music

イヤホンから流れる音に

耳を傾けながら、人の波に飲み込まれていく。



私は人混みが得意じゃない。

小さいころから、人混みで倒れることを繰り返していた。




ぐらりと、視界が歪む瞬間は

今でも怖いと思う。





あぁ、こんなこと考えてたら

また

あの頃みたいに、じっとりと汗が出てきた。





頭がくらくらする。

足が震えてきた。

吐く息が荒い。




でも、今は




前と違って

手を握ってくれてる

自分より幾分か大きな手がある。



ぐいっ、と優しく引っ張られて

人混みを抜けた。




『大丈夫?やっぱ、まだきつかったかな…?』



心配そうに、ベンチに誘導してくれる彼。


「ごめんね…?大丈夫、これぐらい。すぐ…よくなる…。」

頭がくらくらしているせいか、

言葉が途切れ途切れになってしまう。



『こら、無理しない。』

彼の大きな手が頭にのる。

「でも、誘ったの私だし、せっかく…。」


視界が滲む。


また、迷惑をかけてしまう。







こんな体いやだな。







『また、別の日にしよう?

 次はもうちょっと人が少ないトコにしよっか。』




「…うん。」

嫌だけど、今の状態では

とても楽しめそうにない。








でも、彼は音楽関係の仕事で

休みが不定期だ。


滅多に私と休みが被る日はない。





重い足を動かして、

彼が止めてくれたタクシーに乗った。



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