御伽草子

🐙海棠緋寄⚔️
@Enph_hiyo12

寂寞

妙なものを見た。


「……何しているの紫織ちゃん」

「匂いを堪能しています」


昨日、箪笥から出して来た炬燵用の蒲団を洗濯しており、さっき乾いたようで、畳んだその上に顔を埋めている。結構大きい蒲団で厚さもあるので疲れたのだろうかと太宰は式部に近寄る。

 今の彼女の態勢は、頭を蒲団に埋めている状態なのだが、腰などが持ち上がっている為スカートから中が見えそうで際どい。少し傾いて覗いただけでも確実に見える。


「態勢がやらしいよ」

「昼間なので大丈夫です」


声を蒲団が吸収しているのか、もごもごとしており聞き取り難い。がそんな事は関係なく彼女は少し安心しすぎだろうと太宰は思う。


「好い匂いする?」

「ええ……」

壁蝨だにの糞の香ばしい香り?」

「其れは云わないお約束です」


顔を横にずらし、更に視線を後ろにいる太宰に向ける。少し機嫌を害したようだ。眼つきが少し鋭い。

 太宰はそんな視線を無視して彼女に歩み寄り、彼女に被さるようにして蒲団に飛び込んだ。「うぐっ……」と式部は苦しそうに声を漏らす。幾ら太宰が男性の方では軽い方と云っても勢いよく飛び込まれたら苦しいに決まっている。


「ん~…確かに好い匂いだね。少し甘い感じ」

「……貴方が嗅いでるの、私の髪です」


太宰は蒲団ではなく、式部の髪を掬い上げ匂いを嗅いでいた。彼女にジト目で見られている。


「うふふ、良いではないかぁ~」

「お代官様ですか……ちょっと…っ」


肩を掴み、彼女の向きを反転させ向き合うようにする。そしてふわふわの蒲団ごと彼女を抱きしめたり、すべすべの手や、スカートと靴下の間の領域を撫でたりして楽しんでいる。


「何してるんですか……」

「いちゃついてる」


見たら判るでしょ?と云う風に首を傾げてあざとく微笑んでいる。そうしている間にも彼は彼女の靴下を段々下にして脱がせようとしている。秋も近くなり足先から冷えて来る季節に靴下が無いのは少し辛い。「寒いんですけど」と文句を云うと、彼は結局靴下を全て下し、脱がせてしまうが、彼女の足に触れる。

 ぴくり、と式部は反応を見せる。


「人肌で温めてあげる」


色気全開の、悪巧みを思いついたような顔だ。

 式部のむき出しの生足を掴み、動けないようにすると自分の頭を近づけ、最初に式部の太腿に口づけした。ぬるりとしていて生暖かい感触に声にならないような呻きを式部は漏らす。

 更に下へ下へ行くので彼女は必死に足をばたつかせて抵抗する。


「も、もう善いです!十分ですから!!」


そう?と笑って太宰は大人しく式部の足から手を引いた。足処か、顔や耳にまで熱が回ってきて式部は顔を隠す。


「貴方のせいで蒲団がぐちゃぐちゃです。折角たとんで楽しんでたのに」

「私を呼ばずに楽しんでたからだよ」

「結局来たじゃないですか」


畳んだ蒲団が二人の動きに合わせてごちゃっとした事が気に食わないらしい。太宰的には式部に構って欲しかっただけなのでどうでも善いのだが。


「蒲団なんかと楽しまずに私と楽しもう」

「……何ででしょう。太宰さんが云うと一寸、色が付きますよね」


目を反らして呟くと何故か太宰にガン見される式部。無理に視線を更に遠ざけても余計に見られる。何ですかとか細く云うと答えて呉れた。


「ねぇ…名前で呼んでよ」

「はい?」

「善いから善いからぁ……呼んでよ」


急に甘えモードですか。と式部は思う。

 太宰は時折、二人きりで居る時にこうなる。妙に甘え方が下手というか、本当に甘えたい時は不器用になっているようだった。其れで、こうやって露骨に強請って来るのだ。


「紫織……愛してるよ」

「顔赤いですよ。治さん」


まだ夕方で酔っているわけでは無い。彼の頬に触れるとほんのりと暖かい。照れているのだろうか。


「子供みたいで恥ずかしいのだよ……」

「別に気にしませんよ」


そう呟いたあと、お互いに気を落ち着かせるため深呼吸を付くように数秒無言になる。そして落ち着いた合図のように触れるように接吻をする。

 そして太宰が式部から名残惜しそうにし乍ら離れた。そして彼女に向けて手を差し伸べ其れを掴み、式部も立ち上がった。


「却説、炬燵に蒲団を入れようか」


式部は頷いて準備に取り掛かる。因みに式部は裸足の侭だ。

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