【文スト】うちの子でハウルパロ

🦀海棠緋寄🌸
@Enph_hiyo12

四幕、少年時代・終幕

映画では、ソフィがカルシファーに水を掛けた所から。



「如何しよう先生……中也さんに水を掛けちゃった…太宰さんが死んだら如何しよう!!」


ボロボロと流れ出る涙を手で押さえながら彼女は声を上げて号泣した。すると、赤い石の付いた指輪が光り紺色の光を発した。


「太宰さんは生きてるの…?……お願い、彼の居場所を教えて」


呟くと光は線状になり、ある一点を指した。其処には城の廃材があり、式部が其れを退かすと、城の扉が隠れていた。光は其の扉の向こう、暗黒の中を指している。

 先生と呼ばれる猫は少し行くのを躊躇っているようだが彼女は気にせず中に入っていくので先生も続いて中に入る。

 暗黒の中を進んでいくと小さな部屋の中に出た。小屋のようで、様々な本などがテーブルに出した侭になっていたりしていた。

 窓から外を見ると今が夜なのが判ったが、時折、眩しく空が光るのだ。

 彼女は外に出ては太宰を探す。外の遠くの方に小さな少年が見える。その場に立っていると足元が泥濘、どんどん下に落ちて行くような感覚があり、式部は其の少年に向かって走り始めた。指輪がキリキリと音を立てて徐々に消滅していくのが判る。


「私今、太宰さんの子供時代にいるんだ…!」


太宰の方に走っていくと次々に星が落ちて来る。落ちた星は水の上を数秒間走ったあと、力を失い水に沈んだり、地面に溶け込んでいく。

 しかし途中で太宰が其の落ちて来る星の一つを捕まえ、飲み込んだ。


「…ふんッ」


力み、心臓に手を当てるようにすると、太宰の心臓を源に炎が上がり、彼の心臓が出て来た。

 其れを目の当たりにした途端、指輪が弾け、彼女の足元が、まるで底なしのように消えてしまった。


「っ!……治さん!中也さん!」

「え…?」


咄嗟に叫び呼んだ声に反応し、二人は式部の方に振り向いた。


「私は紫織!…待ってて!すぐ行くから!」


不思議そうに式部を見ている二人に彼女は必死に伝える。


「未来で待ってて!!」


其れだけを伝えると空間から切り離されてしまい、高い夕焼け空の上を落ちて行き、夜になると扉を目指して泣きながら走る。

 何度も先生が、彼女を気にしながら振り向く。


「御免なさい…ちゃんと走るから……涙が止まらないんです」


走り、何とか扉が見えて、外に出ると扉は存在その物が消えてしまう。

 辺りはぼんやりと明るくなって来ていてそろそろ朝を迎えようとしていた。

 式部が前を見ると、大きな紺色の鳥のような者がいた。式部は其の人が誰なのか判っているように近づき、顔の部分の羽を上にあげた。其の中には虚ろに何処かを見つめている太宰の顔があった。


