御伽草子

海棠緋寄⚔️
@Enph_hiyo12

軽音

「中也さん…その格好……えっっろいですね」

「はぁ…?お、おう?」

「ちょっと!?どういう事!?」


探偵社とマフィアで何故かバンドを組んでいるのだが詳しい経緯はこの際、どうでも善いだろう。皆そんな考えだった。しかし、経った今、彼女が放った発言に対し物申したい太宰であった。


「中也の恰好なんてただ肩出してるだけじゃないか」

「……いやぁ…中也さんって本当に同い年なんだなぁって思いました」

「貶してるだろ手前」


つまり式部が云いたいことは、今まで自分と身長が近すぎなのと性格から同い年で成人済みという感覚がないということだろう。そして肩を出していつもより服装が緩いということで色気があるという意味らしい。彼に対して全く異性として興味のない彼女でもエロいと感じたらしい。そして其のことに気に食わないのが式部の恋人である太宰ということである。


「紫織ちゃんっ 私は!」

「太宰さんはほら、元がアレじゃないですか」

「……良かった褒められてるぞ」


二人の会話が面倒臭いのか中原は適当に聞き流す。此のまま適当なタイミングに此の二人に離れるに限る。彼はそう思った。


「大体、私と紫織ちゃんが揃えてネイルして来たのに中也と被って最悪な気分なのだよね」

「知るか」


太宰と式部の衣装はお互いに打ち合わせしてきたのか似たものになっている。黒色の上着とストールが同じもので、太宰は濃い緑のズボン、式部も同じ色のミニスカートと合わせてきている。そして二人の爪も云われてみれば同じように黒色の色付けが施されている。


「……てか、手前ら、違うチームだろ」


心底面倒そうに話していた中原だったが、ふと其のことを思い出して口に出す。すると二人はお互いに顔を様々な方向に逸らした。

 そうなのだ。太宰は探偵社のチームでGtを担当しているが式部は別のチームでBaとVoを担当しているのである。


「人数の都合ですからね」


今回の此の【熱狂の音楽祭】多くのバンドがあるなかで思い通りにチームが組めなかったメンバーも若干名いる。最初は一緒になりたいメンバーを希望していたのだが、最終的に偏りが出たことにより殆どのメンバーがくじによって振り分けられたのである。そして其のくじによって太宰と式部は違うバンドになったのだった。


「……私のバンドなんてもう厭なんですよ………」

「手前はもう一人のヴォーカルが嫌いなだけだろ」

「誰ですか二人でVoやれって云ったの!?」


太宰や式部が参加したくじ引きはメンバーを知り合いなどを関係なく混ぜるために行われたものだったのだが、パート分けに関しては触れておらず、太宰のバンドではパート被りが居なかったのだが、式部の入ったバンドは恐ろしくパートが被っていたのだ。なので急遽パート替えを行い、演奏する曲に対して楽器を変えるなどして対処している。そしてVoを二人にしてその二人にもう一つ楽器をさせることによって幅広い楽曲を可能としたのだ。しかし式部ともう一人のVoは頗る仲が宜しくない。殆ど式部が勝手に嫌っているだけなのだが。


「紫織さん。そろそろ一回は合わせたいんだけどなー」

「やだ~~!」


噂をすればなんとやら。もう一人のVoである清原が式部を迎えに来る。彼はもう一つKeyを担当している。彼の楽器分けは難航していたが、其れは出来ないというわけでなく大体何でも熟せたため何をさせるかを困ったという意味である。基本はKeyをさせ、他にも曲に合わせて楽器をするつもりらしい。

 式部は清原と一緒に曲を合わせるのが嫌で逃げてきていたのだ。


「助けて太宰さぁん!」

「でもなぁ……清原さんは良いとして、他のメンバーは困らない?」


他のメンバーのことをチラつかせられ式部は言葉を詰まらす。太宰が珍しく助けてくれないというか、今まで散々、国木田さんに対して助けたりしてきたのにこんな仕打ちをされて式部は数秒唖然としていた。そして清原に引っ張られていく。


「そうかそうか。つまり貴方はそんな人なんですね!!」

「云っとくけど、紫織ちゃんが国木田くんの怒号から助けてくれるのは大体四割だからね?」


ちくしょ~~~……と式部の声が遠ざかっていく。

 ふと後ろを見ると中原もいなくなっていたので太宰も自分のバンドの元に戻ることにする。



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