彼女はとても不思議な娘(こ)

sakuya@アニメ/漫画大好き!
@ki_se_ki_1028

始まりは、出会いから?

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科学技術や魔法などが発展した創造された近未来にしては普通で、れけど確かに進んでいる未来の、けど架空な現代世界の東京。とある高校。


普通では有り得ない光景。でもこの世界では普通な光景。見飽きたというにはまだ早く、見馴れたというには数がまだ少ない。それでも慣れ親しんだ光景なのには変わらない。


お早う、そんな言葉が空中で彼方此方《あちこち》から聞こえて来る中、一人だけ途中から歩いて校門を潜《くぐ》る生徒がいた。周りの人達も本人も特に気にかけているわけではないらしく、その生徒に普通に何時《いつ》もと変わらずお早《はよ》うと声を掛けた。勿論、その生徒も礼儀として、人としてお早うと返した。



「あ、難波さんお早う」

「お早う芝山君」



彼女の名は難波 柚月|。音駒高校一年生で、今声を掛けて来た芝山優生とは同級生である。どんな関係性かと言えば、友人。


互いによく話す相手でもあり、クラスメイトでもある。



「朝練お疲れ様」

「有難う。もうヘトヘトだよ…」

「バレー部って大変何だね」

「うん」



席の近い柚月と芝山が自分達のクラスで話し込んでいると、柚月が自分の鞄の中でスマホが振動しているのに気が付いた。だが直ぐに出る事はせず、暫く放置した。今居る場所が学校なのもあり、スマホを没収されるわけにもいかなかったから。


それに本人は何の用件なのか知っている為、直ぐに見なくても大体分かってる。



「(今日も沢山ありそうだな)」

「難波さんは何時も外を見てるね」

「そうだね。私空を見るの好きだから」

「そうなんだ」



空って時間帯によって変わるでしょ?そう柚月が言えば、芝山も笑ってそうだね、と返した。これが彼女達の一日の始まりなのである。




***




「じゃあね」

「難波さんまた明日」



学校が終わり芝山は部活へ、柚月は帰宅。これがいつものやり取りで、柚月にはやらなければならない事がある。特に隠しているわけではないが、誰かに話す様な事でもない。だから、自分からは何も言わない。それがやり方であり、面倒事にならなくていいと思っている。



「(さてと、早く行かなくちゃ。学生だから、多少の遅刻は許されてるんだよね)」



言うが早いか、柚月は近くに鍵の付いたドアを見つけるや否や大切そうに首から提げていた“ある物”をそのドアの鍵穴に差し込んだ。



「(これでよし、と)」



差し込んだある物を何食わぬ顔で抜き取り、彼女はそのままそのドアの中へと入った。



「おはようございます。認識番号No.0141029 難波 柚月出勤しました」

「おはようさん。認識番号とNo.確認、本人で間違いないね。通りな」

「有り難うございます。いつもご苦労様です」

「柚月ちゃんもいつもご苦労様」

「いえそんな。これが私の仕事ですから」



笑顔で警備員と少し話し込み、入り口を通って会う人会う人に挨拶を交わしながら、柚月は真っ直ぐとある場所へと向かった。



「おはようございます」

「おはよう」

「今日も沢山仕事あるぞー」

「おはよー」

「着替えて、早速行って来ますね」

『気を付けてー』



柚月は急いで女子更衣室へと向かい、慣れた手つきで着替えていった。最後に身なりを確認してから、髪を結い肩から鞄を提げて、柚月の仕事は始まる。



「(よし!)行って来ます」

『行ってらっしゃい』



こうして、柚月の仕事は開始された。そして彼女は、この後一人の男と出会うことになるのである。




***




場所は変わって、とある高校の校門前。ある男は困ったことに気が付いてしまい、少し悩んでいた。



「(しまった、木兎さんに明日の練習メニューを渡すの忘れてた。)」



男──赤葦京治は、梟谷学園高校の校門の前で、大切な事を思い出した。然し、当然の如く渡す本人は当の昔に帰ってしまっている。渡すに渡せずにいた。



「どうしたものか…」

「お困りですか?」

「?」



赤葦が困っていると、目の前に一人の女の子が風の如く何処からかふわりと現れた。足元に見えた魔法陣を気にしながら。



「えっと、君は?」

「これは失礼しました。私は配達員をしております難波 柚月と申します。この腕章と証明書を見ていただければ、信じていただけるかと」

「はぁ、(配達員何て珍しいな。それにこの子、俺とそんなに歳変わらない)」

「それで、貴方は何か届けて欲しい物があるのでは?」

「え?あ…これ、何だけど」



それでは確認させてもらいますね。柚月がそう言うと、赤葦から配達物を受け取り確認する。赤葦もその様子を傍でジッと見つめる。真剣に見つめるその視線、服装、どう見ても赤葦には目の前の女の子が配達員には見えなかった。ただローブを羽織り、肩からは鞄を提げてただけの魔女の様にしか見えなかった。



「確認致しました。これを何方《どなた》に?」

「“木兎光太郎”って人に」

「木兎光太郎、様ですね。畏まりました。報告はまた後程致しますね。」

「え」

「一応義務ですので。あの、貴方のお名前を伺っても宜しいですか?」

「……赤葦京治」

「赤葦様ですね、ではまた後程」



柚月は微笑みを赤葦に向けて、魔法を使い空を飛んで行った。


これが、赤葦と柚月の初めての出会いであり、ファーストコンタクトだった。