御伽草子

🐙海棠緋寄⚔️
@Enph_hiyo12

仮定2

もし、紫織が、幼馴染が死んだ時点でポートマフィアに加入したら。その2



※少し下世話です。(R15ぐらいです)

※両想い前提の片思い。

※pixiv本編の設定とは多少設定が異なります。


その1の補足回的なもの。中也、清原(オリキャラ)サイド。

陽月さん宅、太宰皐さんをお借りしました。




太宰がマフィアから行方をくらませはや数週間。其の間に式部の精神は蝕ばわられてたいた。太宰の補佐をしていた彼女は彼の残した仕事を処理しながら、今まで通りの事務、暗殺、そして最近加わった色仕事を熟していた。

 彼女が身体を壊すのは時間の問題だったが、自身で仕事を自粛することは一切なかった。


「おい、そろそろ休みぐらい入れろ。どう考えても人ひとりの仕事量じゃねぇぞ」

「仕方ないでしょう。あの包帯野郎が消えた今、彼がやるべき仕事は私しか出来ません。其れに今、此のマフィアには色仕事をする女が居ませんし」


式部は中原の方を見ないまま演算機のキィを打ち続けた。彼女の顔には誰が見ても疲れの色が見えるが彼女は其れを隠し、夜には笑顔を作り男を騙す。其れはまるで彼女の天職のように式部に合っていた。

 

「紫織さ~ん、今日の夜行ける?11時頃なんだけど」


中原が式部を説得出来ずにいると、部屋に清原が一枚の紙をひらひらと振りながら入ってきた。中原は彼の軽い態度に苛つきながら彼に話しかけた。


「清原さん…これ以上、紫織の仕事増やすの止めて貰えません?」

「えぇ…無理だよ、僕の身体は一つだからね。同時にまったく別の場所にいる標的なんか殺せないよ」

「なら紫織の身体も一つだろうが」


静かに火花を散らす二人に呆れた風に式部は溜息を付いて清原の持っている紙を取った。


「ええ、問題ありません。…零時には敵対組織の諜報員の所に行かないといけませんが」

「大丈夫、紫織さんな手こずらないよ」


清原は用を終えて部屋から出て行く。


「…取り合えず偶には休み入れろよ!」


そう釘を刺したあと、中原は清原を追いかけるように彼女のいる部屋から出た。そしてまだ近くを歩いている清原に走り寄った。


「如何いうつもりだアンタ」

「如何もしないけど?…紫織さんのしたいようにしてあげているだけ」


中原は彼を睨むが、清原は澄ました顔で中原を見下ろした。「如何いう意味だ」中原が立ち止まり聞くと彼は、彼より数歩先で立ち止まった。


「紫織さんはだた闇雲に仕事をしているだけではないってことだよ。彼女が仕事を熟すのは気を紛らわせる為。彼女から仕事を取ったら紫織さんはこれ以上に壊れるよ」

「だからって…精神が壊れなくても肉体が耐えられないだろ!」


中原が感情的に叫んだあと清原は振り返った。不自然な笑みを浮かべ、にこやかに。


「なら、全ての原因の太宰君を君が連れ戻したら善いじゃないか。其れに…彼女にとっては壊れてしまった方がきっと善いんだよ」


黒い背広を翻し、中原を置いて彼は歩いて行ってしまう。中原は込み上げる、何処にも発散することが出来ない怒りを溜め、手を強く握りしめた。




『標的は写真の通りだけど、問題ない?』

「ええ、11時丁度に此の場所に来るんですね?」


彼女が今いるのは裏社会の住民が行きかう密輸港。今回の標的は此の場所で密輸をしている組織の一人で、マフィアの顧客名簿を盗んだらしい。

 式部の異能は空間と時間を操作する。彼女の行きたい場所への道筋を覚えていれば彼女はその場所に行くことも、物と動かすことも出来る。そして外傷だって傷口と治療の仕方を知っていれば治すことも出来る。

 密輸港の地形を完全把握し、周りの人に気付かれないように建物の影を移動した。


『殺したら死体はマフィアに送っといてね~』

「死体の収集なんて悪趣味ですよ」

『僕じゃないよ。梶井君だよ』


通話が切れて式部は端末を片付けると標的が来るのを待った。

 そして11時、清原に云われた通りの場所で待ち伏せをすると標的がやってきた。式部は折り畳み式の短刀を確認したあと、通行人を装って其の相手とすれ違う。そして懐に隠していた短刀を異能で取り出し後ろから相手の心臓にめがけて突き刺した。


「!?」


相手は状況を把握していないまま式部の方に振り向き、其のまま倒れた。そうして男を異能で転送し、仕事は終わりだと、式部本人も移動しようと思った瞬間に後ろから抑え込まれた。自分より一回り以上大きい男によって捕まった式部は何故か異能が発動出来ずそのまま拉致された。