「御免なさい、私グズですから。太宰さんはずっと待っていてくれたのに……」


悲痛な悲しみを呟き、太宰の唇に接吻を落とす。


「…私を中也さんの下に連れて行って」


すると太宰は立ち上がり、大きな鳥の足を出すと、式部と先生は其処に乗り、太宰は翼を広げると大空に飛び立った。

 空を飛んでいると峰の上をノロノロと徐行している二本足の物を発見した。その上には、膝を抱えている久作やうつ伏せになっている尾崎。そして静かに佇んでいるカブもいた。

 太宰は其の床の上に一人と一匹を下すと、羽が取り払われ、彼は元の姿に戻って倒れてしまう。


「死んじゃった?」

「ううん」


久作の言葉を否定すると、式部は尾崎に近寄る。尾崎は彼女が何を云うのか判っているように何も持っていないと拒否した。


「お願いします…紅葉姐さん……」


彼女を抱きしめ、何度もお願いすると彼女は折れたように「仕方ないね」と呟いた。


「大事にするんだよ。ほら」

「有難う御座います」


淡い青い色に変わった中原を受け取るともう一度式部は尾崎を抱きしめた。

 そして倒れている太宰の傍に座り込んで、中原に話しかけた。


「紫織……クタクタだ」

「心臓を太宰さんに返したら彼は死んでしまうの?」

「其れはねぇな。多分。……俺に水を掛けても、俺も太宰も死ななかったからな…」


やってみますと式部は呟いた。

 目を閉じ、手から伝わる太宰の心臓の動きを感じとった。


「小さくて、小鳥みたいに動いてる」

「子供の時の侭だからな」


ゆっくりと目を開き、穏やかに、しかし名残惜しそうに囁く。


「…どうか中也さんが千年も生き、太宰さんが心を取り戻しますように……」


心臓を彼の胸に押し付けるようにすると容易く吸収され、数秒後に紺色のような虹色のような光を放つ者が漏れ出すように出て来た。


「い、生きてる!!俺は自由だ!!」


中原の声がして、光は遥か遠くに飛んで行ってしまう。唖然としていたが、式部の下で息を吹いた事によって安堵の表情が浮かべるが、事態は急変する。

 二本足の乗り物が急に動きを止めて傾いた。


「中也さんの魔法が解けたんだ!」

「えぇ!?」


久作の叫びのあと、いや途中で完全に崩れ、床部分だけで峰を滑って落ちて行く。

 滑って行くのを止められないでいるとカブが自分の棒を使い、何とかして勢いを殺している。しかし、気休めにも中々ならず、棒も削れて行き、崖ぎりぎりの所で岩に引っ掛かり漸く止まった時にはカブの棒は殆ど残って居らず、カブも動かなくなっていた。


「カブ…!すぐに新しい棒を見つけてあげるね!」


しかし反応は無く、式部は少し顔を歪ませたあとに「有難う」と例を云い、カブの頬に接吻をした。


「……っ!?」


するとカブは急に自力で動き出し、人の形になり、最終的にはジャケットとストライプシャツが印象的な赤色掛かった髪男性に変わった。


「すまない、紫織。俺は隣の国の王子だ。呪いでカブ頭にされていた」

「女性に接吻されないと解けない呪いじゃの」

「其の通り、彼女に接吻されなければ俺は死んでいただろう」


王子と尾崎が話している間に太宰が目を覚ます。目を開き、重たい身体をゆくっりと起き上がらせる。


「煩いなぁ…何の騒ぎ……うわっなにこれ…身体が石みたいだ」

「そうなの、心って重いんです」


嬉しそうに楽しそうに云う式部を見て太宰も微笑む。


「あ!紫織の髪の毛、星の色に染まってね……綺麗だよ」

「治さん大好き!善かったぁ!」

「痛っ」


式部は太宰を後ろに倒す勢いで抱き着いた。久作は其れを楽しそうに見ていたが尾崎に目隠しをされてしまう。

 二人の様子を見て何か考えることがあったのか王子こと織田は黙ってしまうが、其れを見た尾崎が、


「紫織の気持ちは判ったじゃろ?お主、国に戻って戦争を止めさせなさいな」

「…そうさせて貰うさ」


其れらの様子を見ていた先生を通して森も今の様子を見ていた。


「先生も困ったものだ。今まで何をしていたのです?」


そう云いながらも先生の後ろの様子を見て、呆れたような祝福しているようなよく判らない微笑みを浮かべて「仕方ない」と呟いた。


「参謀長と総理大臣を呼んで来なさい。此の馬鹿げた戦争を終わらせよう」




カブが去ったあと、峰の上で此れからどうするかと考えていた時に空から光が飛んできた。正確には戻ってきた。


「中也さんだ!」

「戻って来なくても善かったのに」


久作や太宰の呟きのあと、中原は式部の手の上に落ちて、前のような炎に姿を変えた。


「俺は皆と居たいんだよ。雨も降りそうだしな」

「有難うございます」


式部と中原も穏やかに微笑み合った。







そのあと、太宰たちは城を空を飛べるように改造し、世界を移動していた。

 庭では久作と家猫になった先生がじゃれ合っていたり、其れを尾崎が微笑ましそうに眺めていたり、家の暖炉から中原も其れを眺めていた。

 そして太宰と式部は空の景色を楽しみながら、愛し合いに接吻を交わしていた。




END

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