【文スト】うちの子でハウルパロ

🐙海棠緋寄⚔️
@Enph_hiyo12

三幕、花畑

「さて、今日は忙しくなるよ、引っ越しだ!」

「やったあ!お城だけじゃ買い物も出来ないからね!」

「此処だとすぐ森さんに見つかっちゃうからね」


喜んではしゃぐ久作に大人たちは微笑まし目線を向けたあと、太宰は引っ越しの準備を始める。

 まず外に大きな魔法陣を描き、その上に白を移動させ、内部のリビングにも陣を描き、準備を終える。

 式部達をテーブルの上に座らせると太宰は中原を炎から取り出して陣の中央に立って魔力を籠め始める。

 中原の魔力が高まるように炎が更に燃え上がり、どんどん部屋を新しく綺麗に変えて行く。式部も久作も其の様子を驚きと楽しみを一度に感じながら見ている。


「はい、引っ越し終わり!もう降りて善いよ」


すると久作は一番にテーブルから降りて部屋中を駆け回る。


「わあ凄い太宰さん!広いね!」


久作が駆け回るのを見て式部も家を見て回る。

 今までとは比べ物にならない程の家の綺麗さもだが広い。トイレや他に部屋が足されて、式部には新しい部屋が目に留まった。その部屋は元々彼女が住んでいた部屋に似ており、窓側に作られたテーブルには太宰からのプレゼントなのか、服や靴が沢山置かれていた。


「…この部屋…何故?」

「紫織ちゃんの部屋にどうかなぁって。気に入った?」


掃除婦には十分な部屋ね。と式部は呟いた。太宰は表情を変えないまま次の場所を案内する。そして式部も無意識に、紅葉にかけられていた魔法も効果が薄まり、老婆の姿から本来の姿に近づいて来ていた。

 次に太宰は家の扉を開くと中庭に繋がった。


「わー!中庭だ!」

「奥にお店もあるよ」

「よし、行こうせんせぇ!」


久作は先生と呼ばれる猫を連れて中庭を超えて更に奥に走って行った。

 其れを見送った太宰は一度扉を閉めドアノブを回す。


「そうそう、扉の色を変えたからね、新しい出口だ」


色を変えて扉を開くと向こう側には生い茂る緑の草や色とりどりの花が見えた。


「紫織ちゃんへのプレゼント。どうぞ」


外へ手を向けて彼女を外に促すと、式部は外に出た。

 出て来た場所は見えていた通りの花畑で愛らしい花や、美しい湖や小川が流れている。


「太宰さん有難う!夢みたい!」


彼女の姿は完全に以前の姿に戻っている。

 太宰は彼女に歩み寄り呼びかける。


「不思議、私、以前にも此処に来たみたい……涙が出て来ちゃいました」


少し流れる涙を拭くこともなく風景を眺めている。


「…おいで」

「はい」


式部は差し出された手に自分の手を重ねた。太宰は彼女の手をぎゅっと優しく握ると歩き出し式部をある場所に連れて行く。此処の花たちも太宰の魔法で助けていることも教えて呉れた。

 小川を軽く跳躍して渡るときも手を繋いだ侭で歩き、見えて来たのは小さな水車小屋だ。


「小さな家ですね」

「私の秘密の隠れ家さ。魔法使いの叔父が私に残してくれた家なんだ」


太宰はあの家に入ろうとするが式部は渋った。


「…怖い。あそこに行ったら貴方が何処かに行ってしまいそうな気がして………太宰さん、本当の事云ってください。私、貴方が化け物でも平気です」


意を決して太宰に話しかけると彼は何時もと同じように返した。


「私は紫織ちゃんたちが安心して暮らせるようにしたいんだよ。此処の花を摘んでさ花屋をあの店で出来ないかな?ね、君なら上手く出来るよ」

「そうしたら太宰さんは行っちゃうの?」


驚いたような悲しそうな顔を太宰は浮かべて少し顔を伏せた。


「私、貴方の助けになりたいんです。……私、綺麗でもないし、掃除ぐらいしか出来ないから……」

「紫織、君は綺麗だよ!」


紫織は彼が浮かべた表情よりも深く落ち込んでいき、戻っていた姿からまた老婆に戻ってしまった。

 そして空元気のように笑った。


「年寄りの善い事は、失う物が少ないことね」

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公式IF

FGO夢主と銀腕の騎士の夢小説。うちよそ要素ありあり。