御伽草子

🐙海棠緋寄⚔️
@Enph_hiyo12

降誕祭 前編



「ら、乱歩さんっ、乱歩さんがトナカイ!?」


作った料理を運んでいる最中に、仮装をしてノリノリでいる乱歩に徳田はとても驚いた。

 今は、探偵社もお祭り気分で国木田までも仮装をしているし、内装も聖夜一色だ。


「なんだい。秋梨は僕の此の格好に文句ある?あ、クッキー頂戴」

「無いですけど……」


寧ろ嬉しいです。という言葉は飲み込む。そして摘まみ食いも受け流す。


「其れよりも、ほら、君も着替えなよ」

「へ?」

「放けてる場合じゃないよ。式部の分が余ってるんだ」


そう云われて渡されたのはミニスカの赤い衣装。

 元々、此の衣装は、今実家帰りしている式部に着せる為に用意したもので、余ったので徳田に着せる事になったのだ。


「わあ!可愛いですわ!」


部屋の入口で歓喜の声が上がる。此れと同じ格好をした鏡花がやって来たのだ。オフショルダーの上半身に、ふんわりと広がるミニスカートと、太腿の半ばまで包むニーソ。髪も何時もの低い位置から高い所で結っている為、余計に髪が可憐に揺れる。


「……」


鏡花は照れて頬を紅潮させて俯いている。同じ年頃の徳田でも彼女をとても可愛く感じる。

 あれを見た後に私では絶対に盛り下がるんじゃ…とネガティブになりながらも彼女も着替えに行く。


「そう云えば、脱走した太宰の分も余ってるんだよねぇ」


太宰は式部の実家へ忍んで向っているらしい。其の為彼の分の衣装も残っている。因みに乱歩のに似たトナカイの衣装。


「清原に着せたらどうだ。鏡花が呼んだらしい」

「来るのかい彼は……」


大人たちの会話に特務課の清原の安否を案じる未成年たちだった。




「……はぁ」


着替えている最中で大きく溜息をついた。

 鏡に映る自分の白過ぎる肌を見て一層暗い顔をする。


「可愛くないな、私」


色の無い髪、同じような肌は、赤身が無くて、血色が悪く、顔色が悪い。そして異質過ぎる。鏡花のような可愛さは絶対出ない。

 オプションのサンタの帽子を被った所でまた溜息をつく。

 暗い気持ちで事務室に戻る。扉を開けると皆が一斉に彼女を見る。


「秋梨ちゃんもとても似合いますわ!サイズは大丈夫ですの?」

「え、あはい。大丈夫みたいです」


元々は式部が着るものだった為、サイズが心配だったが、彼女のサイズが小さい為違和感がない。

 ナオミにすべすべと頬を触られたり、頬ずりをさせてたじろいだり、写真を撮られて顔はかーっと熱くなるのを感じた。


「秋梨、似合ってる……」

「……ありがとう鏡花」


お互いに少し距離がありながらも、決して悪くは無い関係をこれからも二人は続けるだろう。


「さて、清原が着替え終わったら始めるぞ」


え、いつの間に…という顔を徳田がすると、鏡花が入れ違いに来たと教えて呉れた。彼は鏡花が呼んできたのだが突然にトナカイの格好をすることにとてつもなく嫌悪感を示していた。最終的には折れてくれたわけだが。


「何呆然としてるのさ、子供らしくはしゃぎなよ」


室内の風景を、まるで幻を見るかのように儚い眼差しで見ていると、まるで現実に引き戻されるように頬を突かれてそう云われた。


「不思議なんです。まだ始まっても無いのに、凄く楽しい…!」


料理の準備も勿論、誰かと計画を立てたり、一緒に作業をしたり、和気藹々と日常会話を楽しむことが徳田にとってはあり得なかったことだった。


「ふんっ、君は本当に感覚が莫迦だ」


そう云って徳田の頭を乱歩は乱暴に撫でる。


「仕方ないから僕が直々に教えてあげよう」


手を引かれお菓子などの食べ物が置かれたテーブルに徳田を引っ張って行った。




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うちよそ短編。清原と三九来さん。

FGO夢主と銀腕の騎士の夢小説。うちよそ要素ありあり。