Love is suddenly

にゃぬ仔(本垢居座り期間)
@nyanuko_yume

釘付け

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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06


休日の体育館に響き渡るのは、

多勢の人の声と、ボールのバウンド音。


それはまるで、隣で大太鼓を

打ち付けられているかのように、

胸に直に響いてくる。


時折心地のよいスキール音が鳴り、

人々の胸を高鳴らせる。



入り口は勿論、二階に位置する観覧席にも

噂を聞き付けたギャラリーでごった返していた。


プロの試合を、支払いなしで見られるならばとそれに精通している人、興味のあった人などがここぞとばかりに押し寄せていた。


その中に蘭や蘭の親友、園子の姿もあった。


どうせならばと、試合が全体から見られる

二階の観覧席にしようと言い出したのは園子。


なんとか見晴らしのよい場所を奪取すると、まだウォーミングアップ中の試合会場が見える。


「やっぱ凄い貫禄あるよねー」



蘭が手すりに手をかけながら、

隣にいた園子に話しかけると

確かに、とそこそこ夢中になって見る。


すると、あっ、と声を出したのは園子。



「見てみて、蘭!あの人」


「え、なになに」



園子が指差す方向に視線を投げても、

一体なんのことを示しているのかが分からなく、視線を泳がせる。


園子が続いて「ほら、あの銀髪の…」と

言葉を付け足せば一発で見つけることができた。



「あっ、やっぱり、昨日あの人

うちの学校の前に来てた人よ」



蘭が嬉しそうに伝えると、

園子はへぇ、と漏らしたあと

「綺麗よね」と談笑した。



ーーー



前開きのジャージを羽織り、

下はすぐ試合に出られるようにと

ユニホームで彷徨く選手が増えてくる。


きっとそろそろなのだと

ギャラリーがざわめき始める。


その頃、時間が空いたからと

安室が体育館横の扉からひょっこり顔を出す。


中に少し入ると、逆サイドの壁の扉は締まり、並べらた椅子には選手や監督、スコアラーが集まっていた。


ギャラリーは片方に寄せ、

選手側には人が来ないようにあえて

セッティングしているのだろう。


壁によりかかってとある人物を探そうと

目線を横に動かせばすぐに見つかった。


灰色がかった金髪。


いつもは肩までのセミロングのイメージが強い彼女だが、今回は試合だからか後ろで束ねられている。


後ろ姿でしか目視することができないが、

選手ながらに小柄な体躯は彼女だけのようだ。


すると、体育館と校舎を繋ぐ廊下から、

もう一人シルバーの長髪を携えた女性が

選手の元へとやってくる。


紺色の前開きのジャージに、

それと同じ色のハーフパンツのユニホーム。


安室は一瞬、知っている誰かと重ねてしまったが、

同じなところは髪の色と長さだけで、

顔は全くの別人である。


ふぅ、と短い息を吐き出すと、

ドクドクと早まっていた心臓を落ち着かせるように髪をかきあげた。



(良く考えろ、こんな所に

来ているはずがないだろう)



休みの日ぐらいはゆっくりさせろと

自分に毒づくと、今度は長い息を吐いて

前を見据えた。


チームの椅子を挟んだスコアラーの

タイマーには8と表示される。


いよいよだな、と体育館の真ん中に

紺色のユニホームと、白色のそれが

列をなして並んでいた。


そのなかには名前の姿もあり、

安室は腕を組んで見守った。


けたたましいホイッスルの音と同時に

ボールが真上に放られる。



紺色のチームがそれを保持すると、

それはすぐに名前へとパスされた。


力強く投げられたボールをいとも簡単に受けとると、ゆったりとバウンドさせながら左手でなにか指示をしている。


それを好機と読んだ白色のチームの一人が

名前の手元をめがけて奪取しようと試みるが、

目線さえ合わせていないはずなのに

それを華麗なボール捌きで無駄のない動きでかわしてみせた。



安室はへぇ、とこれまでの彼女からは

想像できないとそのプレイに釘付けになった。




ーーー


いつのまにか一時間が経とうとしているころ、圧倒的な差をあけて紺色のチームが

圧勝し、試合終了のホイッスルが鳴る。


帝丹の女子チームが天井を仰いで息を整えるのが目にはいるが、

相手はやはり肩を揺らすだけでそれほど疲れている様子は見受けられない。



次に組まれているのは米花の社会人バスケチームと帝丹の男子チームが行うらしく、

一時間ほど名前が休憩に入ることがわかった。



選手は次の選手が使えるようにと、

一時的に荷物を片付け、用意された

校舎の控室へ向かったようだ。


安室もそれに合わせて校舎の中へと向かえば、休憩しようとしていた蘭と園子とでくわした。



「あれ、安室さんも来てたんですね!」


「あれ、蘭さんと園子さんも

いらしてたんですね」



人混みを掻き分けながらやってくる二人。


蘭は近くにきてから安室が手にする、

バンダナに包まれた小さな箱に目がいく。


「もしかしてお知り合いでもいるんですか?」


「ええ、まぁ。差し入れにレモンのはちみつ漬けを」


「うわ、安室さん本当になんでも作っちゃいますね」



蘭の横で驚く園子が、はっ、とすると

唐突ににやぁっと微笑み出す。



「わかった!彼女でしょ!」


「あはは、違いますよ。」



眉を下げて笑う彼に、園子は捲し立てるようにまたまた、と目を細めた。


蘭はまた始まったと言わんばかりに

安室と同じく眉を下げて口端をあげた。