 彼女が連れてこられたのは、今日、逢うつもりだった諜報員のいる敵対組織だった。どうやら先ほどの標的のいた組織と諜報員の組織は同一していたらしい。

 式部は諜報員に色仕掛けで近寄り情報を得ていた。其れが相手に看破され、捕まったのだ。


「マフィアの女だったなんてな。清楚な子だと思っていたのが、とんだ売女だよ」

「……清楚、ね…本質的に清楚な女なんて絶滅危惧種よ……私をどうする気?」


式部にはある異能が掛かっていた。触れた者の能力を3時間、無効にする異能力。其れで式部は枷に繋がれ身動きの取れない状態になっていた。そんな姿を舐めるような目で見られ式部は大体察していた。


「色で男を惑わす女は、色で男に屈服させられるんだよ」


服を切り裂かれ、四方八方からの手で式部の身体を虐める。白い日に焼けていない肌に赤い線を入れるように切り傷を付けたり、何度も彼女の中に欲を放った。しかし、彼女が堕ちる事は無かった。虚ろに男たちを映す藤色の目は彼等を見てはいなかった。


「おい!諜報員の話じゃ、いき易いって云ってなかったか!?全然感じてるように見えねぇぞ!」

「何しても無反応…既に誰かに調教されるような…」


式部は男たちを感じていない。悔しそうにしながらも感じる事もなく、濡れていない秘部は隠そうともしない。男たちが根を上げ始めた時、其の場所が大きく揺らめいた。地震のような揺れ。そして地割れのような大きな音。人が叫ぶ断末魔。そして辺りが静かになったと思った瞬間、部屋の扉が壊され、侵入者の姿が見えた。


「…紫織!」


中原はまず男共に目もくれず、空を見つめる式部に走り寄り、無防備な男たちを清原が全員切り殺した。


「…遅いじゃないですか」

「手前…」


見た目の割に平気そうな笑顔を浮かべる彼女を見て中原は、此処に来るまでに溜めていた怒りが急に収まってしまった。其れは安堵したからではなく、呆れを感じたからだ。他の男に肌を晒しても何も思わなくなり、多数の女性と関係を持った太宰を不潔と呼んだ彼女がまさに同じことをしている事に。男に抱かれる事にとって太宰との記憶を消そうとしている。


「身体、洗いたいんですけど……気持ち悪いんです…不潔で汚い男の欲が侵入した、私の最も汚い部分が……気持ち悪い…」


中原は自分の外套で彼女の素肌を隠すと清原と一緒に建物から脱出した。

 式部の部屋に戻り、部屋に備え付けられたシャワー室に連れて行くときに彼女を横抱きにしている中原は足を止めた。


「お、俺が連れて行くのか…」

「今更何云ってるの?僕が此処を見ておくからさっさと行きなよ」


清原は中原の背中を押し、彼女の部屋に押し込み扉を閉めた。

 部屋に入れられた彼は式部を抱えたまま溜息を付いた後、シャワー室に入った。幹部補佐だけあり部屋は豪勢で、シャワー室も個室ながら手入れが行き届いていた。

 中原は式部を下し壁に凭れるようにしながら立たせた。自分の方に寄せないようにしたのは彼女の身体に直接触れる事を畏れたからだ。身体を隠すために使っていた外套を取ると何も纏っていない式部の憐れな姿が中原の目に入り込んで来た。見てはいけないと思いながらも惹きつけられる、其の美しい身体。

 式部は壁に背中を付けて震えながらも蛇口を捻り微温湯をシャワー口から出して浴び始めたので、中原はシャワー室から出て、執務室の方に戻った。彼は顔を赤く染めながら顔を片手で隠した。其れは18歳の健全な男がする一般的な反応だった。

 例え恋愛的に好きでなくても身近に感じる同じ年の裸は照れるものがある。何より彼女は、外傷的にも精神的にも深く傷つき、其れ故の色っぽさ、水に濡れた髪や肌。心臓が五月蠅く鳴るのが判った。


「中也さん……早く済ませるので、出て行かないでくださいね」

「……今日は付き合ってやるから…ゆっくり洗え、厭なんだろうが」


シャワーの水音が一瞬止み、式部の震えた小さな声が扉越しにか細く聞こえた。

 あれ程弱っている幼馴染を、彼は放置しておくことが出来なかった。彼の言葉に甘えるように、彼女は其れから20分、シャワー室から出てこなかった。

 音が止み、少しすると中原を呼ぶ声がする。


「中也さん、すみませんが寝室から服を取ってくれませんか?一番奥の箪笥に寝巻が入ってますから」


彼は返事をして彼女の寝室に戻った。机や寝台は女性らしく可愛らしいが、机の上はとても散乱としていて手帳などが無造作に置かれてるが、彼は本能的に危険を察知して其れを見る事は無かった。服を扉から腕だけを入れて渡すと、直ぐに彼女は出て来た。

 薄い布のワンピースのような寝巻は彼女の胴体の本体を隠す役割しかしておらず、細い腕や足はむき出しになっている。そして敵に付けられたいた傷はシャワー室にいた間に異能が発動出来るようになったのか治っていた。


