去

それを鮮明に覚えていたバンの表情が変わったのを見てネロは溜息を吐く



「…それ以来、この時間になると…オレだろうとマコトだろうと身体が勝手に起きてしまう。一種のトラウマってヤツだ。

全くいい迷惑だ、こちとらグッスリ眠りたいのに」

「…ネロは、今でもご両親の事…」

「正直言えば嫌いだ。マコトを傷つけたからな…それに…」

「それに…?」

「…バケモノと言い、オレが出ると何時も消えろだのと言ってたから。」

「……………」



淡々と告げるネロは何処か他人事のようで、そして自分の知らないネロに、バンは興味をひかれた




「もし良かったら…ネロの事、教えて」

「は?」




思わぬ言葉に驚くネロ

なんでオレのだよ…そう言うと




「マコトの事は色々聞いたけど、ネロの事は何も知らない。

だから知りたいんだ、俺の知らないネロの事を」

「……………」




ジト目で見てからの溜息

面白味は無いぞと伝え、淡々と話す




・・・・・





と言っても、オレが表に出る時は大体周りがオレを…マコトを散々傷付けた時


最初は力で押さえていた

…でもそれで太刀打ち出来ない連中も多い事を知り、知識を付けていった

様々な知識を学び、それをいかに活用するかを考えていった


それだけで十分かも知れない

だが…時たまに感じる嫌な気配…オレを利用しようとする連中の存在を知り、相手の心理を見抜く能力、そして逆に利用する方法を学んだ



「友達は?」



居ない。皆オレとマコトの姿を好奇の目で見て、避けていたから

話しかける人も居たが、そいつは必ずクラスの中で避けられる。まぁイジメってヤツだ。

彼奴マコトはどうしたかは知らない、オレの場合は話しかけられても無視していた。



「どうして?」



あのなぁ、それで答えたら相手はイジメにあう、そしたらオレに逆恨みするからに決まってるだろ?

パラダイスでオレもしただろ、助けなかったって理由でお前らを逆恨みしたの…



「…………」



…はぁ、兎に角オレに友達なんて存在しない。

てか、いても意味ないんだ。



「なんで意味が無いなんて言えるの?ネロはずっと独りぼっちになっちゃうよ?」



独りなのは今に始まった事じゃ無い。もう慣れてる。



「…じゃあ…」



あ?



「俺がネロの友達になるよ、そしたら独りじゃないだろ?」



……………。

お前、何言ってるかわかってる?



「え?」



オレはマコトのもう一つの人格。

マコトの【二重人格】でオレが生まれた。


つまり、それが治れば、オレは消える。



「……! そんな…」



残念ながらそれが現実だ。

まぁ、オレはそれでも良い。彼奴が幸せならそれで…



「…俺は嫌だ…」



は?



「ネロは俺の大切な友達だよ。

確かに最初会った時は最悪だったけど…今は違う。

ネロもマコトも、どっちも大切なんだ」



……………………………。


お前がどれだけ願おうが、どちらかは消える。

それは避けられない事だ。


消えるのは、偽物の人格であるオレ。

だから余りオレに関わるな。




「……っ」




無言になった山野バンに溜息を吐くと、徐に右手をギュッと握られる



「必ず、見つける…」



なにを…



「俺は必ず見つける…!

ネロもマコトも、どっちも消えないで存在出来る方法を…

だから…消えるだなんて言わないで…!」

「ーっ!」



泣きそうな顔で、消えないで欲しいと言われ、驚いた


どうしてそこまで…それがわからなかった、けど、言葉に出来なかった



答えない代わりに握られた右手の向きを変え、バンの手を握る



「…!」

「…期待しないでおく、せいぜい頑張れ」

「…うん、必ず見つけるから」



そう告げた途端、バンの目からポロポロと落ちる涙

ギョッとしてるとバンはそれに戸惑い、「なに泣いてんだよ」と苦笑いしながら左手で拭う


…その間、ずっと右手は握ったまま…






・・・・・





翌日 早朝



リビングのソファで眠るバンにブランケットをかけ、玄関に向かう。

靴を履いて紐を結っていると、声を掛けられた。


振り向くと、今起床したらしい真理絵がこちらを見ている



「もう行くの?」

「…どうしても、やりたい事があるんで…」



靴を履き終え、真理絵さんに振り向く




「お世話になりました。それと、昨日のカレー…美味しかったです」

「いいえ。またいらして」



ペコリとお辞儀して、ドアを開けて出る




短い時間ではあったが、目障りで、煩くて、鬱陶しくて…


…暖かい場所…



「…また、来たいな…」



それが叶わないのは、自分が一番知っている