暁に舞う

episode 3

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「はぁ…… 」

サイキはため息をつきながら城内を歩いていた。珍しくパンツスーツにローヒールという出で立ちだ。

ただそれ以上に目に付くのは、右頬に湿布と左腕にギブスを付け三角巾で吊っている姿。更にはギブスの上に書類の束が置かれている。その姿にすれ違う人々から注目されているのはサイキが一番感じていた。

『あぁ!もう!! 』

心の中で悪態を付きながらサイキは目的の場所を早足で目指す。


先日、王の剣に出動命令が出た。ノクティス達とイグニスのお弁当を食べた日の事だ。

その日学校を早退しサイキも出動にした。あの電話はドラットー将軍からの電話だった。

戦闘は長時間にもおよぶ激しいものだった。帝国軍の奇襲によりずいぶんと進行を許してしまったが、それでもあと少しで安全圏まで押し戻せるところまで来ていた。

サイキはそんな中、最前線で戦っていた。帝国兵士を何人も叩き、シガイを倒しながら帝国軍を押し戻す。さすがのサイキも疲労が見えはじめていたが、それでも襲いかかってくる敵を倒していく。


それは一瞬の出来事だった。


サイキが向かってくる敵と剣を交え強引に敵を押す。敵がふらつき後ろに倒れ込んだ。すかさず帝国兵を押さえ込み剣を振り下ろそうとしたその瞬間、左側からシガイが襲いかかってきた。

とっさの事でサイキも交わしきれず、左腕でシガイの攻撃を受け止める。が、受け止めきれずにそのままシガイに吹き飛ばされ、大きく飛ばされた体は岩壁へ激突し地面に叩き付けられた。

「ゔっ…… 」

サイキはうめき声をあげ、そしてそのまま意識を飛ばした。


「はぁ…… 」

これで何回目のため息なのか。あの時の事を思い出すたびにサイキはため息をつく。

自業自得なのは自分がよく分かっていた。

何故あの時シガイに襲われた時に反応が遅れたのか。咄嗟のことで反応が遅れたのは確かだがそれだけでは無かった。その事にはサイキ自身も気づいていたが、自分でも理解し難かったのだ。

『何でかねぇ…… 』

そんな事を考えながら廊下の角を曲がった瞬間、視界に人影が入ってきた。


ドン!


人影に気が付いた瞬間にはその相手と衝突していた。

「ぎゃっ」

そう小さく叫ぶサイキ。体はぶつかった衝撃で自然と後ろに倒れていた。バサバサと書類が落ちる。片腕が固定された状態では受け身も取れないと判断したサイキはそのまま目をつぶった。

その瞬間右腕を強く引っ張られる感覚があり、斜めになった体を誰かに支えられる。

「あっぶね。」

男の声がサイキの耳に入ってきた。どうやらぶつかった相手に助けられたらしい。サイキが目を開けると相手の体が目の前にあり、抱き止められた形だった。

「おい、大丈夫か。」

斜めに支えられていた体をそのまま起こされ声をかけられた。

「あっはい、すみません。」

サイキもそれに応える。支えられていた体が離れた。

「すみません。ぼうっとしてて。」

そう言って助けられた相手を見た途端、サイキの息が止まる。

相手もサイキの顔を確認した瞬間に体が強ばるのが分かった。


サイキを助けた相手はグラディオラスだった。


お互い顔を見つめながらしばらく動けなかったが、先に動いたのはグラディオラスだった。しゃがみこみサイキが落とした書類を拾っていく。

それを見たサイキも慌てて書類を拾う。

「あの、自分が拾うので大丈夫です。」

そうグラディオラスに言うが、その言葉は無視されほとんどグラディオラスが拾っていた。

ふたりは書類を拾い終わり立ち上がり向き合った。

「えっと……すみませんでした。ありがとうございます。」

そう言ってサイキは自分が拾った分を吊るした腕に挟み書類を受け取ろうと右手を差し出す。

「…… 」

グラディオラスは何も言わず書類を持ったままサイキを見つめている。というより睨んでいるが近かったが。

「あの…… 」

もう一度サイキがグラディオラスに声をかけるがそれでもグラディオラスは何も言わなかった。

『何なんだよ、もう。』

サイキはそう心の中で呟くと、グラディオラスが持っている書類を取ろうとさらに右手を伸ばした。

その瞬間にグラディオラスは書類を引く。

「はぁ?」

今度はそう声をあげてしまった。サイキはグラディオラスを睨む。

からかわれていると思った。サイキは文句を言うため口を開いたその時にグラディオラスが思いも寄らない言葉を発した。

「どこに持っていけばいいんだ。」

「はいっ? 」

サイキはグラディオラスが何を言ったのか理解出来ず素っ頓狂な声をあげてしまった。

「この書類、どこに持っていけばいいんだ。」

グラディオラスがもう一度言う。サイキはやっとその言葉を理解したが、今度はなぜそんな事を聞くのかという疑問が沸いた。

「えっと…… 」

言葉が出てこないサイキに早く言えとばかりにグラディオラスは眉間にシワを寄せる。

「あ……えっと……ク……クレイラス様のところ……です…… 」

サイキがやっと口にするとグラディオラスは何も言わずサイキが拾った書類を奪うと、くるりと体を反転させスタスタと歩き始めた。

突然のことでサイキは固まっていたが、ハッと我に返るとグラディオラスを追いかける。

「あの、自分で行けますから。」

グラディオラスに追いつくとサイキはそう言う。しかし、グラディオラスはその言葉は無視し歩き続ける。

「だから、自分で行けますから書類を返していただけますか。」

「…… 」

「ちょっと!聞いてます?」

「…… 」

グラディオラスはサイキの言葉を無視し続ける。サイキはさらに何度が声をかけたが

それでも無視し続けるグラディオラスの態度に諦めたのか、大きくため息を付くと

大人しくグラディオラスの後を付いて行く事にした。



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