御伽草子

海棠緋寄⚔️
@Enph_hiyo12

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文スト14巻ネタバレ有



共食い騒動のあと、何故か競馬場に行った太宰とは別に、とある人物と待ち合わせを式部はしていた。


「やあ。お待たせ紫織さん。共食いの時は大変だったらしいね」

「……御託は善いから用件は?」


特務課の清原だ。彼は何故か何時もの格好と違い、黒い服装ではなく、濃い灰色のスーツにスラックス。ネクタイは柄付きで、何時もは来ていないベストも着ている、釦も何時もは開けっ放しだが今は一番下一つをあけてとめてる。

 そんな違和感を目線で伝えながら用件を聞く。彼が式部を呼び出したのだ。


「実は、つい数時間前に消去した筈の情報が漏洩して、君と太宰君の情報が表に出てる」


 太宰と式部のマフィア時代の経歴は特務課によって消去されていた筈だが誰かが『完全犯罪』を取り消し、罪を復活させたらしい。


「太宰君の罪は、共謀殺人百三十八件。恐喝三百十二件、詐欺その他六百二十五件。紫織さんの罪は殺人二百一件。建造物破壊、消滅一件。……総合的に太宰君に劣っても十分過ぎる。今丁度、太宰君の所に別の人物が接近中だ。此のままだと君も捕まる」


彼が云うには二人の犯罪が流れた事によって二人を捕まえる者が派遣され、太宰の方では既に接触しているだろうとのこと。

 太宰が式部を置いて移動したはずだ。一緒に居ては二人共捕まる。そして清原が来たのは彼女を逃がす為。


「今は探偵社も危ない、暫くは姿を眩ませた方が善い」


そう呟いた時、二人は尾行の気配を察知した。数は複数。恐らく一般の人に偽って様子を伺っている。


「一寸待って、じゃあ彼は如何なるの?」

「一旦捕まるだけだから、今日に死刑はないと思う。明日は知らないけど」


式部は一旦周りに目を配って、小声乍ら凄まじい剣幕で清原を睨み「ふざけないで!彼が死刑になって明日殺されたらお前の存在も消してやるからな!」と脅迫する。最近彼女は特に物騒になったと清原は思う。前の共食い事件の影響だろうか。


「其れに僕が危険を顧みず紫織さんを呼んだのは太宰君の意思だからね?」

「幾ら太宰さんの優しさでもお前が伝言者だと嬉しくないし、頼みでも簡単に消えないわよ」


そう云うと?彼は首を傾げる。


「何か爪痕残して嫌がらせしてから行方を眩ませてやる……」


陰湿な笑みを浮かべ悪だくみをする彼女を見て、元々性格良くなかったと思い出した。

 用終わったなら行くわ、と呟いたあと、少しして彼女は思い出したように振り向いた。


「なんでそんな格好なわけ?」

「此れから用があってね」


ふーん。式部はそう洟を鳴らした。あともう一つ。


「太宰さんの詐欺の内容、知ってたら教えて」

「聞いてどうするの」


清原の即答に彼女はにっこり不自然に笑って、


「女性絡みの詐欺だったらあとで詰ってやろうと思って」


結婚詐欺とかハニートラップとか。式部はそう呟いた。彼は有りそうだけど、と苦笑い。


「詐欺は僕の知るところじゃないよ」


清原は手を振ると彼女は異能を使い何処かに移動して行った。


(そう云えば、彼奴、何時もの首飾り付けて無かったな)


そう思ってももう彼女は戻らなかった。

 其の日を境に清原は消息不明となり、式部も姿を眩ませた。

著作者の他の作品

橙オレンジ様宅のアーネストと清原とのうちよそ。公式キャラは出て来ません。

異能力使用可能のサバイバルゲーム・流血表現アリ・うちよそ要素アリ