「身体はもう善いのか…」

「ええ…汚いのは厭ですが、もう慣れたので」


式部は少し中原を見た後すぐに俯いてしまった。

 汚らわしい男に触れられるのも、其れを受け入れようとする自分の精神を知らないふりするのももう慣れたのだと式部は云う。彼女はとても何に対しても順応が速い人間だからだろう。


「今はもう、誰に抱かれたって、何も感じませんし、感度だってない…残るのは後に来る不快感だけです」


今回の事件は実質拷問を兼ねた強姦。其れに耐える精神を式部は元々持っていない。だから変えたのだ。自身の心を。其の苦痛に耐える為、心を歪に、特定の性しか感じないように。

 式部の目は、男たちに犯されている時のように虚ろで、中原を映して、彼を見ていない。

 彼は式部の腕を掴み、寝室に連れ込んで寝台に投げた。仰向けに倒れた彼女の上に中原は乗りかかり、馬乗りになった。


「厭じゃねぇのか。好きな男でもない野郎に抱かれそうになっても…!!」

「…貴方は私を犯しはしないからね」

「そうかよ…お前や、青鯖野郎みたいに、不特定多数の相手と寝るのは俺も仕事上同じだぜ?」

「仕事だからこそ私たちは知らない相手と寝るんです。…そして此れは個人的な問題です。個人の目的では貴方は私を抱かない。あの男の妹なら考えるでしょうけど」


二人は一歩も譲ることなく、お互いを睨み続けた。


「紫織の精神を保つのが俺の仕事だって云ったらお前は俺と寝るのか?」

「其れで貴方の気が収まるのなら」


式部を睨んでいた中原は首をがくりと落とした。そうした時、式部も顔を反らした。彼は式部の上から退き、寝台の傍で腰を下ろした。


「もう、如何でも善いんですよ……あの人以外と寝た私は、此の身体はもう私の物でも、あの人も物でもない。此れは只の空しい抜け殻。空蝉のような、空しい存在」


寝台の上で呟く式部の声は徐々に先ほど間で、中原と云い合っていた彼女とは別人のように覇気を失い、尻すぼみに小さくなり、震えた。

 震えが完全に嗚咽に変わった時、中原は振り向き式部を見た。彼女は顔を真っ赤にして声を抑え号泣していた。


「あの人を…忘れようとしてもっ…何時も思い出して……っ…もう厭だって、何度も叫んでも、彼の亡霊が夜になると私の前に…ッッ…なのに朝起きても太宰さんの姿は何処にもなくて…!!もう厭だ!こんなの厭だ!!」


うつ伏せになり枕を濡らす彼女を、中原は上から乗るようにして抱きしめた。気休めだが、彼女が安心するように、彼女が声を上げて泣けるように。


「お前はあいつを忘れたいのか?」


彼女は泣きながら首を横に振った。


「なら、忘れるな。お前を一番に穢した男を。紫織が俺を見ていればあいつを忘れることもねぇし、あいつを思い出して泣きたくなったら俺を頼ったら善い」


式部は声を上げて号泣した。中原の胸に顔を押し付けて、涙で汚れることも気にせず。彼も式部を受け止めた。






「あの、中也さんと紫織さんが還ってきたって聞いたんですけど」

「あ、皐さん。こんな時間までご苦労だねぇ」


外で中原を待っていた清原は、彼の還りを待っていた太宰の妹、皐と遭遇した。彼女は中原に好意を寄せており、中原もまた、彼女を好いている。だがお互いに素直になれていない二人を清原はじれったく思っていた。


「二人は中に?」

「うんまあ…今は入らない方が善いと思うよ?」


彼等が部屋に入って20分強。現在の二人の様子を悟っていた清原は皐が中に入らないように牽制した。今、彼女を中に入れればあるぬ誤解を生む事になるだろう。太宰と式部のように。


「そうですか……なら仕事は朝になりますね…」

「僕から伝えておくから、君はもう寝なよ」


式部に様子を知っている彼女は、詳しい事は知らないが、何か悟ったようでそれ以上何も聞いてこないまま去って行った。そして彼女が去ったあと、部屋の中から微かに式部の泣き声が聞こえて来た。

 清原は二人に起きた事を大体知っていた。太宰が式部を好きながらに無理矢理抱いたことも、置いていったことも、想いを彼女に伝えなかった理由も彼は知っている。だが、其れを式部本人に云う事は決してしない。其れをすれば太宰の想いというものを蹴ることになるし、式部への想いも潰すことになる。なにより、横槍は面白くない。彼は傍観は好きだが、干渉を嫌う。そして太宰本人が伝えなければ面白くないという本音もある。


「若しかしたら此の想いは僕の墓まで持っていくことになりそうだよ、太宰君。そんなの厭だから、絶対彼女を救いなよ」


伝えなかったら本物の刀で八つ裂きにしてやろうかなと。清原は少し思った。

著作者の他の作品

陽月様宅の企画、「文豪学園」の三次創作。※本編の設定から多少いじり、一部派...

自傷、少しのグロ描写あり。